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最終章 それが俺達の絆
第454話 明暗夜光のルクガイア・飛①
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「――ッ!? ゲホッ!? ゴホッ!?」
「ゼ、ゼロラさん!? し、しっかりして―― え!? 血が!?」
ダンジェロが立ち去った後、俺の緊張の糸が切れたのか、突如これまでのダメージが一気に襲い掛かってきた。
膝から崩れ落ち、口から鮮血が溢れ出す。
無理もない。シシバとの戦いから連戦でダンジェロと戦ったんだ。
無理矢理体を動かしてダンジェロも倒したし、体中が悲鳴を上げている――
「す、すまないな……マカロン。俺は大丈夫だ……。まだ、やるべきことも残ってる……」
――それでも、俺は止まるわけにはいかない。
レイキースを倒さないことには、この事態が終息することはない。
ミライとリョウも魔法の檻に囚われたままだ。
怪物と化したリフィーだって、まだ王都で暴れまわっている。
街の人々だって洗脳されたままだ。
今何よりも優先すべきことは、全ての元凶であるレイキースを倒すことだ。
「……ゼロラさん。私が肩を貸します。掴まってください」
「マカロン……すまない。今は頼らせてくれ……」
「気にしないでください。<マジックジャマー>の影響下にあるここを離れれば、私の光魔法でケガの治療もできます」
マカロンは俺の体を気遣って、俺を肩で支えながら立ち上がってくれた。
マカロンだってダンジェロの炎で相当苦しいはずだ。
それでも俺の方がダメージが大きいのを理解すると、遠慮なく肩を貸してくれた。
俺よりも小さな体で、戦えるような力も持っていない。
弟のラルフルから譲り受けた魔力による光魔法こそあるが、マカロン自身はただのか弱い少女だ。
それでも……すごく頼もしい。
こうしてマカロンに支えてもらいながら歩いていると、ユメと過ごした日々を思い出すようだ。
あの時の俺はユメを守れなかったが、今回は無事にマカロンを守ることができた。
そう思うと、俺の心の中に熱いものがこみ上げてくる――
「ゼロラさん……? 泣いてるのですか……?」
「……ん? ああ、すまないな。少し感傷に浸っていただけだ」
気が付けば俺は涙を流していたようだ。
マカロンが心配そうな顔で見つめてくるが、今は堪えるしかない。
これ以上余計な心配をかけるわけにはいかない――
「そういえば、マカロン。王宮にいた他の仲間の状況は分かるか?」
「私にも詳しいことは分かりません。レイキースが襲撃してきた時、私は一人だけダンジェロに囚われてしまったので。ただ――」
俺が仲間の状況を尋ねると、マカロンがどこか言いづらそうになった。
まさか、誰かやられたのか――
「ラルフルが……レイキースに操られて……!」
「ラルフルが……!?」
――マズい状況だ。
ラルフルがレイキースの術中にはまってしまったとなると、俺達の敵として出てくるかもしれない。
ラルフルが操られたということ自体ショックだが、何よりも恐ろしいのは"ラルフルの実力"だ。
あいつの成長速度はすさまじい。会った頃とは比べ物にならない程、その実力は跳ね上がっている。
残る敵はレイキース一人だと思っていたが、ラルフルまで敵として出てきたら、今の俺に勝てるかどうか――
――それでも、俺はやるしかない。
どの道ラルフルが操られているのならば、元凶であるレイキースを倒せば全て収まる。
「……よいしょ。ゼロラさん、ここでなら私も魔法が使えます。今から治療しますね」
「ああ、ありがとうな……マカロン」
ダンジェロと戦ったエントランスから少し離れ、<マジックジャマー>の効果もなくなったところでマカロンが俺を肩から降ろしてくれた。
そして俺に対して、光魔法による回復を施してくれる――
「こうやって光魔法を受けても、俺はちゃんと回復するんだな……」
マカロンの光魔法によって、俺の傷は回復していく。
かつて【伝説の魔王】だった俺では、光魔法による回復なんてできなかった。
こうしていると、俺が"人間"になったことを改めて実感する。
「……なあ、マカロン。この戦いが終わったら、お前に伝えたいことがある」
「え……? わ、私にですか……?」
マカロンは顔を赤らめながら、俺の話に耳を傾けてくれた。
俺の正体を知っても、こうやって優しくしてくれるマカロン――
ミライも懐いてくれるし、どこかユメの面影も感じる。
だからこそ伝えたい思いがあるが、今はまだ胸にしまっておこう。
今言ってしまうと、レイキースやラルフルと戦うことになる決心が鈍ってしまいそうだ。
「ラルフルのことは俺に任せろ。お前の弟は……俺が必ず助け出す」
「はい……信じています。絶対に……無事帰ってきてください!」
「安心しろ。以前レイキースに刺された時だって、俺は帰ってきた。今度も約束は……必ず守る」
俺はマカロンの目を見つめながら、約束を交わす。
今はまだ言えない。マカロンもそのことを理解してくれている。
それでも待ってくれるし、もう俺の答えは変わらない。
俺は全てに決着をつけるためにも、勇者レイキースを倒す。
「ゼロラさん! マカロンさん! よかった……無事だったのね!」
「ミリア!?」
「ミリアちゃん!」
俺がマカロンに回復してもらっていると、ミリアが駆け寄ってきた。
ミリアも王宮にいたようだが、無事でよかった……。
「二人とも、こっちの部屋に入ってください! レイキースは王宮中に探知式の結界魔法を張ってます。ここの部屋ならバレません。とにかく中へ!」
ミリアはひとまず俺達に安全な場所へと案内してくれた。
丁度その部屋は近くにあったが――
「この部屋は……国王陛下の私室?」
「ええ。この部屋は空間ごと遮断してあるから、レイキースの結界魔法でも感知できない。他の人達もひとまずここに避難してるわ。ゼロラさんも疲れてるみたいだし、少し中で休んでいって」
「ゼ、ゼロラさん!? し、しっかりして―― え!? 血が!?」
ダンジェロが立ち去った後、俺の緊張の糸が切れたのか、突如これまでのダメージが一気に襲い掛かってきた。
膝から崩れ落ち、口から鮮血が溢れ出す。
無理もない。シシバとの戦いから連戦でダンジェロと戦ったんだ。
無理矢理体を動かしてダンジェロも倒したし、体中が悲鳴を上げている――
「す、すまないな……マカロン。俺は大丈夫だ……。まだ、やるべきことも残ってる……」
――それでも、俺は止まるわけにはいかない。
レイキースを倒さないことには、この事態が終息することはない。
ミライとリョウも魔法の檻に囚われたままだ。
怪物と化したリフィーだって、まだ王都で暴れまわっている。
街の人々だって洗脳されたままだ。
今何よりも優先すべきことは、全ての元凶であるレイキースを倒すことだ。
「……ゼロラさん。私が肩を貸します。掴まってください」
「マカロン……すまない。今は頼らせてくれ……」
「気にしないでください。<マジックジャマー>の影響下にあるここを離れれば、私の光魔法でケガの治療もできます」
マカロンは俺の体を気遣って、俺を肩で支えながら立ち上がってくれた。
マカロンだってダンジェロの炎で相当苦しいはずだ。
それでも俺の方がダメージが大きいのを理解すると、遠慮なく肩を貸してくれた。
俺よりも小さな体で、戦えるような力も持っていない。
弟のラルフルから譲り受けた魔力による光魔法こそあるが、マカロン自身はただのか弱い少女だ。
それでも……すごく頼もしい。
こうしてマカロンに支えてもらいながら歩いていると、ユメと過ごした日々を思い出すようだ。
あの時の俺はユメを守れなかったが、今回は無事にマカロンを守ることができた。
そう思うと、俺の心の中に熱いものがこみ上げてくる――
「ゼロラさん……? 泣いてるのですか……?」
「……ん? ああ、すまないな。少し感傷に浸っていただけだ」
気が付けば俺は涙を流していたようだ。
マカロンが心配そうな顔で見つめてくるが、今は堪えるしかない。
これ以上余計な心配をかけるわけにはいかない――
「そういえば、マカロン。王宮にいた他の仲間の状況は分かるか?」
「私にも詳しいことは分かりません。レイキースが襲撃してきた時、私は一人だけダンジェロに囚われてしまったので。ただ――」
俺が仲間の状況を尋ねると、マカロンがどこか言いづらそうになった。
まさか、誰かやられたのか――
「ラルフルが……レイキースに操られて……!」
「ラルフルが……!?」
――マズい状況だ。
ラルフルがレイキースの術中にはまってしまったとなると、俺達の敵として出てくるかもしれない。
ラルフルが操られたということ自体ショックだが、何よりも恐ろしいのは"ラルフルの実力"だ。
あいつの成長速度はすさまじい。会った頃とは比べ物にならない程、その実力は跳ね上がっている。
残る敵はレイキース一人だと思っていたが、ラルフルまで敵として出てきたら、今の俺に勝てるかどうか――
――それでも、俺はやるしかない。
どの道ラルフルが操られているのならば、元凶であるレイキースを倒せば全て収まる。
「……よいしょ。ゼロラさん、ここでなら私も魔法が使えます。今から治療しますね」
「ああ、ありがとうな……マカロン」
ダンジェロと戦ったエントランスから少し離れ、<マジックジャマー>の効果もなくなったところでマカロンが俺を肩から降ろしてくれた。
そして俺に対して、光魔法による回復を施してくれる――
「こうやって光魔法を受けても、俺はちゃんと回復するんだな……」
マカロンの光魔法によって、俺の傷は回復していく。
かつて【伝説の魔王】だった俺では、光魔法による回復なんてできなかった。
こうしていると、俺が"人間"になったことを改めて実感する。
「……なあ、マカロン。この戦いが終わったら、お前に伝えたいことがある」
「え……? わ、私にですか……?」
マカロンは顔を赤らめながら、俺の話に耳を傾けてくれた。
俺の正体を知っても、こうやって優しくしてくれるマカロン――
ミライも懐いてくれるし、どこかユメの面影も感じる。
だからこそ伝えたい思いがあるが、今はまだ胸にしまっておこう。
今言ってしまうと、レイキースやラルフルと戦うことになる決心が鈍ってしまいそうだ。
「ラルフルのことは俺に任せろ。お前の弟は……俺が必ず助け出す」
「はい……信じています。絶対に……無事帰ってきてください!」
「安心しろ。以前レイキースに刺された時だって、俺は帰ってきた。今度も約束は……必ず守る」
俺はマカロンの目を見つめながら、約束を交わす。
今はまだ言えない。マカロンもそのことを理解してくれている。
それでも待ってくれるし、もう俺の答えは変わらない。
俺は全てに決着をつけるためにも、勇者レイキースを倒す。
「ゼロラさん! マカロンさん! よかった……無事だったのね!」
「ミリア!?」
「ミリアちゃん!」
俺がマカロンに回復してもらっていると、ミリアが駆け寄ってきた。
ミリアも王宮にいたようだが、無事でよかった……。
「二人とも、こっちの部屋に入ってください! レイキースは王宮中に探知式の結界魔法を張ってます。ここの部屋ならバレません。とにかく中へ!」
ミリアはひとまず俺達に安全な場所へと案内してくれた。
丁度その部屋は近くにあったが――
「この部屋は……国王陛下の私室?」
「ええ。この部屋は空間ごと遮断してあるから、レイキースの結界魔法でも感知できない。他の人達もひとまずここに避難してるわ。ゼロラさんも疲れてるみたいだし、少し中で休んでいって」
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