記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第13章 王国が変わる日

第169話 王宮脱出戦・ギャングレオ進軍

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「中で何が起こっているのですか!? 私達も通してください!」
「ダメだ! ギャングレオ盗賊団をこれ以上王宮に入れるわけにはいかない!」

 ルクガイア城城門では参謀長コゴーダを筆頭とするギャングレオ盗賊団と王国騎士団が小競り合いを起こしていた。

「おい! コラァ! さっさと中に入れやがれ! おれたちはバクト公爵たちの護衛で来てるんだぞ!?」
「どんな理由であれ、入城は許可できない! ここで大人しくしてろ!」

 サイバラも怒鳴るが、城門を守る王国騎士団は聞く耳を持ってくれない。

「くっ……!? どうにかしませんと……!」

 ギャングレオ盗賊団も力づくでの突破を考えるが、陣頭指揮を執っているコゴーダがあと一歩踏み出せないために勢いを出せずにいる。

「――あ! おれ、いいこと思いついたかも!」
「てやんでい! サイバラ隊長、ホントでい!?」
「サイバラ隊長のいいことって、嫌な予感もしますがねい」

 何かを閃いたサイバラにヤカタとネモトが反応する。
 不安はあるが、今のこの状況を打開するためにはとにかく何でもいいからやってみるしかない。

「お前ら。この後どうなるかはおれにも分からないから……頑張ってくれ!」

 そんな不安をさらに募らせるようなことをサイバラは言った後、コゴーダに何かを耳打ちした。

「……コゴーダの兄貴。そこの連中なんすが、さっき『紅茶ってクソマズイよな! 飲むならやっぱりコーヒーだよ! コーヒー!』って話してましたよ」



 それを聞いたコゴーダは少し静かになった後――何かが切れた。

「んだと、ゴルァ!? ワレェ! 泥水好むどころか! 紅茶まで馬鹿にすんのか!? アァン!?」

 コゴーダがブチギレた。目の前にいた騎士の胸倉を掴むと恐ろしい剣幕で怒鳴り散らす。

「な、なんだ!? お前何を訳の分からないことを――」
「るっせぇ!! くたばれぇ!!」

 コゴーダが掴んでいた騎士を殴り倒す。
 さらにはメリケンサックを装備して他の騎士達にも殴り掛かる。

「おい! 野郎どもぉ!! 王国騎士団のガキ共、全員ぶっ殺しちまいなぁ!!」

 コゴーダの号令――もとい、怒声により、ギャングレオ盗賊団が一気に王宮へと押し入っていく。

「よ、よし! 何とかうまくいったな! コゴーダの兄貴が紅茶やコーヒー絡みでキレやすい人で助かったぜ!」
「て、てやんでい……。無茶苦茶考えるでい……」
「ですが、これであっし達も突入できますねい」

 サイバラが考えた"コゴーダをブチギレさせて、後は野となれ山となれ作戦"。
 これにより活路を見出せたが、問題点もあった。

「てやんでい! 見るでい! 王宮の裏手から信号弾が上がったでい!」
「あれはバクト公爵のものですねい! 早く助けに行きやしょう!」
「よっしゃ! コゴーダの兄貴! バクト公爵救出の指揮を――」



 だが陣頭指揮を執るべきコゴーダは、ギャングレオ盗賊団の下っ端を率いて先頭に立ち、すでに王宮内に入っていた。

「なんで参謀長のあの人が先頭に立ってんだよ!? 後詰で指揮とれよ!?」
「てやんでい! サイバラ隊長の作戦のせいでい!」
「コゴーダ参謀長がいない以上仕方ありやせん。サイバラ隊長! 代理指揮をお願いしやす!」

 本来陣頭指揮を執るべきはずだった参謀長コゴーダがいなくなったことで、指揮権は特攻隊長であるサイバラに移動することになった。

「だー!? 分かったよ! ここからはおれが指揮を執る! ヤカタ主任とネモト部長はバクト公爵の救出に向かってくれ! 俺はここで後詰に入る! くっそ、誰だよ! コゴーダの兄貴を参謀長にしたのは!? シシバのカシラだけど!!」

 半ばヤケクソ気味のサイバラだったがなんとか指揮を執り、ギャングレオ盗賊団は城門から救出作戦に向かうのであった。
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