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第8章 気付き始めた思い
第93話 波乱が去って
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マカロン救出から数日が経った。
あの後ジフウから救援要請を受けたスタアラ魔法聖堂の人間たちによって俺達は無事に保護され、普段の生活に戻っている。
……いや、普段通りじゃないところも結構あるな。
「いいか、ラルフル。もう一回整理して言うぞ。俺は二年前にたまたまマカロンを助けたんだ」
「恩人ですね」
「そしてマカロンは俺の住んでる宿で働き始めたんだ」
「従業員とお客さんですね」
「俺はマカロンとはよく話すし、料理を作ってもらうこともあるが――」
「結婚ですね」
「いや、どうしてそこまで飛躍するんだ?」
ラルフルが思っている俺とマカロンの関係を正そうとするも、一向に理解してもらえない。
こいつってこんなに頭悪いはずないんだが?
「ではゼロラさんにこちらからお聞きします。自分とミリアさんは幼いころ一緒に育ちました」
「幼馴染だな」
「自分はミリアさんのことを……その……愛しています」
「むしろ愛し合ってるな」
「そ……そうですね。そして最近……その……」
「付き合ってるな」
「自分の言葉を先取りしないでください! これじゃ話が進みません!」
なぜか怒るラルフル。こいつは結局何が言いたいんだ?
「要するにラルフルは自身とミリア様の立場をゼロラとマカロンに入れ替えて考えてほしいんだろ?」
「もっとも、この件についてはゼロラ殿の鈍感さが足を引っ張ってるね。クフフフ」
イトーさんとリョウ神官が口を挟む。そもそもなんで俺の部屋にいるんだ? 四人も入ると流石に狭いぞ。
「俺とマカロンが付き合ってると言いたいのか? そんなわけないだろ。あいつと俺とで何歳離れてると思ってるんだ? 俺自身も分からねえが、三十歳ぐらい離れててもおかしくはないぞ?」
「……ゼロラさんって頑固ですよね」
「考え方が古いって言ったほうがいいかもな」
「マカロンちゃんも前途多難だね」
俺に対して三人は呆れた顔をする。よく分からんが不服だ。
「揃いも揃ってな~に話してるのかな~?」
気が付くと俺の部屋に話題の当人であるマカロンが入ってきていた。ノックぐらいしろ。
「お姉ちゃん、いいところに来てくれました! ゼロラさんとお付き合いしてることをハッキリここで述べてください!」
もう俺とマカロンが付き合ってることは確定なのか、ラルフルよ。だがこれはまずい。マカロンはこう強く押されると上手く話せないタイプだ。それでもマカロンは余裕そうに満面の笑みでラルフルに言い返した。
それはもう怖いぐらいの笑顔で。
「ラルフル~? お姉ちゃんさっきミリアちゃんに会って来たんだけど、『最近ラルフルがマカロンさんにばかり会ってて寂しい』って言ってたわよ~?」
「ミ、ミリアさんが!? そういえば最近はお姉ちゃんにばかり会いに来てました! ちょっと行ってきます!」
ラルフルが慌てて部屋から出ていった。
「クフフフ。ラルフル君も罪な男だね。では代わりにボクがマカロンちゃんの話を……」
「リョウ大神官~? ミリアちゃんが『リョウ大神官が迷惑かけてすみません。今度アイツのコレクションを全部燃やしておきます』って言ってたわよ~?」
「すまない! ボクは至急帰らねばならないようだ! イトー殿、後は任せた!」
「え!? 俺!?」
リョウ神官も慌てて部屋を出ていった。
「……俺もそろそろ店に戻るか」
イトーさんはイソイソと部屋を出ていった。
「なんでみんな変な誤解をしてるのかしら?」
「さあ?」
「……もう少し反応欲しかったかな」
マカロンが少し落ち込んでしまった。俺、何か悪いこと言ったか?
「そうだった。ゼロラさんに見てほしいものがあるのよ」
気を取り直したマカロンが机の上に銃のようなものを置いた。これは以前、マカロンがフォーレスの森の洞窟でゴブリンを凍らせるのに使った武器だな。
「これは銃か? ガルペラが使ってるものと形状はだいぶ違うが……」
「"銃"? 私はこれを"グレネードランチャー"だって言われて渡されたんだけど」
"グレネードランチャー"? 銃とは違うのか? それに、『渡された』?
「誰に渡されたんだ?」
「ゼロラさんとラルフルに助けてもらう少し前に"ドクター・フロスト"って名乗る人から。その人の弟が私を牢から出してくれたの」
そういえばあの時の話はあまり詳しく聞いてなかったが、俺とラルフル以外にもマカロンを助けるために動いていた人間がいたのか?
「聞いたことのない名前だな。だが、この"グレネードランチャー"ってのが銃の類だとすると、ガルペラなら何か知ってるかもしれん」
「だけどガルペラ侯爵って今忙しいのよね?」
そうだった。スタアラ魔法聖堂と正式に協定を結んだこともあり、他の貴族にも動きが出始め、ガルペラは現在その対応に追われているのだ。
"グレネードランチャー"と"ドクター・フロスト"。このことはガルペラの時間が空いた時にでも聞きに行くか。
あの後ジフウから救援要請を受けたスタアラ魔法聖堂の人間たちによって俺達は無事に保護され、普段の生活に戻っている。
……いや、普段通りじゃないところも結構あるな。
「いいか、ラルフル。もう一回整理して言うぞ。俺は二年前にたまたまマカロンを助けたんだ」
「恩人ですね」
「そしてマカロンは俺の住んでる宿で働き始めたんだ」
「従業員とお客さんですね」
「俺はマカロンとはよく話すし、料理を作ってもらうこともあるが――」
「結婚ですね」
「いや、どうしてそこまで飛躍するんだ?」
ラルフルが思っている俺とマカロンの関係を正そうとするも、一向に理解してもらえない。
こいつってこんなに頭悪いはずないんだが?
「ではゼロラさんにこちらからお聞きします。自分とミリアさんは幼いころ一緒に育ちました」
「幼馴染だな」
「自分はミリアさんのことを……その……愛しています」
「むしろ愛し合ってるな」
「そ……そうですね。そして最近……その……」
「付き合ってるな」
「自分の言葉を先取りしないでください! これじゃ話が進みません!」
なぜか怒るラルフル。こいつは結局何が言いたいんだ?
「要するにラルフルは自身とミリア様の立場をゼロラとマカロンに入れ替えて考えてほしいんだろ?」
「もっとも、この件についてはゼロラ殿の鈍感さが足を引っ張ってるね。クフフフ」
イトーさんとリョウ神官が口を挟む。そもそもなんで俺の部屋にいるんだ? 四人も入ると流石に狭いぞ。
「俺とマカロンが付き合ってると言いたいのか? そんなわけないだろ。あいつと俺とで何歳離れてると思ってるんだ? 俺自身も分からねえが、三十歳ぐらい離れててもおかしくはないぞ?」
「……ゼロラさんって頑固ですよね」
「考え方が古いって言ったほうがいいかもな」
「マカロンちゃんも前途多難だね」
俺に対して三人は呆れた顔をする。よく分からんが不服だ。
「揃いも揃ってな~に話してるのかな~?」
気が付くと俺の部屋に話題の当人であるマカロンが入ってきていた。ノックぐらいしろ。
「お姉ちゃん、いいところに来てくれました! ゼロラさんとお付き合いしてることをハッキリここで述べてください!」
もう俺とマカロンが付き合ってることは確定なのか、ラルフルよ。だがこれはまずい。マカロンはこう強く押されると上手く話せないタイプだ。それでもマカロンは余裕そうに満面の笑みでラルフルに言い返した。
それはもう怖いぐらいの笑顔で。
「ラルフル~? お姉ちゃんさっきミリアちゃんに会って来たんだけど、『最近ラルフルがマカロンさんにばかり会ってて寂しい』って言ってたわよ~?」
「ミ、ミリアさんが!? そういえば最近はお姉ちゃんにばかり会いに来てました! ちょっと行ってきます!」
ラルフルが慌てて部屋から出ていった。
「クフフフ。ラルフル君も罪な男だね。では代わりにボクがマカロンちゃんの話を……」
「リョウ大神官~? ミリアちゃんが『リョウ大神官が迷惑かけてすみません。今度アイツのコレクションを全部燃やしておきます』って言ってたわよ~?」
「すまない! ボクは至急帰らねばならないようだ! イトー殿、後は任せた!」
「え!? 俺!?」
リョウ神官も慌てて部屋を出ていった。
「……俺もそろそろ店に戻るか」
イトーさんはイソイソと部屋を出ていった。
「なんでみんな変な誤解をしてるのかしら?」
「さあ?」
「……もう少し反応欲しかったかな」
マカロンが少し落ち込んでしまった。俺、何か悪いこと言ったか?
「そうだった。ゼロラさんに見てほしいものがあるのよ」
気を取り直したマカロンが机の上に銃のようなものを置いた。これは以前、マカロンがフォーレスの森の洞窟でゴブリンを凍らせるのに使った武器だな。
「これは銃か? ガルペラが使ってるものと形状はだいぶ違うが……」
「"銃"? 私はこれを"グレネードランチャー"だって言われて渡されたんだけど」
"グレネードランチャー"? 銃とは違うのか? それに、『渡された』?
「誰に渡されたんだ?」
「ゼロラさんとラルフルに助けてもらう少し前に"ドクター・フロスト"って名乗る人から。その人の弟が私を牢から出してくれたの」
そういえばあの時の話はあまり詳しく聞いてなかったが、俺とラルフル以外にもマカロンを助けるために動いていた人間がいたのか?
「聞いたことのない名前だな。だが、この"グレネードランチャー"ってのが銃の類だとすると、ガルペラなら何か知ってるかもしれん」
「だけどガルペラ侯爵って今忙しいのよね?」
そうだった。スタアラ魔法聖堂と正式に協定を結んだこともあり、他の貴族にも動きが出始め、ガルペラは現在その対応に追われているのだ。
"グレネードランチャー"と"ドクター・フロスト"。このことはガルペラの時間が空いた時にでも聞きに行くか。
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