記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

文字の大きさ
205 / 476
第15章 メカトロニクス・ファイト

第205話 対決・元ルクガイア王国騎士団二番隊隊士②

しおりを挟む
「フオオオオ!!」

 フレイムは背中の"バーニア"と呼ばれる部分から炎を噴出させる。
 ニナーナのように空を飛ぶことはないが、この屋内でフレイムが飛ぶわけにもいかないので、出力を調整しているのだろう。
 ……ラルフルが『空を飛んでた』って言ってたし。
 そして――

 ゴォオオオオ!

「ッ!? は、速い!?」
「あの巨体でこのスピードだって!?」

 フレイムは"バーニア"によるものか、凄まじいスピードで移動を開始した!
 シシバのように目で追うのも難しいほどではないが、その巨体と重装備からは想像もできないスピードだ!

「クーカカカ! デカブツだから遅いと思ったか~? んなわけねーだろ! 火力! 装甲! そして、機動力! その全てを揃えているからこその【王国最強】だ!!」

 フロストがガラス越しに笑いながらこちらを見ている。
 そしてフレイムは移動したまま左腕のガトリングガンと両肩の大砲をこちらに向けてきた。

 ドガンッ! ドガンッ! ドガガガッ!!

「くそ!? こんなスピードで動きながら攻撃もできるのか!?」
「まるで移動砲台じゃないか!? これじゃ<バリアフィールド>があった時の方がマシだ!」

 ロギウスも言う通り、フレイムは発電機との接続がなくなったため、この広い空間を縦横無尽に移動することができる!
 これは試運転とかではない! 本当に元々フレイムに備わっている能力だ!
 さっきと違って解除させる手段が分からない!

「【王国最強】とかいう二つ名以前に、人間の範疇じゃねえだろ!?」
「ここまで強いのは想定外だよ! こんなに強かったのなら、【伝説の魔王】も倒してくれればよかったのに!」
「仕方ねーだろ! ここまでの強化が済んだのはつい最近なんだ! それに、魔王城まで飛んでいける程エネルギーが持たないし、<勇者の光>みてーな魔王特効の攻撃手段もねーよ!」

 俺とロギウスの愚痴に対してフロストが反論する。
 言ってることには納得できるが、今はそれどころではない。
 フレイムの猛攻に対して逃げるので精いっぱいだ。
 幸いお互いが動き合っているためか、フレイムの銃撃も砲撃もうまく狙いが定まっていない。

「ほーらほら~? 逃げてばかりでフレイムを倒せるのか~? クーカカカカ~!!」
「フオー! オーオー! フオーオオオオー!!」

 相変わらずフロストがガラス越しにこちらを嘲り笑っている。
 ……後、フレイム。お前も絶対嘲り笑ってるだろ。顔も言葉も分からないが、なんとなく分かる。

「凄まじい戦いをしてるはずなのに……なんだかムカついてくるね」
「奇遇だなロギウス。俺もだ。何か対策はないのか? お前がフレイムについて知ってることでもいい」

 俺はフレイムの攻撃を避けながらダメ元でロギウスに質問してみた。
 こいつはなんだかんだで頭が回る。こんな規格外の相手にいい作戦が練れるとは思えないが……。

「うーん……。確かフレイムって、"少しだけ浮いてる"んだよね」
「少しだけ浮いてる? 確かにあいつの存在は浮いてるが……」
「いや、そうじゃなくて。フレイムはあの巨体と重装備でもスムーズな移動ができるように、"足を上げて"動くんじゃなくて、"体そのものを少しだけ浮かせて"移動してるんだよ。そうすることで地面との摩擦をなくし、滑るように移動できるんだ」

 確かにフレイムはこれまで普通の人間のように足を上げて動かず、地面を滑るように移動している。
 よく見ると足の裏が地面から少しだけ浮いているのが分かる。

「そうだ! ゼロラ殿! フレイムをおびき寄せてくれ! 場所はさっきの発電機があった場所までだ!」

 どうやらロギウスは本当に作戦を思いついてくれたようだ。
 なかなかどうして頼りになる王子様だ。

「その作戦、信じるぜ。ロギウス!」

 俺はまずフレイムから逃げるのをやめて、一人フレイムへと立ち向かった。

「玉砕覚悟か~? だったらお望みどおりにしてやるよ! フレイム!」
「フオオオーン!」

 俺の動きを見て、フレイムも俺に狙いを定めてくれたようだ。
 それを確認した俺はフレイムをロギウスに言われた通りに発電機の近くまで誘導する。

「フッオオオオ!」

 フレイムも大砲とガトリングガンで攻撃しながら俺を追ってくる。
 フレイムのスピードは俺より速いが、誘導地点までは十分な距離がある。
 ガトリングガンの攻撃は<鉄の防御>である程度耐えることができるが、大砲の攻撃を食らうわけには――

 ボガァアアン!!

「うぐぅ!? く、くそ!? 食らっちまったか……!」

 フレイムの砲撃の一発が俺に当たってしまった。
 かなりのダメージを受けたが、<鉄の防御>をかけながら誘導に徹していたことが幸いした。
 全身を大きく吹き飛ばされてしまったが、幸い致命傷には至っていない。



 ――そして、運のいいことに俺が吹き飛んだ位置は、丁度発電機の近くだった。

「フレイムの砲撃に耐えたことは認めてやるよ~! だが、もー遅い! そのまま突進して叩き潰せ! フレーイム!!」
「フオオオオーン!!」

 フレイムが俺目がけて突進してくる。
 たが……ロギウスも目的の場所で配置についているようだ!

「身を挺しての誘導に感謝する! ゼロラ殿! ウォオオオ!!」

 ロギウスは掛け声を上げて、"先程までフレイムと発電機を繋げていた紐"を"フレイムの足が丁度上に来た"タイミングで引き上げた!

 ビィーーーーン!!

「フオ!? フオン、フオン!? フオ……オオオオオ!!??」

 ズドォオオン……!

 巨体に相応しい轟音と共に、フレイムはその場で勢いよく仰向けに転んでしまった。

「フ、フレイム!? くそ~、ロギウスの野郎が~! うまいことフレイムを転ばせやがって~!」
「いくら巨体のフレイムでも、足の裏から急に持ち上げられば体勢を崩してしまうようだね。少しだけとはいえ浮いてるし、これだけの重武装なら尚更だ」

 なるほど。ロギウスの作戦通りって訳か。フロストもさぞ悔しかろう。
 フレイムの方はその重装備が祟ってか、中々起き上がれずにいる。

「それじゃあ、こっちの攻撃と行かせてもらおうか!」

 俺は仰向けのままもがいているフレイムの左腕を掴んで関節技を仕掛けた!

「お前は最初、左腕を"変形させて"ガトリングガンに変えてたよな? つまりこの腕はお前の"生身の腕"じゃない! だったら……!」

 俺は渾身の力を込めてフレイムの左腕を極める。
 とてつもなく太い腕なので、全身を使って関節を極めることになるが、ついに――


 バキィン!


 ――フレイムの左腕をねじ切った!

「フオオォオォオ!!??」
「あー!? てめーは鬼か!? 人間の腕をねじ切るなんてよ~!?」
「生身の人間相手に、あんな兵器をぶつけてくるお前にだけは言われたくねえよ! 第一、こいつの腕は生身じゃなくて機械だろうが!」

 驚くフレイム。人を非情扱いしてくるフロスト。何とでも言うがいい。
 だがこれで、フレイムの戦力は大幅にダウンした!
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

処理中です...