魔王にさらわれた聖女の君は、僕の言葉で堕とされ『花嫁』となる

K.A.

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Act 11

歪力

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「魔王と聖女が、永遠の愛を誓う大典たいてんが執り行われる前、君が控えているは、こんなところなのかい? 言葉での導き方が悪かったと謝っておこう。
 ふふ。
 アリスが、愛する人と結ばれたい場所は、人間どもに聖女として祭りあげられていた大聖堂なんだろ? 敬虔けいけんの念がどれほど深くても、君に何も与えてくれなかった、虚誕きょたんの象徴の神に、魔王の花嫁になるその姿を見せつけたいと考えてくれていて嬉しいな。
 飼いならされるような苛虐かぎゃくな扱いが正当であるといられていたんだ。大聖堂の広間に向かう前に控えている場所は、君にとって、ちゅうされる時を待つ監獄――粗末な寝具のみが置かれた、このように薄暗くて狭いおりそのものだったのだろう」

「その本……やめて……私の心の中を、見ないで……ああ……エリオット、法衣を脱がそうとしないで……あはっ! ふ、服に、手を入れないで……胸をでな……ぃ……いやぁ……魔王、やめて……烏夜うやまとう姿で、私の心の中に入ってこないで……はあ、はあ……あはっ!」

「ははっ。人間どもの聖女であった頃、と一つであると言わんばかりに着せられていたその法衣、僕の手で脱がされたいから、魔の典籍てんせきに願いを送り、具現ぐげんさせたんだろ? かどわかされ、この城に連れてこられた時のように、刑徒けいとあかしと等しいその白の、愛する者の手でがれるのを望むのは、恥ずべき事ではない。
 たみに向けて御託ごたくを並べる為、アリスに後棒あとぼうかつぐよういるなど――まさに、虚飾きょしょくに満ちたさまだ。神の権化ごんげになるのだと教え込まれ、否応なくまとっていた白のは、魔王の手にかかり、霧散むさんしてしかり」

「……し、下……隙間から手を入れないで……あは……エリオット、やめて……下をさわりながら……あは、あは……胸の下着を外さないで……胸をおおうものがなくなってしまう……ああっ! む、胸を、あらわにしないで……まないで……むねを、もまないで……」

「ふふふ。美しい色の胸の先、しっかりと僕の瞳に映させて。隠そうとする仕草しぐさ、可愛らしさが増すだけさ。ねえ、アリスは、本当はどんな自分になりたいの? 教えてほしいな」

「はあ、はあ……む、むねのさきを……な、なんども……刺激しないで……あは……し、下、脱がさないで……はあ、はあ……ほ、本当のわたし……あ……ああ……あ……え……ええ……だ、だれ……ど、どういう事? ……あ……あ……」

「おやおや。やはり君も、相応しいと思っているのは黒衣こくい――魔王の横に立つ者として烏夜うやまとうのが正しい姿だと考えていたんだね。我がにしっくりと吻合ふんごうするのは、僕が与えた漆黒のドレスだと教えてくれて嬉しいな」

『はい。花嫁になるべき彼女は、魔王さまとつねに共にありたいと考えています。私は、彼女が作り出したぞう。この心が、魔王さまの支配下として帰服きふくする事を願っているのだから、彼女は、あなたから一時いっときも離れたくないのです。随従ずいじゅうとして扱われる事を望んでいます。闇と等しい装いこそ、彼女のに相応しいいろどり』

「あ……あ……わ、私が、もう一人いる……これも、あの魔法の本の仕業しわざなの……」

「そうだよ。アリス、君が、本当になりたいおのさまは、魔界に調和し映える黒支度くろじたくまとった姿なんだ。
 面差おもざしだけでなく、すべてが似寄によりの彼女をよく見てごらん。聖女さまが生み出したぞうだから言い表させてもらうが、彼女の赤い髪、実である君と同じでうるわしい。そう、彼女は、君自身――」

「い……いぁ……む、胸の先を、つままないで……くんっ! あは、は……い、陰核いんかくでながら……はあ、はあ……胸をいじりながら、い、いんかくを……あ……首をめないで……や、やめて……ち、ちがう……それは、わたしじゃない……ちがう……」

「おや! 彼女の髪を、闇色に染めてしまうつもりかい? 髪の美しい赤を、彼女のに与えてしまうとは……僕が、君以外に対して、うるわしいなどと言ったから、嫉妬してしまったんだね。アリスが生み出したぞうとはいえ、すまなかった。
 すべては、僕のあやまち。許してもらえるよう、全身全霊を傾け、ろうをとるつもりだ。どのような事をしたら、アリスを塗炭とたんの苦しみから解放してやれるか、教えてほしい」

『彼女は、魔王さまから快楽を与えられる事を望んでいます。ここは――この牢獄は、魔王さまが授けてくださるえつから逃げ出したくない故に描いたもの。そこの鉄扉、監房の内側からじょうがかけられています。彼女は、魔王さまからみだりがわしくちゅうされる仕置き場として、この空間を作り出した。
 愛する魔王さまを受け入れる為、横たわったまま縛りあげられ、大切な部分の裂け目を開かれたいと願っている』

「な……そ、そんな事……私は、考えていな……い……いぃぃいい……あは……くんっ! くんっ! あは、あは……や、やめて……エリオット、魔法の触手で……あは、あは……触手で、胸の先をさわらない……で……わ、わたし……いま、なにも着ていないから、触手が、は、肌に触れると、おかしく……あは……し、下……裂け目……ゆ、ゆっくりと、こじ開けるみたいに……触手で、もてあそばない……で……」

「どう扱われているか、みずから口にしてくれるのは、愛の儀式の一つであると受け止めている。とても嬉しいよ。
 僕の可愛い聖女さま、明かり取りの為の鉄窓てっそうすらない、ろうそく檠灯けいとうのみのこのような獄所ごくしょに囚われたいのかい? 禁牢きんろう刑徒けいとは、この場で罰を受けるという事かな。
 そこかしこ塗りががれ落ちた石壁は、投獄された罪人を巻き込んで崩落してしまいそうなほど傷んでいるね。まあ、栄耀栄華えいようえいがを極めたで遇されようが、誅滅ちゅうめつの刑に服す場であり、そこで幽明境ゆうめいさかいことにするというのなら、むしろ、このように物恐ろしい方が似つかわしいか……ああ。もちろん、愛する君をがいしたりしないさ。だから、そんなに怯えた瞳をせず、備えられたベッドの上でくつろいでいてくれ」

「ああっ! あ、あ、あ、あ! ……や、やめて……しょ、触手で、私をベッドに縛りつけて……はあ、はあ……え……な、何これ、や、やわらか……い……やめ……エリオット、やめて……あ……ああああああっ!」

「どうかな?
 魔界の鳥獣ちょうじゅうの漆黒羽根を思い浮かべ、したものを具現ぐげんさせてみた。やわらかな触れ心地のそれに、胸の先や陰核いんかくいじられるのは、気持ちいいだろ?
 安心してくれ。身動きできないように、魔力で生み出したで手足を固縛しておくので、首や耳の裏も、しっかりと刺激される悦びを味わってほしい。胸の下あたりも縛ってやろう。背に力を込め、何もまとわぬを揺らそうと必死なさまも美しく感じるが、聖女さまがえつひたり切れない事があってはいけない。鉄枷と違い、魔力のは、蠢々しゅんしゅんたる懐生かいせいのような動きをする故、縛りあげたまま、ゆっくりと手首や胸の下を愛撫あいぶしてやる事もできるよ」

「ああ、ああ……あ、足の付け根に、触手が……あああは……触手が、う、動いてい……る……あは……胸を巻かないで……胸を巻くように、触手を動かさない……で……あは……や、やめて、エリオット……ああっ! は、羽根……こ、細かい動きで、胸の先や陰核いんかくを刺激されたら……あは……や、やぁあ」

「細いには、指先と等しい動きで、優しく胸をむようめいじておいたので楽しんでくれ。ももの上でうごめ先太さきぶとは、毒牙を持つ蛇ではないから心配はいらないよ。ふふふ。牢獄に囚われ、魔界のあるじからじかちゅうされる気分はどうかな?
 ああ。
 秋霜烈日しゅうそうれつじつ裁定さいていの責めにあうのではない。心満たされるような、怡楽いらくの境地に達してほしいんだ。仕置き場の露と消えるのは、君の中のおぞましい『聖なる力』だけ。ほら、僕に『魔の力』を注がれた時、より悦びが増すよう、内から滴りが止まらなくなるほど愛に溺れてほしい」
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