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第17章 追憶の番人『公』
第234話 救えなかった命、救いたかった命
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――それは今から十数年前の事。
当時のルクガイア王国で、まだ公爵の爵位を授かっていなかったバクトは一人悩んでいた。
「くそ! どうすればいいんだ!? どうすればお前の病を治せる!?」
「あなた……私のことは気にしないで……」
バクトの妻は重い病を患っていた。回復魔法でも効果がない内臓の腫瘍。
それを治すための方法をバクトは模索していた。
そして辿り着いた一つの可能性。
ルクガイア王国にはない、"手術"という技法で人体に直接刃を入れることで腫瘍を摘出する、"医学"による技法。
バクトは妻を救うために必死に医学を学んだ。
寝る間も惜しみ、ひたすら書物を読み漁り、他国に短期間で実習を受け、一気に医学を学びあげた。
病床の妻を他国に運ぶことはできない。他国から有能な医者を連れてくることもルクガイア王国では許されない。
妻を治すためにはバクト自らが医師となり、高度な医療技術を身に着けるしかなかった。
妻の病を治すために残された時間は少ない。
バクトは妻との間に生まれたばかりだった一人娘をスタアラ魔法聖堂に預けて、とにかく妻を助ける方法を模索した。
娘のことは妻を治した後に引き取ればいい。そう思ってバクトは妻の病を治すことを優先した。
「よ、よし……! これで……これでお前を治せるぞ!」
バクトは妻を治せることを確信できる程の医療技術を身に着けることに成功した。
後は自らの手で妻に手術を施せばいい。
バクトは手術の準備を整え、手に手術用の刃物――メスを手に取った。
――その矢先の出来事だった。
「お、おい!? バクト! 早く逃げろ! やばいことになったぞ!」
「フロスト!? なんでお前が――」
バクトの元に突然やって来たのは、当時ルクガイア王国騎士団二番隊隊長になりたてだった旧友のフロストだった。
フロストはバクトに逃げることを促すが、次の瞬間には大勢の騎士達が部屋になだれ込んできた。
「お前がバクトだな? ルクガイア王国貴族の身でありながら、自らの妻の体に刃物を入れようなどと……まさに"悪魔の所業"と言わざるを得ない。直ちに捕らえさせてもらう」
「なっ……!?」
反論する間もなく、バクトの身柄は騎士達に捕らえられてしまった。
「ちょっと待ってくれ! 少しだけバクトに時間を与えてやってくれ! 頼む! 王国騎士団二番隊隊長の俺の顔に免じて――」
「いくらフロスト隊長の願いであっても聞くことはできません。実際に妻の体に刃を入れる前でよかったと思っていただきたい」
フロストはなんとかバクトを庇おうとするが、その言葉を騎士達が耳に入れることはなかった。
「いかなる理由があれ、この国の法を犯すことは許されない。あなたの妻は然るべき回復魔法の使い手で治してみせよう」
「な、何を言っている!? 妻の病は回復魔法では治せない! 頼む! 離してくれぇえ!!」
バクトの必死の懇願も受け入れられることはなく、妻と無理矢理引き剥がされていく。
妻の病を『回復魔法で治せる』と思い込んでいる騎士――いや、このルクガイアという国そのものにこの瞬間、バクトは激しい怒りを覚えた。
「お前ら……! 許さんぞ……!! このまま妻が死んだら……許さんからなぁああ!! 貴様らぁあああ!!!」
騎士達に連行されながら、バクトは鬼の形相で叫び続けた。
そんなバクトの姿を、当時のフロストはただ黙って見ていることしかできなかった。
■
「…………」
「な、なあ……バクト? 俺も連中を止められなかったことはすまないと思ってる……。だが、このまま落ち込んでてもだな――」
バクトはフロストの嘆願もあったことで、一ヶ月後には釈放された。
――だが、バクトにとっては全てが遅かった。
自らが監禁されている間に、妻の病は悪化。
回復魔法でどうにかしようとしていた国の人間には手の施しようがなく、そのまま帰らぬ人となってしまった。
全てが終わってしまった後に釈放されたバクトは、フロストの前でただ抜け殻のように佇んでいた。
「き、気を落とすなとは言わない。だが、お前がこのままじゃ――」
「――俺がこのままだと何だというんだ? フロスト? 貴様はこの俺を"妻の命も救えない愚物"と嘲笑いたいのか?」
フロストの呼びかけにようやく顔を上げて反応したバクトだったが、その形相は最早フロストの知るバクトのものではなかった。
その目は大きく吊り上がり、常に辺りを睨みつけるような怒りを灯らせている。
口調も大きく変化しており、そこにいたのは"フロストのよく知るバクト"ではなくなっていた。
「おい、フロスト。この国の上層部であるクソ貴族共を黙らせるにはどうしたらいいと思う?」
「そ、そうだな……。お前自身が貴族としての爵位を上げればいいんじゃないか? そうすればお前自らの手で国の制度にも手を入れられるだろうよ……」
あまりに豹変したバクトの姿に驚きつつも、フロストはバクトに提案した。
それを聞いたバクトは立ち上がると、その豹変した顔と声で決意を露にした。
「俺はやるぞ……! 妻を死なせたこの国のクソのような制度を引っくり返してくれる! そのためならば、どんな手段を使ってでも俺はこの貴族社会で成り上がる! この俺が……この国そのものを変えてくれる!! フロスト! 貴様もこの俺に協力しろぉお!!」
「い、いや……。俺には俺でやりたいことがあって二番隊隊長になったんだ。簡単に協力はできない。それに……お前の娘のことはどうするんだ?」
バクトは自らが国の制度を変えるため――成り上がるためにフロストに協力を申し出たが、フロストには拒絶された。
そしてフロストに言われた一人娘のことについて、バクトは続けて語った――
「娘は……このままスタアラ魔法聖堂で育ててもらう。幸い、親が俺であることは伏せてある。これから俺がやることに娘を……ミリアを巻き込むわけにはいかない……」
――それは、その後になりふり構わず公爵の座にまでのし上がったバクトが見せた、"最後の親心"であった……。
当時のルクガイア王国で、まだ公爵の爵位を授かっていなかったバクトは一人悩んでいた。
「くそ! どうすればいいんだ!? どうすればお前の病を治せる!?」
「あなた……私のことは気にしないで……」
バクトの妻は重い病を患っていた。回復魔法でも効果がない内臓の腫瘍。
それを治すための方法をバクトは模索していた。
そして辿り着いた一つの可能性。
ルクガイア王国にはない、"手術"という技法で人体に直接刃を入れることで腫瘍を摘出する、"医学"による技法。
バクトは妻を救うために必死に医学を学んだ。
寝る間も惜しみ、ひたすら書物を読み漁り、他国に短期間で実習を受け、一気に医学を学びあげた。
病床の妻を他国に運ぶことはできない。他国から有能な医者を連れてくることもルクガイア王国では許されない。
妻を治すためにはバクト自らが医師となり、高度な医療技術を身に着けるしかなかった。
妻の病を治すために残された時間は少ない。
バクトは妻との間に生まれたばかりだった一人娘をスタアラ魔法聖堂に預けて、とにかく妻を助ける方法を模索した。
娘のことは妻を治した後に引き取ればいい。そう思ってバクトは妻の病を治すことを優先した。
「よ、よし……! これで……これでお前を治せるぞ!」
バクトは妻を治せることを確信できる程の医療技術を身に着けることに成功した。
後は自らの手で妻に手術を施せばいい。
バクトは手術の準備を整え、手に手術用の刃物――メスを手に取った。
――その矢先の出来事だった。
「お、おい!? バクト! 早く逃げろ! やばいことになったぞ!」
「フロスト!? なんでお前が――」
バクトの元に突然やって来たのは、当時ルクガイア王国騎士団二番隊隊長になりたてだった旧友のフロストだった。
フロストはバクトに逃げることを促すが、次の瞬間には大勢の騎士達が部屋になだれ込んできた。
「お前がバクトだな? ルクガイア王国貴族の身でありながら、自らの妻の体に刃物を入れようなどと……まさに"悪魔の所業"と言わざるを得ない。直ちに捕らえさせてもらう」
「なっ……!?」
反論する間もなく、バクトの身柄は騎士達に捕らえられてしまった。
「ちょっと待ってくれ! 少しだけバクトに時間を与えてやってくれ! 頼む! 王国騎士団二番隊隊長の俺の顔に免じて――」
「いくらフロスト隊長の願いであっても聞くことはできません。実際に妻の体に刃を入れる前でよかったと思っていただきたい」
フロストはなんとかバクトを庇おうとするが、その言葉を騎士達が耳に入れることはなかった。
「いかなる理由があれ、この国の法を犯すことは許されない。あなたの妻は然るべき回復魔法の使い手で治してみせよう」
「な、何を言っている!? 妻の病は回復魔法では治せない! 頼む! 離してくれぇえ!!」
バクトの必死の懇願も受け入れられることはなく、妻と無理矢理引き剥がされていく。
妻の病を『回復魔法で治せる』と思い込んでいる騎士――いや、このルクガイアという国そのものにこの瞬間、バクトは激しい怒りを覚えた。
「お前ら……! 許さんぞ……!! このまま妻が死んだら……許さんからなぁああ!! 貴様らぁあああ!!!」
騎士達に連行されながら、バクトは鬼の形相で叫び続けた。
そんなバクトの姿を、当時のフロストはただ黙って見ていることしかできなかった。
■
「…………」
「な、なあ……バクト? 俺も連中を止められなかったことはすまないと思ってる……。だが、このまま落ち込んでてもだな――」
バクトはフロストの嘆願もあったことで、一ヶ月後には釈放された。
――だが、バクトにとっては全てが遅かった。
自らが監禁されている間に、妻の病は悪化。
回復魔法でどうにかしようとしていた国の人間には手の施しようがなく、そのまま帰らぬ人となってしまった。
全てが終わってしまった後に釈放されたバクトは、フロストの前でただ抜け殻のように佇んでいた。
「き、気を落とすなとは言わない。だが、お前がこのままじゃ――」
「――俺がこのままだと何だというんだ? フロスト? 貴様はこの俺を"妻の命も救えない愚物"と嘲笑いたいのか?」
フロストの呼びかけにようやく顔を上げて反応したバクトだったが、その形相は最早フロストの知るバクトのものではなかった。
その目は大きく吊り上がり、常に辺りを睨みつけるような怒りを灯らせている。
口調も大きく変化しており、そこにいたのは"フロストのよく知るバクト"ではなくなっていた。
「おい、フロスト。この国の上層部であるクソ貴族共を黙らせるにはどうしたらいいと思う?」
「そ、そうだな……。お前自身が貴族としての爵位を上げればいいんじゃないか? そうすればお前自らの手で国の制度にも手を入れられるだろうよ……」
あまりに豹変したバクトの姿に驚きつつも、フロストはバクトに提案した。
それを聞いたバクトは立ち上がると、その豹変した顔と声で決意を露にした。
「俺はやるぞ……! 妻を死なせたこの国のクソのような制度を引っくり返してくれる! そのためならば、どんな手段を使ってでも俺はこの貴族社会で成り上がる! この俺が……この国そのものを変えてくれる!! フロスト! 貴様もこの俺に協力しろぉお!!」
「い、いや……。俺には俺でやりたいことがあって二番隊隊長になったんだ。簡単に協力はできない。それに……お前の娘のことはどうするんだ?」
バクトは自らが国の制度を変えるため――成り上がるためにフロストに協力を申し出たが、フロストには拒絶された。
そしてフロストに言われた一人娘のことについて、バクトは続けて語った――
「娘は……このままスタアラ魔法聖堂で育ててもらう。幸い、親が俺であることは伏せてある。これから俺がやることに娘を……ミリアを巻き込むわけにはいかない……」
――それは、その後になりふり構わず公爵の座にまでのし上がったバクトが見せた、"最後の親心"であった……。
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