記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第18章 光と闇の分岐点

第244話 ご褒美が欲しい

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「マカロン。僕の手を握りながら目を閉じてしっかり念じるんだ。自らの内に眠る魔力の胎動を感じ取ってくれ」
「う、う~ん……。これでいいのかな……?」

 現在、ボクはマカロンにラルフル君から譲り受けた魔力を元に、彼女が魔法を使えるよう特訓中だ。
 こうやってボクと手を握ることで、マカロンの胎内に宿ったラルフル君の魔力に干渉しつつ調整するのが一番早い方法だね。



 ……それにしても、マカロンの手ってスベスベしてるね。
 普段宿の仕事で荒れてないかと心配したけど、そんなことないようだ。
 それに弾力もいい。いい感じにモチモチしてる。
 手入れが行き届いていて素晴らしい。実に女性的だ。実にボクの好みだ。

「あ、あの……リョウさん? なんだか手汗が凄いのですが……?」

 しまった。ボクとしたことが思わずマカロンの手に興奮して――

「リョウさん、無理しなくていいですからね? 私のことよりリョウさんの体を労わってくださいね?」

 なんと……!?
 マカロンは興奮して手汗ビチョビチョのボクを嫌うどころか、心配してくれるなんて……!
 以前はボクのことを避けていたのに……。

 やはりマカロンは素晴らしい女性だ。ザ・女の子って感じだね。
 恋敵であるはずのボクにここまで優しくしてくれる献身さ。最高じゃないか。
 彼女にならゼロラ殿をとられても悔いはないね。



「お姉ちゃーん! リョウ大神官ー! ただいま戻りましたー!」

 おや? ラルフル君が帰ってきたようだ。
 ゼロラ殿と出かけてたようだけど、どこに行ってたのかな?
 なんだか荷物も持ってるけど……?

「あら、ラルフル? その荷物はどうしたの?」
「これはキャプテン・サラダバーのグッズですよ! ヒーローショーがカッコよくて思わず買ってしまいました!」

 お芝居のグッズとはね……。
 ラルフル君も王宮での仕事が無くなってお給金に困ってるだろうに、無駄遣いはよくないよ?
 まあ、好きなものを買い集めたくなるのは人の性だよね。

「わわ!? これカッコイイじゃない! 私にも頂戴よ!」
「ダメですよ! お姉ちゃんも買えばいいじゃないですか!」

 どうやらマカロンもこういうグッズが好きらしい。
 そこは姉弟で似た者同士なんだね。

「ところでリョウ大神官。お姉ちゃんの魔法はどうなってますか?」
「そうだね……。丁度いい感じにボクの調整もできてきたし、試しに使ってみようか」
「わ、分かりました。少し怖いけどやってみます!」

 マカロンが受け継いだ魔力は、本来弟であるラルフル君のもの。
 マカロンの体に合うようにボクが調整するのも結構簡単だった。
 後は実際に使いこなせれば――

「んんんぅ……!」

 マカロンが気を集中させている。
 ボクが教えた通りに内なる魔力を高めているようだね。



 フアァアア!!

「や、やった! 出来ましたよ! リョウさん! ラルフル!」
「す、すごい! 本当にお姉ちゃんが光魔法を……!」

 成功……完璧だね!
 マカロンの手の平には光魔法の塊が浮かび上がっている。
 それに共鳴するように胸元のブローチも、優しくて白い光を放っている。
 ラルフル君とゼロラ殿の二人の力が重なり合った結晶。中々感動的じゃないか。
 ボク、ちょっと泣きそう。

「これさえできれば後は応用だ。どうやらマカロンの光魔法は身を守るのに特化しているらしい。次はその辺りを強化していこう」
「はい! よろしくお願いします! リョウさん!」

 マカロンは魔法が扱えるようになったことの喜びを満面の笑顔で伝えてくる。
 眩しい。かわいい。食べたい――



 ――いや、流石に自重しておこう。

「リョウ大神官、ありがとうございます。自分の魔力がお姉ちゃんに移ってくれたのは自分としても本望です。よろしければ何かお礼をしたいのですが……」

 ラルフル君もボクにお礼を言ってきた。いつもはボクを嫌な目で見るのに珍しいね。
 眩しいね。かわいいね。

 しかしラルフル君からお礼か……。これはまたとない機会だね。
 ここは是非、ボクの悲願を達成させるとしよう。





「では、ラルフル君。このメイド服を着てくれ。後、このカメラにその姿を納めさせてくれ」
「……嫌です」
「そこを何とか――」
「嫌です」

 そんな……殺生な……。
 ボクはいずれ魔幻塔に帰らなければいけない身だ。いつまでこうして外にいられるかも分からない。
 もし魔幻塔に戻っても、ラルフル君のメイド姿の写真さえあれば、ボクはオカズに困らない。
 あそこの息苦しい生活にも耐えられる。

 それなのにあんまりだよ……ラルフル君……。

「!? ラ、ラルフル! 私からもお願いするわ! ここは我慢してメイド服を着てあげて!」
「わ、分かりました……。そこまでされるのなら……」

 ……あれ? なんだか態度が軟化したね。
 マカロンまでラルフル君にお願いしてくれてるし、急にどうして――





 ――あ。ボク泣いてる。
 そうか……ラルフル君のメイド姿が見られないショックで、ボクが泣いちゃったからか……。

「あ、あの……リョウ大神官? 今回だけ……ですからね?」

 嫌々ながらも上目遣いでボクのお願いを聞いてくれるラルフル君。
 は~、かわいい。今すぐにでも襲いたい。

 だが、ここで我を失ってはいけないね。これはまさに千載一遇のチャンス。
 このボクが後悔しないためにも、ラルフル君のメイド姿をカメラに焼きつけなければ……!



「ありがとう! ラルフル君! では早速、百枚撮りさせてくれ!!」
「うぅ……。何でこんなことに……」
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