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第3章 汚れ仕事からの脱却
第26話 聖女の思い
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聖女様とラルフルの反応に興味を持った俺とイトーさんは人ごみの中心へと進んでいった。
「待ってください! わざわざミリアさんに会いに行く必要はないですよね!?」
「どのみち人の多いところに行ったほうが都合がいいからな」
俺達を掴んで必死に止めようとするラルフルを引きずりながら聖女様が見える位置までやってきた。
人だかりの中心にはドーマン男爵と話に聞く聖女ミリア様が全身を鎧で固めた護衛数人に守られながら歩いていた。
深いブルーの髪をなびかせながら、高位のシスターが身に着ける修道服を纏って歩く姿はまさに聖女という言葉がぴったりと当てはまる。
「あれがラルフルの想い人か」
「ですから! そんなんじゃありませんって!」
顔を真っ赤にしながら必死に否定するラルフル。
「確かにミリアさんは綺麗ですし、優しいですし、回復魔法の腕前も王国随一ですし、自分にも色々教えてくださいましたし、小さい頃はいつも一緒に遊びましたし、その時はすごく楽しかったですし……」
聞いてもいないことを次々口にするラルフル。それはもはや肯定しているのと同じだぞ。
聖女様は街の住人達に笑顔を振りまく。そんな聖女様に声援を返す住人達。聖女様の人気はすごいもんだな。
だが俺にはその笑顔が作り笑いに見えた。隣にいるドーマン男爵がこの光景が自分の手柄だとでも言いたげな嫌な笑みを浮かべているからだろう。
「ううぅ……。ミリアさん、なんだか無理してるみたいです……」
やっぱりラルフルには分かるらしい。そりゃあずっと仲が良かったみたいだからな。
ふと俺とドーマン男爵の目が合った。そして「仕事を失敗したらどうなるか分かってるな?」という気持ちのこもった目を送ってきた。やっぱ俺、こいつのこと嫌いだわ。
そんなドーマン男爵の様子を見た聖女様も俺達の方に目を向けた。
すると一瞬驚いたような表情を見せた後、妙に怒ったような表情をしてこっちに向かってきた。
「ラ~ル~フ~ル~!」
「ひぃ!? ミ、ミリアさん!?」
聖女様の目当てはやはりラルフルのようだ。てか、なんで怒ってるんだ? ラルフルの奴、彼女を怒らせるようなことでもしたのか?
「アンタねえ! 勇者パーティーを追い出されてからずーっと連絡もよこさずにどこ行ってたのよ!?」
ラルフルよ。お前、魔法聖堂に帰ってなかったのか?
「そ、その~……。あの後すぐに王宮仕えになりましたもので……」
「それでも連絡ぐらいよこしたらどうなのよ!? 大方、魔力を失ったのが恥ずかしくて顔を出せなかったんでしょうけど」
「な、なんでそのことを知ってるんですか!?」
「そりゃあアンタの考えてることぐらい分かるわよ。でも、二年以上連絡もよこさないのはありえないでしょ!? アタシがどれだけ心配したと思って……」
街中を歩く聖女様に突如捕まえられて道のど真ん中で説教されるラルフル。なんだこの構図?
「まあまあ、聖女様。あんたがラルフルを心配して怒る気持ちはもっともだが、こいつだってかなりのショックを受けてたみたいだしよ」
「そりゃあ、ラルフルが辛かったことは分かりますけど……って、アンタ誰?」
ラルフルに助け舟を出そうと聖女様に声をかけたところで尋ねられた。
……それにしても聖女様の言葉遣いがかなり庶民的というか、イメージとかけ離れているというか……。
「聖女ミリア殿。そのようなチンピラと話している暇はありませぬぞ」
「ゼロラさんはチンピラじゃないです! 自分の師匠です!」
「いい加減師匠呼びはやめてくれ、ラルフル」
ドーマン男爵もこちらに近づいてきた。そして俺につぶやいてきた。
「この間は中途半端な仕事をしおって……。学のないチンピラがわしに盾突くでないわ。次の仕事でも同じような真似をしようものなら――」
「したらどうなるってんだ? あぁ? てめぇの中途半端な依頼内容に問題があったんだろうが? "学のないチンピラ"の俺にも分かるようにはっきり依頼内容を口にしてもらわねえとなぁ? どうせなら今ここではっきりとよぉ?」
「う……ぐぅ……!」
嫌味を言ってきたので俺も凄んでみせてやり返した。あっさり怖気づき俺達から離れていくドーマン男爵。殺しの依頼を出しておきながらこの程度で引っ込むのかよ。
「ふ~ん……。ゼロラ様、でしたわね。詳しくは分かりませんがラルフルがお世話になっているようでありがとうございます。あなたがどのような状況に置かれているかは私の想像にとどめておきます。ですが、もし私でお役に立てるのならば、存分に申し上げ下さい」
「聖女様というだけあって聡明だな。気持ちだけ受け取っておくぜ」
俺とドーマン男爵の様子を見ていた聖女様はなんとなく俺の状況を察してくれたようだ。俺がイメージしていた聖女とはずいぶん違うが、確かに芯のある女性の姿が見て取れた。
「……で、ラルフル。アンタにはこの人のことも含めて後で聞きたいことが山ほどあるわ。明日、スタアラ魔法聖堂に来なさい。いいわね?」
「え? いや。あ、明日はその……忙しくて……」
「い・い・わ・ね?」
「は、はぃいい!!」
完全に聖女様に押されるラルフル。こいつは尻に惹かれるタイプだな。
「ゼロラ。ラルフルには悪いが今のうちにこの場を離れようぜ」
「そうだな。若い二人の関係におっさんが割り込むのも悪いしな」
「いや、そういう意味……も、あるな」
俺はイトーさんに耳打ちされて聖女様に引き続き説教されているラルフルを尻目にこっそりその場を離れた。
「待ってください! わざわざミリアさんに会いに行く必要はないですよね!?」
「どのみち人の多いところに行ったほうが都合がいいからな」
俺達を掴んで必死に止めようとするラルフルを引きずりながら聖女様が見える位置までやってきた。
人だかりの中心にはドーマン男爵と話に聞く聖女ミリア様が全身を鎧で固めた護衛数人に守られながら歩いていた。
深いブルーの髪をなびかせながら、高位のシスターが身に着ける修道服を纏って歩く姿はまさに聖女という言葉がぴったりと当てはまる。
「あれがラルフルの想い人か」
「ですから! そんなんじゃありませんって!」
顔を真っ赤にしながら必死に否定するラルフル。
「確かにミリアさんは綺麗ですし、優しいですし、回復魔法の腕前も王国随一ですし、自分にも色々教えてくださいましたし、小さい頃はいつも一緒に遊びましたし、その時はすごく楽しかったですし……」
聞いてもいないことを次々口にするラルフル。それはもはや肯定しているのと同じだぞ。
聖女様は街の住人達に笑顔を振りまく。そんな聖女様に声援を返す住人達。聖女様の人気はすごいもんだな。
だが俺にはその笑顔が作り笑いに見えた。隣にいるドーマン男爵がこの光景が自分の手柄だとでも言いたげな嫌な笑みを浮かべているからだろう。
「ううぅ……。ミリアさん、なんだか無理してるみたいです……」
やっぱりラルフルには分かるらしい。そりゃあずっと仲が良かったみたいだからな。
ふと俺とドーマン男爵の目が合った。そして「仕事を失敗したらどうなるか分かってるな?」という気持ちのこもった目を送ってきた。やっぱ俺、こいつのこと嫌いだわ。
そんなドーマン男爵の様子を見た聖女様も俺達の方に目を向けた。
すると一瞬驚いたような表情を見せた後、妙に怒ったような表情をしてこっちに向かってきた。
「ラ~ル~フ~ル~!」
「ひぃ!? ミ、ミリアさん!?」
聖女様の目当てはやはりラルフルのようだ。てか、なんで怒ってるんだ? ラルフルの奴、彼女を怒らせるようなことでもしたのか?
「アンタねえ! 勇者パーティーを追い出されてからずーっと連絡もよこさずにどこ行ってたのよ!?」
ラルフルよ。お前、魔法聖堂に帰ってなかったのか?
「そ、その~……。あの後すぐに王宮仕えになりましたもので……」
「それでも連絡ぐらいよこしたらどうなのよ!? 大方、魔力を失ったのが恥ずかしくて顔を出せなかったんでしょうけど」
「な、なんでそのことを知ってるんですか!?」
「そりゃあアンタの考えてることぐらい分かるわよ。でも、二年以上連絡もよこさないのはありえないでしょ!? アタシがどれだけ心配したと思って……」
街中を歩く聖女様に突如捕まえられて道のど真ん中で説教されるラルフル。なんだこの構図?
「まあまあ、聖女様。あんたがラルフルを心配して怒る気持ちはもっともだが、こいつだってかなりのショックを受けてたみたいだしよ」
「そりゃあ、ラルフルが辛かったことは分かりますけど……って、アンタ誰?」
ラルフルに助け舟を出そうと聖女様に声をかけたところで尋ねられた。
……それにしても聖女様の言葉遣いがかなり庶民的というか、イメージとかけ離れているというか……。
「聖女ミリア殿。そのようなチンピラと話している暇はありませぬぞ」
「ゼロラさんはチンピラじゃないです! 自分の師匠です!」
「いい加減師匠呼びはやめてくれ、ラルフル」
ドーマン男爵もこちらに近づいてきた。そして俺につぶやいてきた。
「この間は中途半端な仕事をしおって……。学のないチンピラがわしに盾突くでないわ。次の仕事でも同じような真似をしようものなら――」
「したらどうなるってんだ? あぁ? てめぇの中途半端な依頼内容に問題があったんだろうが? "学のないチンピラ"の俺にも分かるようにはっきり依頼内容を口にしてもらわねえとなぁ? どうせなら今ここではっきりとよぉ?」
「う……ぐぅ……!」
嫌味を言ってきたので俺も凄んでみせてやり返した。あっさり怖気づき俺達から離れていくドーマン男爵。殺しの依頼を出しておきながらこの程度で引っ込むのかよ。
「ふ~ん……。ゼロラ様、でしたわね。詳しくは分かりませんがラルフルがお世話になっているようでありがとうございます。あなたがどのような状況に置かれているかは私の想像にとどめておきます。ですが、もし私でお役に立てるのならば、存分に申し上げ下さい」
「聖女様というだけあって聡明だな。気持ちだけ受け取っておくぜ」
俺とドーマン男爵の様子を見ていた聖女様はなんとなく俺の状況を察してくれたようだ。俺がイメージしていた聖女とはずいぶん違うが、確かに芯のある女性の姿が見て取れた。
「……で、ラルフル。アンタにはこの人のことも含めて後で聞きたいことが山ほどあるわ。明日、スタアラ魔法聖堂に来なさい。いいわね?」
「え? いや。あ、明日はその……忙しくて……」
「い・い・わ・ね?」
「は、はぃいい!!」
完全に聖女様に押されるラルフル。こいつは尻に惹かれるタイプだな。
「ゼロラ。ラルフルには悪いが今のうちにこの場を離れようぜ」
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