92 / 476
第8章 気付き始めた思い
第93話 波乱が去って
しおりを挟む
マカロン救出から数日が経った。
あの後ジフウから救援要請を受けたスタアラ魔法聖堂の人間たちによって俺達は無事に保護され、普段の生活に戻っている。
……いや、普段通りじゃないところも結構あるな。
「いいか、ラルフル。もう一回整理して言うぞ。俺は二年前にたまたまマカロンを助けたんだ」
「恩人ですね」
「そしてマカロンは俺の住んでる宿で働き始めたんだ」
「従業員とお客さんですね」
「俺はマカロンとはよく話すし、料理を作ってもらうこともあるが――」
「結婚ですね」
「いや、どうしてそこまで飛躍するんだ?」
ラルフルが思っている俺とマカロンの関係を正そうとするも、一向に理解してもらえない。
こいつってこんなに頭悪いはずないんだが?
「ではゼロラさんにこちらからお聞きします。自分とミリアさんは幼いころ一緒に育ちました」
「幼馴染だな」
「自分はミリアさんのことを……その……愛しています」
「むしろ愛し合ってるな」
「そ……そうですね。そして最近……その……」
「付き合ってるな」
「自分の言葉を先取りしないでください! これじゃ話が進みません!」
なぜか怒るラルフル。こいつは結局何が言いたいんだ?
「要するにラルフルは自身とミリア様の立場をゼロラとマカロンに入れ替えて考えてほしいんだろ?」
「もっとも、この件についてはゼロラ殿の鈍感さが足を引っ張ってるね。クフフフ」
イトーさんとリョウ神官が口を挟む。そもそもなんで俺の部屋にいるんだ? 四人も入ると流石に狭いぞ。
「俺とマカロンが付き合ってると言いたいのか? そんなわけないだろ。あいつと俺とで何歳離れてると思ってるんだ? 俺自身も分からねえが、三十歳ぐらい離れててもおかしくはないぞ?」
「……ゼロラさんって頑固ですよね」
「考え方が古いって言ったほうがいいかもな」
「マカロンちゃんも前途多難だね」
俺に対して三人は呆れた顔をする。よく分からんが不服だ。
「揃いも揃ってな~に話してるのかな~?」
気が付くと俺の部屋に話題の当人であるマカロンが入ってきていた。ノックぐらいしろ。
「お姉ちゃん、いいところに来てくれました! ゼロラさんとお付き合いしてることをハッキリここで述べてください!」
もう俺とマカロンが付き合ってることは確定なのか、ラルフルよ。だがこれはまずい。マカロンはこう強く押されると上手く話せないタイプだ。それでもマカロンは余裕そうに満面の笑みでラルフルに言い返した。
それはもう怖いぐらいの笑顔で。
「ラルフル~? お姉ちゃんさっきミリアちゃんに会って来たんだけど、『最近ラルフルがマカロンさんにばかり会ってて寂しい』って言ってたわよ~?」
「ミ、ミリアさんが!? そういえば最近はお姉ちゃんにばかり会いに来てました! ちょっと行ってきます!」
ラルフルが慌てて部屋から出ていった。
「クフフフ。ラルフル君も罪な男だね。では代わりにボクがマカロンちゃんの話を……」
「リョウ大神官~? ミリアちゃんが『リョウ大神官が迷惑かけてすみません。今度アイツのコレクションを全部燃やしておきます』って言ってたわよ~?」
「すまない! ボクは至急帰らねばならないようだ! イトー殿、後は任せた!」
「え!? 俺!?」
リョウ神官も慌てて部屋を出ていった。
「……俺もそろそろ店に戻るか」
イトーさんはイソイソと部屋を出ていった。
「なんでみんな変な誤解をしてるのかしら?」
「さあ?」
「……もう少し反応欲しかったかな」
マカロンが少し落ち込んでしまった。俺、何か悪いこと言ったか?
「そうだった。ゼロラさんに見てほしいものがあるのよ」
気を取り直したマカロンが机の上に銃のようなものを置いた。これは以前、マカロンがフォーレスの森の洞窟でゴブリンを凍らせるのに使った武器だな。
「これは銃か? ガルペラが使ってるものと形状はだいぶ違うが……」
「"銃"? 私はこれを"グレネードランチャー"だって言われて渡されたんだけど」
"グレネードランチャー"? 銃とは違うのか? それに、『渡された』?
「誰に渡されたんだ?」
「ゼロラさんとラルフルに助けてもらう少し前に"ドクター・フロスト"って名乗る人から。その人の弟が私を牢から出してくれたの」
そういえばあの時の話はあまり詳しく聞いてなかったが、俺とラルフル以外にもマカロンを助けるために動いていた人間がいたのか?
「聞いたことのない名前だな。だが、この"グレネードランチャー"ってのが銃の類だとすると、ガルペラなら何か知ってるかもしれん」
「だけどガルペラ侯爵って今忙しいのよね?」
そうだった。スタアラ魔法聖堂と正式に協定を結んだこともあり、他の貴族にも動きが出始め、ガルペラは現在その対応に追われているのだ。
"グレネードランチャー"と"ドクター・フロスト"。このことはガルペラの時間が空いた時にでも聞きに行くか。
あの後ジフウから救援要請を受けたスタアラ魔法聖堂の人間たちによって俺達は無事に保護され、普段の生活に戻っている。
……いや、普段通りじゃないところも結構あるな。
「いいか、ラルフル。もう一回整理して言うぞ。俺は二年前にたまたまマカロンを助けたんだ」
「恩人ですね」
「そしてマカロンは俺の住んでる宿で働き始めたんだ」
「従業員とお客さんですね」
「俺はマカロンとはよく話すし、料理を作ってもらうこともあるが――」
「結婚ですね」
「いや、どうしてそこまで飛躍するんだ?」
ラルフルが思っている俺とマカロンの関係を正そうとするも、一向に理解してもらえない。
こいつってこんなに頭悪いはずないんだが?
「ではゼロラさんにこちらからお聞きします。自分とミリアさんは幼いころ一緒に育ちました」
「幼馴染だな」
「自分はミリアさんのことを……その……愛しています」
「むしろ愛し合ってるな」
「そ……そうですね。そして最近……その……」
「付き合ってるな」
「自分の言葉を先取りしないでください! これじゃ話が進みません!」
なぜか怒るラルフル。こいつは結局何が言いたいんだ?
「要するにラルフルは自身とミリア様の立場をゼロラとマカロンに入れ替えて考えてほしいんだろ?」
「もっとも、この件についてはゼロラ殿の鈍感さが足を引っ張ってるね。クフフフ」
イトーさんとリョウ神官が口を挟む。そもそもなんで俺の部屋にいるんだ? 四人も入ると流石に狭いぞ。
「俺とマカロンが付き合ってると言いたいのか? そんなわけないだろ。あいつと俺とで何歳離れてると思ってるんだ? 俺自身も分からねえが、三十歳ぐらい離れててもおかしくはないぞ?」
「……ゼロラさんって頑固ですよね」
「考え方が古いって言ったほうがいいかもな」
「マカロンちゃんも前途多難だね」
俺に対して三人は呆れた顔をする。よく分からんが不服だ。
「揃いも揃ってな~に話してるのかな~?」
気が付くと俺の部屋に話題の当人であるマカロンが入ってきていた。ノックぐらいしろ。
「お姉ちゃん、いいところに来てくれました! ゼロラさんとお付き合いしてることをハッキリここで述べてください!」
もう俺とマカロンが付き合ってることは確定なのか、ラルフルよ。だがこれはまずい。マカロンはこう強く押されると上手く話せないタイプだ。それでもマカロンは余裕そうに満面の笑みでラルフルに言い返した。
それはもう怖いぐらいの笑顔で。
「ラルフル~? お姉ちゃんさっきミリアちゃんに会って来たんだけど、『最近ラルフルがマカロンさんにばかり会ってて寂しい』って言ってたわよ~?」
「ミ、ミリアさんが!? そういえば最近はお姉ちゃんにばかり会いに来てました! ちょっと行ってきます!」
ラルフルが慌てて部屋から出ていった。
「クフフフ。ラルフル君も罪な男だね。では代わりにボクがマカロンちゃんの話を……」
「リョウ大神官~? ミリアちゃんが『リョウ大神官が迷惑かけてすみません。今度アイツのコレクションを全部燃やしておきます』って言ってたわよ~?」
「すまない! ボクは至急帰らねばならないようだ! イトー殿、後は任せた!」
「え!? 俺!?」
リョウ神官も慌てて部屋を出ていった。
「……俺もそろそろ店に戻るか」
イトーさんはイソイソと部屋を出ていった。
「なんでみんな変な誤解をしてるのかしら?」
「さあ?」
「……もう少し反応欲しかったかな」
マカロンが少し落ち込んでしまった。俺、何か悪いこと言ったか?
「そうだった。ゼロラさんに見てほしいものがあるのよ」
気を取り直したマカロンが机の上に銃のようなものを置いた。これは以前、マカロンがフォーレスの森の洞窟でゴブリンを凍らせるのに使った武器だな。
「これは銃か? ガルペラが使ってるものと形状はだいぶ違うが……」
「"銃"? 私はこれを"グレネードランチャー"だって言われて渡されたんだけど」
"グレネードランチャー"? 銃とは違うのか? それに、『渡された』?
「誰に渡されたんだ?」
「ゼロラさんとラルフルに助けてもらう少し前に"ドクター・フロスト"って名乗る人から。その人の弟が私を牢から出してくれたの」
そういえばあの時の話はあまり詳しく聞いてなかったが、俺とラルフル以外にもマカロンを助けるために動いていた人間がいたのか?
「聞いたことのない名前だな。だが、この"グレネードランチャー"ってのが銃の類だとすると、ガルペラなら何か知ってるかもしれん」
「だけどガルペラ侯爵って今忙しいのよね?」
そうだった。スタアラ魔法聖堂と正式に協定を結んだこともあり、他の貴族にも動きが出始め、ガルペラは現在その対応に追われているのだ。
"グレネードランチャー"と"ドクター・フロスト"。このことはガルペラの時間が空いた時にでも聞きに行くか。
0
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる