475 / 476
エピローグ
第475話 エンディング
しおりを挟む
「すまないな、マカロン。俺に付き合ってもらって」
「いえ、私もゼロラさんと二人きりで話したかったところです」
ゼロラとマカロンは二人で並んで歩いていた。
目指す場所は"追憶の領域"――ゼロラの妻であったユメの墓がある場所だ。
「もっと早くお前を案内したかったんだが、レイキースの騒動で中々機会が作れなくてな……」
「気にしないでください。ゼロラさんとミライちゃんに嫌悪感を示す人達が減るまで、待つ必要もありましたから」
二人は仲睦まじく、洞窟の中を歩いていた。
全ての問題が片付き、この二人の思いの障壁はもう存在しない。
そのことに確信を持ったゼロラは、マカロンを"追憶の領域"へと案内していた。
「ここだ、マカロン。これが俺が【伝説の魔王】ジョウインだった頃の妻――【慈愛の勇者】ユメの墓だ」
「これがユメ様のお墓……」
ゼロラに案内され、マカロンはユメの墓前に膝をつく。
怪物となったレイキースを止めるために、マカロンの体を借りてゼロラとラルフルを救ってくれたユメ――
そのユメに対する思いを届かせようと、マカロンは両手を合わせて祈った――
「ユメ様……。ゼロラさんとラルフルを守ってくださり、本当にありがとうございました」
短い言葉に感謝の気持ちを込め、目を閉じながらマカロンは祈る。
しばらくするとゼロラもマカロンの横で同じように膝をつき、ユメの墓へと祈りを捧げる。
「ユメ……。これまで俺を支えてきてくれて、本当にありがとう。お前のことは決して忘れない。俺はこれからもお前のことを思いながら生きていく――」
ユメへの感謝の気持ちをゼロラが言い終えると、マカロンと共に立ち上がった。
ゼロラがマカロンをここへ導いた理由はユメのこと以外にもある。
何より要件の内容を考えると、ここが一番相応しいと考えていた――
「ユメは俺の気持ちを汲んでくれている。それはお前に憑依して現れた時、ハッキリと答えてくれたことだ」
「……はい」
ゼロラが伝えようとしていることは、マカロンにも理解できた。
ずっと待ち続けてきた、その"答え"――
マカロンはゼロラは信じ、ただその時を待った。
「俺にはユメのことも忘れられない。だが、それでもお前に伝えたい気持ちは一つだ――」
マカロンの前で膝をついたゼロラは、取り出した"もの"をマカロンへと差し出した。
――"清白蓮華"。
その花言葉の意味を、ゼロラは口にしながらその思いをようやく伝える――
「マカロン。俺と結婚してくれ。俺とミライの傍にいて、これからも支えてくれ」
――それがゼロラのマカロンへの"答え"。
マカロンは目を潤ませながらも、ようやく聞くことができたその言葉に、笑顔で返した――
「はい……喜んで」
「いえ、私もゼロラさんと二人きりで話したかったところです」
ゼロラとマカロンは二人で並んで歩いていた。
目指す場所は"追憶の領域"――ゼロラの妻であったユメの墓がある場所だ。
「もっと早くお前を案内したかったんだが、レイキースの騒動で中々機会が作れなくてな……」
「気にしないでください。ゼロラさんとミライちゃんに嫌悪感を示す人達が減るまで、待つ必要もありましたから」
二人は仲睦まじく、洞窟の中を歩いていた。
全ての問題が片付き、この二人の思いの障壁はもう存在しない。
そのことに確信を持ったゼロラは、マカロンを"追憶の領域"へと案内していた。
「ここだ、マカロン。これが俺が【伝説の魔王】ジョウインだった頃の妻――【慈愛の勇者】ユメの墓だ」
「これがユメ様のお墓……」
ゼロラに案内され、マカロンはユメの墓前に膝をつく。
怪物となったレイキースを止めるために、マカロンの体を借りてゼロラとラルフルを救ってくれたユメ――
そのユメに対する思いを届かせようと、マカロンは両手を合わせて祈った――
「ユメ様……。ゼロラさんとラルフルを守ってくださり、本当にありがとうございました」
短い言葉に感謝の気持ちを込め、目を閉じながらマカロンは祈る。
しばらくするとゼロラもマカロンの横で同じように膝をつき、ユメの墓へと祈りを捧げる。
「ユメ……。これまで俺を支えてきてくれて、本当にありがとう。お前のことは決して忘れない。俺はこれからもお前のことを思いながら生きていく――」
ユメへの感謝の気持ちをゼロラが言い終えると、マカロンと共に立ち上がった。
ゼロラがマカロンをここへ導いた理由はユメのこと以外にもある。
何より要件の内容を考えると、ここが一番相応しいと考えていた――
「ユメは俺の気持ちを汲んでくれている。それはお前に憑依して現れた時、ハッキリと答えてくれたことだ」
「……はい」
ゼロラが伝えようとしていることは、マカロンにも理解できた。
ずっと待ち続けてきた、その"答え"――
マカロンはゼロラは信じ、ただその時を待った。
「俺にはユメのことも忘れられない。だが、それでもお前に伝えたい気持ちは一つだ――」
マカロンの前で膝をついたゼロラは、取り出した"もの"をマカロンへと差し出した。
――"清白蓮華"。
その花言葉の意味を、ゼロラは口にしながらその思いをようやく伝える――
「マカロン。俺と結婚してくれ。俺とミライの傍にいて、これからも支えてくれ」
――それがゼロラのマカロンへの"答え"。
マカロンは目を潤ませながらも、ようやく聞くことができたその言葉に、笑顔で返した――
「はい……喜んで」
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
転生騎士団長の歩き方
Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】
たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。
【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
はじまりは初恋の終わりから~
秋吉美寿
ファンタジー
主人公イリューリアは、十二歳の誕生日に大好きだった初恋の人に「わたしに近づくな!おまえなんか、大嫌いだ!」と心無い事を言われ、すっかり自分に自信を無くしてしまう。
心に深い傷を負ったイリューリアはそれ以来、王子の顔もまともに見れなくなってしまった。
生まれながらに王家と公爵家のあいだ、内々に交わされていた婚約もその後のイリューリアの王子に怯える様子に心を痛めた王や公爵は、正式な婚約発表がなされる前に婚約をなかった事とした。
三年後、イリューリアは、見違えるほどに美しく成長し、本人の目立ちたくないという意思とは裏腹に、たちまち社交界の花として名を馳せてしまう。
そして、自分を振ったはずの王子や王弟の将軍がイリューリアを取りあい、イリューリアは戸惑いを隠せない。
「王子殿下は私の事が嫌いな筈なのに…」
「王弟殿下も、私のような冴えない娘にどうして?」
三年もの間、あらゆる努力で自分を磨いてきたにも関わらず自信を持てないイリューリアは自分の想いにすら自信をもてなくて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる