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第21章 開戦前日
第293話 もう一つ託される思い
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「フゥ……疲れたね。これで良かったのかな? 陛下」
「すまない、リョウ大神官。無理をさせてしまって……」
王宮にある国王の私室で通信魔法を使い終えたリョウは、ソファーへともたれ掛かっていた。
「気にしないでほしいね。ボクもみんなの顔を見たかったから。通信魔法の精度を上げておいて正解だったよ」
全快しきっていない状態で通信魔法を使ったために、リョウはかなり疲れていたが、その表情は晴れ晴れとしていた。
今はまだ直接会うことはできないが、明日の戦いが無事に終わって直接語り合える日が来ることを、リョウは待ち望んだ。
「でも……本当に大丈夫なのかな? 王国騎士団と改革派の前面衝突……。いくら改革派が奇襲作戦を用意していると言っても、戦力の差が大きいよ……」
それでもリョウは不安に思っていた。
それはリョウだけでなく、傍にいる国王と兄ジフウも同じく抱く懸念であった。
改革派の主戦力となるギャングレオ盗賊団は半壊。
ジャコウの手下であった【虎殺しの暴虎】サイバラが完全に改革派についたとはいえ、戦力差はあまりにも大きい。
その戦力差を奇襲作戦だけで埋め合わせられるかを三人は不安に思っていた。
「……陛下。お望みとあらば我ら黒蛇部隊、明日の戦いにて改革派につく所存ですが?」
「それはやめておけ、ジフウ。お主も"暴君を演じていた"余と同じく、"暴力的な忠臣"を演じてきた。この戦いは改革派が"ただ勝つ"だけでは意味がない。"改革の意思を示したうえで勝利する"ことに意味があるのだ」
ジフウは自らが率いる黒蛇部隊を王国騎士団の敵へと回らせることを国王に進言したが、国王はそれを拒んだ。
もとより"国王を倒すことで過去を砕き、未来を創造する"ように用意された、これまでのシナリオ。
ジフウも黒蛇部隊も、国王直轄として"過去の側"についている。
これまでの国王の暴君としての演技も、ジフウの暴力的な忠臣としての演技も、それらは全て"自分達を改革派の明確な敵"とするための下準備に過ぎない。
明日の戦いでジフウはジャコウの指揮の元で動くことにはなっているが、それでも前線に出る気はなかった。
それが国王の望みを叶える道だと、信じているからこそ――
「……ジフウ。お主には本当に申し訳ないと思っている」
「陛下……。俺は自らの意思で陛下に従っているのです。謝られる理由はありません」
ジフウはそう言うが、国王は心苦しかった。
元々ジフウも弟のシシバや妹のリョウと同様、本来は国に縛られるような人間ではない。
己の戦闘欲求を満たすために生き、自ら意思に正直に生きる人間。
そんなジフウのことをよく知る国王だからこそ、今ジフウがこうして自らのために束縛されていることが心苦しかった。
故に国王はジフウにせめてもの気持ちとして、ある物を託すことにした。
「ジフウ。明日の戦いのためにこれを持っていけ」
「なんでしょうか? これは一体……?」
国王はジフウに一枚の書状を渡した。
「それの使いどころはお主に任せる。お主がそれをどう使おうと構わない。……お主がこの戦いで、"真に決着をつける"必要があると思った時に使うといい」
「"真に決着をつける"って―― ッ!? こ、これは……!?」
ジフウは国王から受け取った書状の内容を確認した。
それを見たジフウは、激しく狼狽えた。
「へ、陛下。お、俺がこんなものを持ってて――」
「ジフウ。お主にだからこそ託せるのだ。それは……余からお主への、賞与と思ってもらえばいい」
国王はジフウの肩に手を置き、諭すように語り掛ける。
国王がジフウに手渡したもの――
それはルクガイア王国現国王、ルクベール三世の正式な署名がされた<絶対王権>の書状だった――
「すまない、リョウ大神官。無理をさせてしまって……」
王宮にある国王の私室で通信魔法を使い終えたリョウは、ソファーへともたれ掛かっていた。
「気にしないでほしいね。ボクもみんなの顔を見たかったから。通信魔法の精度を上げておいて正解だったよ」
全快しきっていない状態で通信魔法を使ったために、リョウはかなり疲れていたが、その表情は晴れ晴れとしていた。
今はまだ直接会うことはできないが、明日の戦いが無事に終わって直接語り合える日が来ることを、リョウは待ち望んだ。
「でも……本当に大丈夫なのかな? 王国騎士団と改革派の前面衝突……。いくら改革派が奇襲作戦を用意していると言っても、戦力の差が大きいよ……」
それでもリョウは不安に思っていた。
それはリョウだけでなく、傍にいる国王と兄ジフウも同じく抱く懸念であった。
改革派の主戦力となるギャングレオ盗賊団は半壊。
ジャコウの手下であった【虎殺しの暴虎】サイバラが完全に改革派についたとはいえ、戦力差はあまりにも大きい。
その戦力差を奇襲作戦だけで埋め合わせられるかを三人は不安に思っていた。
「……陛下。お望みとあらば我ら黒蛇部隊、明日の戦いにて改革派につく所存ですが?」
「それはやめておけ、ジフウ。お主も"暴君を演じていた"余と同じく、"暴力的な忠臣"を演じてきた。この戦いは改革派が"ただ勝つ"だけでは意味がない。"改革の意思を示したうえで勝利する"ことに意味があるのだ」
ジフウは自らが率いる黒蛇部隊を王国騎士団の敵へと回らせることを国王に進言したが、国王はそれを拒んだ。
もとより"国王を倒すことで過去を砕き、未来を創造する"ように用意された、これまでのシナリオ。
ジフウも黒蛇部隊も、国王直轄として"過去の側"についている。
これまでの国王の暴君としての演技も、ジフウの暴力的な忠臣としての演技も、それらは全て"自分達を改革派の明確な敵"とするための下準備に過ぎない。
明日の戦いでジフウはジャコウの指揮の元で動くことにはなっているが、それでも前線に出る気はなかった。
それが国王の望みを叶える道だと、信じているからこそ――
「……ジフウ。お主には本当に申し訳ないと思っている」
「陛下……。俺は自らの意思で陛下に従っているのです。謝られる理由はありません」
ジフウはそう言うが、国王は心苦しかった。
元々ジフウも弟のシシバや妹のリョウと同様、本来は国に縛られるような人間ではない。
己の戦闘欲求を満たすために生き、自ら意思に正直に生きる人間。
そんなジフウのことをよく知る国王だからこそ、今ジフウがこうして自らのために束縛されていることが心苦しかった。
故に国王はジフウにせめてもの気持ちとして、ある物を託すことにした。
「ジフウ。明日の戦いのためにこれを持っていけ」
「なんでしょうか? これは一体……?」
国王はジフウに一枚の書状を渡した。
「それの使いどころはお主に任せる。お主がそれをどう使おうと構わない。……お主がこの戦いで、"真に決着をつける"必要があると思った時に使うといい」
「"真に決着をつける"って―― ッ!? こ、これは……!?」
ジフウは国王から受け取った書状の内容を確認した。
それを見たジフウは、激しく狼狽えた。
「へ、陛下。お、俺がこんなものを持ってて――」
「ジフウ。お主にだからこそ託せるのだ。それは……余からお主への、賞与と思ってもらえばいい」
国王はジフウの肩に手を置き、諭すように語り掛ける。
国王がジフウに手渡したもの――
それはルクガイア王国現国王、ルクベール三世の正式な署名がされた<絶対王権>の書状だった――
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