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第15章 メカトロニクス・ファイト
第211話 とある侯爵の優雅な一日
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「意外と暇なのです……」
「貴様。一応、俺達改革派のリーダーだろ? 気の抜けた声を出すな、馬鹿め」
ゼロラさんとラルフル君が行動している間、この私ガルペラ侯爵はお屋敷でいつものように執務をして、いつものように終わったのです。
"円卓会議"の一件から激務に追われるかと思ってたのですが、陛下がこれまでの貴族の立場を引き継ぐ形となったので、いつも通りの一日なのです。
やっぱり陛下は自らを悪役に仕立て上げていると考えていいのです。
「プリンを食べるのにも飽きたのです。"果報はプリンを食べて待て"ができないのです……」
「貴様……何の話をしている?」
そんな私の近くで話をしているのはバクトさんなのです。
バクトさんの方は"円卓会議"の一件で流石に王都の貴族街には留まれなくなったので、王都から離れた別宅で生活してるそうなのです。
今日は私のお屋敷の地下図書室で色々調べ物をしていたみたいなのです。
「そういえば貴様の屋敷の地下図書室、<転移魔法陣>があるんだな? あれはかなり高度な術式だろ。貴様の父、先代ガルペラ侯爵の置き土産か?」
「そうなのです。万一この屋敷から脱出する必要があった時のために、父上が残していってくれたのです。でも、使う機会は――ゼロラさんに最初、襲われたと思った時に使えばよかったのです……」
「本当に馬鹿なのか? 貴様は?」
「でも、結果オーライなのです」
バクトさんは医学に詳しい人なのは知ってたのですが、魔法にも詳しかったのです。
私でさえ忘れていた<転移魔法陣>の存在も見抜いてしまったのです。
そういえばミリア様の回復魔法を使いながら、一緒にゼロラさんの治療もしてたのです。
魔法の知識がないと難しそうなのです。
「それにしても、バクトさんはよくミリア様の回復魔法に合わせて、ゼロラさんの治療ができたのですね」
「あんな小娘の回復魔法など、いくらでも計算のしようはある。それでもゼロラの阿呆の治療は危ないものだったがな。まあ、聖女と呼ばれる小娘の腕前も確かなようだ」
意外なのです……。
バクトさんは確か、"医学より回復魔法を優先されて奥さんが死んだ"恨みで改革活動の仲間になってくれたのです。
それなのに、"ミリア様の回復魔法を一応褒めている"のです。
どんな事情があっても、相手のいいところは認めれるのは凄いのです。
流石は"三公爵"の一人なのです。そこに痺れる憧れるのです。
「さて。調べ物も終わったから俺は帰るぞ」
「お疲れ様でしたなのです。……そういえばバクトさんは今、別宅に住んでいるのですよね? ギャングレオ盗賊団との関係も明るみに出たこの際なのです。ギャングレオ城に住んだらどうなのです?」
「俺はシシバの馬鹿に『巨大盗賊団を作れ』とは言ったが、『多角経営しろ』とも『ダンジョンを作れ』とも言ってない。あんな城に住めるか」
成程、納得なのです。
聞いた話だと、ギャングレオ城は設備が整っているけど、物凄く物騒な場所だそうなのです。
ゼロラさん曰く、『銃弾と鉄球と半裸の馬鹿が飛んできた』そうなのです。
……『半裸の馬鹿』ってサイバラさんのことなのです?
「事情は分かったのです。気を付けてお帰りに――」
バクトさんはもういないのです。挨拶ぐらいしてほしいのです。
口と態度の悪さは『俺はガラの悪い男だ』と言ってたゼロラさんより悪いのです。
「そして話し相手がいなくなって、また暇なのです……」
仕方ないのです。こういう時は街の様子を見に行くのです。
「ローゼス! センビレッジの街へお散歩に行くのです! 準備するのです!」
「ガルペラ様。せめて"散歩"ではなく、"視察"という名目で出かけたほうが……」
どっちも同じなのです。
■
「街の様子もいつもと変わらないのです」
「これも全て陛下の思惑なのでしょう」
今日もセンビレッジはいつも通りなのです。
ローゼスが言うように、陛下は民の日常を今までとは変えず、自らを倒させることで新たな一歩を踏み出させるようなのです。
悲しい王様なのです……。
「うーむ……」
「どうしたものか……」
そんなこんなでお散歩してたら、なんだか考え事をしている人が二人いたのです。
あの二人は確か、私に以前パサラダ野菜の宣伝を頼んできた商会長さん達なのです。
「お久しぶりなのです。難しい顔をしてどうしたのです? パサラダ野菜が売れないのですか?」
「あ! ガルペラ侯爵! お久しぶりです! いえ、パサラダ野菜は売れるようになったのですが……」
「最近ヒーローショーの方がマンネリ化してきて悩んでいたのです。元々はパサラダ野菜の宣伝のために始めたショーですが、商会としても利益が大きいから続けたいものでして。ただ、どうにもネタがなくて……」
成程。商会長さん達はヒーローショーのネタにお困りのようなのです。
こういう時こそこの領主、ガルペラ侯爵の出番なのです!
「私に任せるのです! このガルペラ侯爵がなんとかしてみせるのです!」
「ええ!? そんな、ガルペラ侯爵の手を煩わせるような真似なんて――」
「大丈夫なのです! 機材も衣装も台本も、私で用意するのです! すぐに準備するから待っててほしいのです!」
「そ、そこまでおっしゃるのでしたらお願いします……」
了承は取れたのです! 私の頭の中にはすでに構想が練りあがっているのです!
「ローゼス! 私が言うものを準備するのです! 大至急でお願いするのです!」
「わ、分かりました。……一体何をなさるつもりなのでしょうか?」
ガルペラ侯爵の、ヒーローショーによる、センビレッジのための計画なのです!
「貴様。一応、俺達改革派のリーダーだろ? 気の抜けた声を出すな、馬鹿め」
ゼロラさんとラルフル君が行動している間、この私ガルペラ侯爵はお屋敷でいつものように執務をして、いつものように終わったのです。
"円卓会議"の一件から激務に追われるかと思ってたのですが、陛下がこれまでの貴族の立場を引き継ぐ形となったので、いつも通りの一日なのです。
やっぱり陛下は自らを悪役に仕立て上げていると考えていいのです。
「プリンを食べるのにも飽きたのです。"果報はプリンを食べて待て"ができないのです……」
「貴様……何の話をしている?」
そんな私の近くで話をしているのはバクトさんなのです。
バクトさんの方は"円卓会議"の一件で流石に王都の貴族街には留まれなくなったので、王都から離れた別宅で生活してるそうなのです。
今日は私のお屋敷の地下図書室で色々調べ物をしていたみたいなのです。
「そういえば貴様の屋敷の地下図書室、<転移魔法陣>があるんだな? あれはかなり高度な術式だろ。貴様の父、先代ガルペラ侯爵の置き土産か?」
「そうなのです。万一この屋敷から脱出する必要があった時のために、父上が残していってくれたのです。でも、使う機会は――ゼロラさんに最初、襲われたと思った時に使えばよかったのです……」
「本当に馬鹿なのか? 貴様は?」
「でも、結果オーライなのです」
バクトさんは医学に詳しい人なのは知ってたのですが、魔法にも詳しかったのです。
私でさえ忘れていた<転移魔法陣>の存在も見抜いてしまったのです。
そういえばミリア様の回復魔法を使いながら、一緒にゼロラさんの治療もしてたのです。
魔法の知識がないと難しそうなのです。
「それにしても、バクトさんはよくミリア様の回復魔法に合わせて、ゼロラさんの治療ができたのですね」
「あんな小娘の回復魔法など、いくらでも計算のしようはある。それでもゼロラの阿呆の治療は危ないものだったがな。まあ、聖女と呼ばれる小娘の腕前も確かなようだ」
意外なのです……。
バクトさんは確か、"医学より回復魔法を優先されて奥さんが死んだ"恨みで改革活動の仲間になってくれたのです。
それなのに、"ミリア様の回復魔法を一応褒めている"のです。
どんな事情があっても、相手のいいところは認めれるのは凄いのです。
流石は"三公爵"の一人なのです。そこに痺れる憧れるのです。
「さて。調べ物も終わったから俺は帰るぞ」
「お疲れ様でしたなのです。……そういえばバクトさんは今、別宅に住んでいるのですよね? ギャングレオ盗賊団との関係も明るみに出たこの際なのです。ギャングレオ城に住んだらどうなのです?」
「俺はシシバの馬鹿に『巨大盗賊団を作れ』とは言ったが、『多角経営しろ』とも『ダンジョンを作れ』とも言ってない。あんな城に住めるか」
成程、納得なのです。
聞いた話だと、ギャングレオ城は設備が整っているけど、物凄く物騒な場所だそうなのです。
ゼロラさん曰く、『銃弾と鉄球と半裸の馬鹿が飛んできた』そうなのです。
……『半裸の馬鹿』ってサイバラさんのことなのです?
「事情は分かったのです。気を付けてお帰りに――」
バクトさんはもういないのです。挨拶ぐらいしてほしいのです。
口と態度の悪さは『俺はガラの悪い男だ』と言ってたゼロラさんより悪いのです。
「そして話し相手がいなくなって、また暇なのです……」
仕方ないのです。こういう時は街の様子を見に行くのです。
「ローゼス! センビレッジの街へお散歩に行くのです! 準備するのです!」
「ガルペラ様。せめて"散歩"ではなく、"視察"という名目で出かけたほうが……」
どっちも同じなのです。
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「街の様子もいつもと変わらないのです」
「これも全て陛下の思惑なのでしょう」
今日もセンビレッジはいつも通りなのです。
ローゼスが言うように、陛下は民の日常を今までとは変えず、自らを倒させることで新たな一歩を踏み出させるようなのです。
悲しい王様なのです……。
「うーむ……」
「どうしたものか……」
そんなこんなでお散歩してたら、なんだか考え事をしている人が二人いたのです。
あの二人は確か、私に以前パサラダ野菜の宣伝を頼んできた商会長さん達なのです。
「お久しぶりなのです。難しい顔をしてどうしたのです? パサラダ野菜が売れないのですか?」
「あ! ガルペラ侯爵! お久しぶりです! いえ、パサラダ野菜は売れるようになったのですが……」
「最近ヒーローショーの方がマンネリ化してきて悩んでいたのです。元々はパサラダ野菜の宣伝のために始めたショーですが、商会としても利益が大きいから続けたいものでして。ただ、どうにもネタがなくて……」
成程。商会長さん達はヒーローショーのネタにお困りのようなのです。
こういう時こそこの領主、ガルペラ侯爵の出番なのです!
「私に任せるのです! このガルペラ侯爵がなんとかしてみせるのです!」
「ええ!? そんな、ガルペラ侯爵の手を煩わせるような真似なんて――」
「大丈夫なのです! 機材も衣装も台本も、私で用意するのです! すぐに準備するから待っててほしいのです!」
「そ、そこまでおっしゃるのでしたらお願いします……」
了承は取れたのです! 私の頭の中にはすでに構想が練りあがっているのです!
「ローゼス! 私が言うものを準備するのです! 大至急でお願いするのです!」
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