【完結】失った妻の愛

Ringo

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【番外編2/3】後妻となった女

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※後妻となったマリナのその後です。
※胸糞注意報発令中です。
※どんなメンヘラもどんとこい!な方のみご覧いただくことを推奨致します。
※生々しい表現てんこ盛りです。
※まぁ…なんと言いますか。優雅な愛人ライフが夢破れたせいで、ホラー夫人化した感じです。






──────────────────
(あの日から十三年後)






どうしてこうなったのか。

二回りも年上のだらしない体をした男に組み敷かれ、ポタポタと流れ落ちてくる汗に不快感を感じながらひたすら時間が過ぎるのを待つ。


「はっ、、あっ、、気持ち、いいか?……っ…」


一心不乱に腰を振りながらそんなことを聞いてくるけれど、私がそれに応えることはない。
出入りする男の質量は物足りなく、届かない奥が疼いて仕方ないというのに。

────アルベルト

彼のモノが恋しい。
ミチミチと中を埋める質量と、彼のモノしか届かない奥へと与えられる刺激…壊れそうなほどに激しく穿たれ、大量に吐き出される彼の子種の温かさが忘れられないでいる。
あの快感は彼しか与えてくれない。

いつか彼の子を身籠ると期待していたのに…避妊薬を飲んでいたなんて。

貧乏な実家も働くのも嫌で、お金持ちの男に貢がれ囲われる生活を送りたいと考えていた時、偶然アルベルトがひとりでいるのを見つけた。

一か八かで近付けば最初こそ胡乱な目で見られたけれど、そこは年頃の男の子。
自慢の胸を押し付け誘惑を続けたら、思いの外早く篭絡できたわ。

これでお金に困らないどころか贅沢できる。
気楽な愛人生活が待っているし、ここまで私に夢中なら正妻の座も夢ではないかも。

そう思っていた。

それなのに、卒業後の生活をどうするのか聞いたら顔色を悪くしてそんなつもりはないと言う。


『誤解させていた事は謝罪する。仕事を探さなくてはならないだろうから、幾らか援助もしよう。だが、君を愛人として…まして正妻として迎えることなどあり得ない』

『どうして?あの女より私の方がいいから何度も抱いたんでしょう?』

『いや…俺が愛してるのはリリアナだし、君のことを愛したことはない。それに…君は俺以外にも関係を持っている男がいるよな?』


確かに男は彼だけじゃない。
保険をかけて、彼以外にもそれなりに裕福な男達と関係していたけど…一番お金持ちで若くて格好いいアルベルトがいいわ!

そう伝えたのに、あとで連絡すると言って彼は逃げるように去っていった。
私を選んだと思ったのに…きっとあの婚約者が我が儘を言っているに違いないと思い、真実を教えてやったら…切られたのは私。

実家へ抗議を受け今後一切の接触を禁じられた。
手切れ金としてお金も送られてきた。
二度とあの女に近付くなと手紙つきで。

そして私は不細工な富豪に嫁がされたけれど、彼も本音では私を求めているのだと信じ続けた。
あの女が愛人である私を認めないせいだと。


『どうやら二人目不妊らしいわよ』


彼夫婦のそんな噂を耳にした時、やはり彼はあの女のことなど愛しておらず、だからこそ二人目が出来ないのだと胸は高鳴った。

彼は私を待っている!彼にとって二人目の男児を生むのは私なんだわ!!

そう確信し、あの女の呪縛から解き放ってあげようと手紙を出したが…そのせいで実家が取り潰されることになったと連絡がきた。

どうして?だって彼は私を待っているのに。
私に子供を生んで欲しいと思っているのに。

だから私は色んな場所で色んな人に彼と愛し合っていることを匂わせた。
夫について貴族が集まる場所にもよく出向いていたから、そこで色んな話をした。

早く迎えに来て。
早く私を抱いて。
私はあなたを待っている。

そう思っていたのに、彼は来ない。
手紙のひとつも寄越さない。
挙げ句あの女は彼の子供をさらに身籠った。
無理に抱かなくてもいいのに。
私が幾らでも生んであげるのに。

そう思うのに、実際に私を抱いて身籠らせるのは不細工な夫。


「うっ、、、出る……孕めっ!!」


顔を歪ませた夫が私の中へと精を放つが、それが奥へ届くことはなく…また疼いた。
彼なら…彼の子種なら、叩きつけるように奥へ吐き出されてそれすらも快感を与えてくれるのに。
奥へ奥へと押し込むように、逞しいモノで奥を捏ね回してくれるのに。

あの日…彼との未来を口にしたあの日以来、私は疼く体を鎮められずにいる。
夫以外にも沢山の男を相手にしたが、誰一人として満足させてくれない。

あの女は、そんな彼を独占している。
そして彼の子を四人も生んだ。
彼の昂りと子種を我が物顔で独占し、図々しくもその種を腹に根付かせ産み落とした。
許せない。
その権利は私にあったものなのに。


「暫くはそのままでいるように」


足を高く持ち上げた状態で固定され、流し込まれた精が溢れないようにと栓をされる…この男との情事のあとにはお決まりの事だ。
交易の道具として使えるよう、多くの子を成すことを求められている。
疼く体はそのままなのに、男の精は執念がしつこいのかこの十三年で八人もの命を芽生えさせた。
本来なら彼の子を育てるはずの腹は、夫の種を根付かせ膨らんでしまう。

あと二人は生めと言われているが、それが終われば彼の元へ行ける。
まだ彼の子だって生めるだろう。
彼もそれを望んで待ってくれているはずだから、早く彼の元に行かなくてはならない。






◇◇◇◇◇◇
(あの日から二十年後・ふたりは和解済み)






夫と交わされた契約通りの人数を生むのに予定より年数がかかり、さらに最後は難産だった事で体調を崩し療養していたせいで、気付けば私は三十九歳になってしまった。

新しい愛人に夢中となった夫から僅かな手切れ金を貰って離縁し、これで漸く彼の元に行けると心踊らせたのだが…久し振りに聞こえてきた噂は信じ難いもの。

彼とあの女は新婚夫婦の如く、人目も憚らずに身を寄せ合っては口付けをしているらしい。
そして、また子を成すのではと揶揄されるほどの寵愛を女に与えている…と。

彼は待ちきれなかったのだ。
私が契約を終えるのに時間をかけすぎてしまったせいで、致し方なくあの女を抱いている。
私が傍にいないから…嫌々ながらあの女に子種を吐き出しているに違いない。

あの熱くて勢いのいい彼の子種。
硬くて逞しい彼の昂り。

私の疼きを治めてくれる唯一無二。
私だけのモノ。

すべて私のものだった。
返してもらう。
そして私が長く苦しんだ彼を癒してあげる。

あれから二十年、きっと彼はさらに素敵な男性になっているだろう。
体力と精力のある二十代に抱いてもらえなかったのは残念だけど、これから幾らでも抱かれる。
もう妊娠は難しいらしいけれど、彼と愛し合えるならもうそれだけでいい。

───ずっと物足りなくて疼いていた
───早く抱いて鎮めて欲しい




初めて見た彼の屋敷は大きくて、これからはここが私のものになると思うと動悸が激しくなる。
訝しげな顔をする門番に愛する彼を呼ぶように伝えると、ややあってひとりの男が出てきた。


「父にどのようなご用件が?」


彼に瓜二つの容姿をした息子にときめくけれど、私は彼のものなのだからと思い直し、彼と結ばれるために来たことを告げる。


「あなたと父は二十年以上も前に終わっている。そもそも、父はあなたをなんとも思っていない」


今の当主だというその息子は、私と彼が結ばれることを反対しているようだ。
容姿は彼に瓜二つだけれど、中身はあの女にそっくりなのね…忌々しい。


「そんなはずないわ。彼は私を愛している。私の事をずっと待ってくれているの!彼を癒して助けてあげられるのは私だけよ!彼が抱きたいと思うのも私なの!彼を返して!!」


可哀想なアルベルト。
こんな分からず屋達に縛られて、きっと辛く苦しい日々を送っている。
早く助けてあげなくちゃ。


「おあいにくさま。父は母と深く愛し合っているし、未だに子が出来るのではと言われるほどに仲睦まじい日々を送っている」

「そんなの嘘よ!あの女が無理やり彼にさせてるんだわ!!彼の子を生むのは私よ!!」


これ以上、あの女が身籠るなんて許せない。
彼の子種は私だけのものなのに。
憤り門扉を開けろと掴みかかるが、頑丈な鉄で出来た扉は開かない。


「開けなさいよ!彼を出して!」

「父は母を連れて旅行に行っている。戻りはいつになるかも分からないが…帰ってくる頃には、母が子を成しているかもしれないな」


頭に血がのぼった。
旅行先であの女が彼に抱かれ子種を受け入れているのが許せない。
思わず鞄に入れていた護身用のナイフを彼の息子へ投げてしまった。


「拘束して引き渡せ。公爵への傷害だ」

「やめっ、離しなさいよ!私は彼に愛されている女なのよ!彼が許さないわ!!」

「父に愛されているねぇ…あんた、鏡見たことあるか?母上の足元にも及ばないぞ」


押さえつける門番に拘束される私に、彼の息子は蔑んだ目を向ける。


「母上は父の寵愛で年々美しさに磨きをかけているというのに…あんたはくすんだ婆さんだな」

「あら、女性にそんなこと言ってはダメよ」


地面に伏しながら睨み付けていると、どこからか女が現れ…私を見下ろしてきた。
彼の息子は、その女の腰を抱き寄せる。
どこかあの女に似た雰囲気の女に、さらなる怒りが沸いてきてしまう。
彼に瓜二つな息子だから余計に。


「離れなさいよ!」

「あらやだ、今度は貴方を狙っているわ」

「やめてよ。僕はこんな薄汚れたおばさんに興味のひと欠片もない。愛してるのは君だけだよ」

「ふふっ、くすぐったい」


私の目の前で、彼と瓜二つの男が私ではない女に寄り添い首筋に唇を這わせている。
そしてその女の腹は膨れていて…


「やめなさいよ!彼の子供を生むのは私よ!あんたの腹の子なんて死ねばいい!!」

「公爵夫人への暴言と、その嫡子への殺害予告だな。その旨詳細に伝えておこう」


ふたりは寄り添ったまま、屋敷へと歩いていく。
その後ろ姿はまさに彼とあの女で…


「待ちなさい!待てって言ってるでしょ!」


ふたりは振り向くことなく、きつく拘束されたまま袋を被された私は、そのままどこかへ運ばれていった。






◇◇◇◇◇◇
(その後)






じめじめとする薄暗い場所に閉じ込められて、どのくらいの時間が経っただろう。

私は公爵家への不敬と傷害を働いた罪で、薄汚い牢へと閉じ込められた。
彼に釈放を嘆願するも梨の礫。
早く彼に会わなければ、あの女の洗脳による毒牙から解放してあげられない。

彼が待っているのに、ここから出られない。
早く会いに行ってあげなくちゃ。
彼は喜んでくれる。
私の姿を見たら、その瞬間に両手を広げて私が飛び込むのを受け入れてくれる。


「ねぇ…早くここから出して。彼が待ってるの」

「いいぞ、出してやる……っ…」


抱かせれば出してくれるという牢番の言葉を信じたのに、何度抱かせようといつまでも釈放される気配はなく…気付くと私の腹は見覚えのある膨らみを帯びていた。

彼の子だ!彼の愛が私に届いた!
そう思い、一刻も早い釈放をと訴えたのに何故か私は解放されず、彼の子を身籠る腹は日に日に大きくなってしまう。


「早くここから出して!彼の子をこんなところで生むわけにはいかないんだから!!この子は公爵家の子供なのよ!私は公爵夫人!!」

「……あんた、頭でもおかしいのか?」


こんな場所にいたら愛の結晶が汚れてしまう!と暴れても敵わず、そんな日々はやがて出産を迎える直前まで続けられた。

そして生まれたのは……





彼の輝く金髪には程遠いくすんだ茶色の髪と、焦げ茶の瞳を持った赤子。
彼には似ても似つかない。
あの女が生んだ息子は彼に瓜二つなのに。
産み落とした赤子をそのままに、ふと顔をあげると…居並ぶ牢番達は皆、この赤子と同じような色味をしている事に気付いた。


「あ…あは……あははは…あははははははは…」


私が生んだのは彼の子ではない。
彼の子を生んだのはあの女だけ。

許せない。
許せない。
許せない。

彼は私のものなのに。
彼は私を愛しているのに。

彼は──────



一度も口付けをしてくれたことなどなかった。


一度も『愛してる』とは言わなかった。



嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。


「おい!!なにをしている!!!」
「こいつ、子供を殺しやがった!!」
「押さえろ!!手荒にしてもいい許可はある!」


愛してる。
早く会いに来て。
早く抱いて…疼きを止めて……



貴方は私の運命なのだから……












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