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Act 03
捧げられる念~消魂
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「……エリオット、騙していたのではなく、本当に愛していたというのなら、私の生に結びを――私の心を果てに届けてちょうだい」
「僕の愛しい聖女さま。
心も身体も美しい君が、一篇の詩を詠むように伝えてくれた冀望を受け入れてやろう。
さあ、身体を自由に動かせるんだ。自ら手足を伸ばしてくれ。
触れるだけで心を凍てつかせる魔界の鋼で縛られ、身動き許されぬ存在となるんだ」
「魔王……世界を裏切った聖女の私に、終焉を――」
「言われるがまま、手足を伸ばす聖女さま、可愛らしいよ。
今から、この魔王エリオット・ジールゲンに害されるというのに、素直に諾なう様、一枚絵にでもして残しておきたいほど美しい。
ふふ。
ほら、ご覧。
君の両手が、祭壇に繋がれた。
アリスの手首は重みを感じているだろ?
この金属のぶつかる音、耳の奥まで届いているかな。緊張を隠せていない表情の君の心には、どのような音として刻まれているのだろう?
しゃんしゃんしゃんと――魔界の底に生ある者を引きずり込む、魑魅魍魎どもを従える為の鈴の気味の悪い鳴りだと誤想してくれていたら嬉しいな。
あはははっ。
絶望すらできなくなる恐怖に、もっと、もっと、怯えてほしい!」
「私は、愛するという心を失う事に、怯えているだけ……魔王エリオット・ジールゲン、私の胸に剣を突き立て、最期を迎えさせて。
……これは、一人の男性として愛してしまったエリオットへのお願いでもあるわ」
「うんうん。
君の覚悟、しっかりと受け止めさせてもらったよ。
そして、今生の結びを迎える時に、愛する僕と二人きりで過ごせる歓びの気持ち、たしかに感じさせてもらった。
あははははっ。
嬉し過ぎて、心が躍るようだ! 望み通りに、胸に剣をさしこんでやろう」
「……お願い、エリオット。
魔法で作り出したその剣で、私の胸を……心まで一気に貫いてちょうだい。もう、何も考えたくない……はやく……おねがい」
「誠の心を持って差し出してくれたその足も、鎖で繋いでやらねばならない。
ふふふ。
これほど美しい生贄の儀を執り行うのは、長きを生きた僕でも初めてだ。
魔の短刀で、今より、聖女さまの身体を弄ばせてもらう。祭壇から自由におりられぬ供物に許されるのは、恐怖で身を震わせる事と、先行き価値を失ったと厭世する事のみ。魔王よりそう望まれていると理解し、麗しい絶念の様を見せてくれ」
「そうよ。
私は、生を続ける事を諦めたの。そして、愛する人を想う事を、諦めるの……一思いに、私の胸に剣をさしこんで……うん、そうして……そうやって、私の胸に剣を近づけてきて……エリオット、愛してしまって、ごめんなさい……せめて、私とともに……えっ! ひうぅぅうああああ!」
「どうかな?
僕の魔力で作られた短刀に胸の先を弄られるのは、心地がいいかい? 一枚布の隙間から、入らせてもらった。
ああ、顔がもう赤いようだ。吐く息が、どんどん荒くなっていく! では、もっと激しく弄ってあげよう」
「ひ、あ、ああああっ!
なに……む、胸が……おかし……くっ! くんっ!」
「左の胸の先を刺激してやる事を怠ってすまない。
快楽を与えられた悦びを隠せないほど、右の胸の先が突き出てしまっている! そうやって、身体の変化で素直に表現してくれて嬉しいよ。
ははっ。
先行き価値を失ったと厭世しているだろ? 胸を一突きにされ、生命と引き換えに聖なる力を放つ事で、この魔王エリオット・ジールゲンと相に果てるつもりであった君の冀望は、打ち砕かれたんだ!」
「あ……はうんっ! く、くびや、顎……あうん、あうんっ!」
「本来、満たされにくいはずの場所まで、この魔の短刀が触れると、まるで陰核を弄られた時のような快感が襲ってくるぞっ!
僕を騙そうとするなんて、酷いじゃないかっ。
魔王の仇敵である聖女の一族が、胸を突かれ果てる時に、聖なる力を放てる事ぐらい知っているさ。
ふふ。
毎夜、魔王と身体を重ねて、魔の者に近い今の君にそんな力が残っているかは知らんが――少し仕置きが必要そうだ。
アリスはすでに魔界の人間であり、魔王エリオット・ジールゲンに従うべき存在なのだと心に刻みつけて、分からせてやろう」
「あ、あ……むねのところに……剣をさしこまないで……あああんっ!」
「胸に剣をさしこんでほしいという君の願いを、受け入れただけじゃないか!
胸の谷間から腹にかけて走る快感から逃げられないだろ? 四肢を鎖で繋がれた上、生贄の装束で、魔の短刀がとどめられている。背中を動かして、振り落とそうとしても無駄だ!
そして、腹の下――衣よりあふれた刃先は、空を斬るだけで、手近い君の陰部を刺激してくれる事はないっ。
供物の扱われ方は、残忍な光景そのものと言える。
あはは。
聖女さま! 魔王を倒す事もできず、僕を愛する気持ちも止められなくなった事、その心の内、表情に滲み出るもので伝えてくれ!
ああ。
でも、僕に愛の告白をしてくれた君が、やはり愛おしい。君の香りや味――すぐそばにいられると実感したい」
「うああああっ!
し、下……な、舐めないで……お、おなか……剣をそれ以上、動かさないで……焼けるような感覚……こ、心がおかしくなるほど……き、気持ちよくて……ああんっ! む、胸の先を、さわらない……で、はうんっ!
ん……んんんっ!」
「……おいしいな。聖女さまの口の中。
下の方も、とても美味だったが、愛しい君の顔を見ながら唇を近づけられる事、幸せだよ。
悦に入れない残酷な想い、もっと心に刻み込んでやりたかったが、思わず、短刀の先をのけてでも、君の陰部に迫りたくなった。
指で触れると、とろりと絡みついてくる、君の大切な部分からあふれているもの、僕が与えた刺激が源となりわき出ているとしたら、喜ばしい限りだ。
そうだっ!
胸を突かれなかった代わりに、陰部の方を魔力の刃で一突きにされるというのはどうだろう? 心まで一気に貫いてほしいという願いを聞いてやっていなかった。僕がアリスを騙したのだと、永遠の語り草になってしまうといけない。
素直に謝っておくよ。
僕が悪かった。
では、詫びに、陰部を貫いてやろう。僕の魔力によって、君の内のすべてが色情に狂うんだ!
ほら、もう一本、今度は君の陰部を突くのによい長さの刃が、現に出でたよ」
「はあ、はあ……や、やめて……私を、これ以上、惑わせないで……はぅぅあああ!」
「ふふ……あはははっ。
素晴らしい生贄の儀を執り行えたよ!
聖女アリスという、最高の供物を育てあげた人間どもに、今日ぐらいは破滅を与えるのをやめてやるか。
ははっ。
もちろん、聖女さまが、この魔王エリオット・ジールゲンを寝所で楽しませている間――という条件つきだがな。
ああ。
寝所に入ったらすぐに、君の方から抱きついてきてくれそうなぐらい、乱れた様子だね。鎖を揺らす音が激し過ぎて、アリスの喘ぎ声がしっかり聞こえないよ。
君が常々望んでいた、魔王の生贄になるというのが、どういう事か、分かってくれたかな? もう理解していると思うが、艶めかしい様で、思考できないようなので、僕の口から告げておいてやろう。
冀望がすべて消え、生贄となる者は、絶望に呑まれるという事だよ。
祭壇の間には、必ず、犠牲となる者の無念の叫びが響く、そういう事だ――」
* * * * *
「う……う……はう……あう」
「……聖女さま、もっと……もっと、腰を振って……ああ……そう、もっと、しめて……ああ……気持ちいいよ……魔王の素肌を見たり、ましてや上にのる事を許されているのは……この世で、君だけだ……さあ、僕への愛を、好きなだけ伝えてくれ……」
「ご、ごめん……ご、ごめんなさい……魔王を倒せなくて……私、わたし……ううっ」
「……人間どもに贖いをしたいと思うなら……もっと、身体を上下に動かして、この僕を悦ばせるんだ……さもなくば、そこの水晶玉に映っている人里が消える事になるぞ……アリスは聖女としてのつとめを果たす為……魔王を悦ばせる生贄になるんだ……そろそろ、『魔の力』を送り込んでやる……供物として捧げられる花嫁か……よい興だな……さあ、一日でも早く僕の花嫁となれるように、今宵も、『魔の力』に狂わされるがいい……ふふ……生が結ばれるのではなく、今生で、僕と結ばれる為に」
「僕の愛しい聖女さま。
心も身体も美しい君が、一篇の詩を詠むように伝えてくれた冀望を受け入れてやろう。
さあ、身体を自由に動かせるんだ。自ら手足を伸ばしてくれ。
触れるだけで心を凍てつかせる魔界の鋼で縛られ、身動き許されぬ存在となるんだ」
「魔王……世界を裏切った聖女の私に、終焉を――」
「言われるがまま、手足を伸ばす聖女さま、可愛らしいよ。
今から、この魔王エリオット・ジールゲンに害されるというのに、素直に諾なう様、一枚絵にでもして残しておきたいほど美しい。
ふふ。
ほら、ご覧。
君の両手が、祭壇に繋がれた。
アリスの手首は重みを感じているだろ?
この金属のぶつかる音、耳の奥まで届いているかな。緊張を隠せていない表情の君の心には、どのような音として刻まれているのだろう?
しゃんしゃんしゃんと――魔界の底に生ある者を引きずり込む、魑魅魍魎どもを従える為の鈴の気味の悪い鳴りだと誤想してくれていたら嬉しいな。
あはははっ。
絶望すらできなくなる恐怖に、もっと、もっと、怯えてほしい!」
「私は、愛するという心を失う事に、怯えているだけ……魔王エリオット・ジールゲン、私の胸に剣を突き立て、最期を迎えさせて。
……これは、一人の男性として愛してしまったエリオットへのお願いでもあるわ」
「うんうん。
君の覚悟、しっかりと受け止めさせてもらったよ。
そして、今生の結びを迎える時に、愛する僕と二人きりで過ごせる歓びの気持ち、たしかに感じさせてもらった。
あははははっ。
嬉し過ぎて、心が躍るようだ! 望み通りに、胸に剣をさしこんでやろう」
「……お願い、エリオット。
魔法で作り出したその剣で、私の胸を……心まで一気に貫いてちょうだい。もう、何も考えたくない……はやく……おねがい」
「誠の心を持って差し出してくれたその足も、鎖で繋いでやらねばならない。
ふふふ。
これほど美しい生贄の儀を執り行うのは、長きを生きた僕でも初めてだ。
魔の短刀で、今より、聖女さまの身体を弄ばせてもらう。祭壇から自由におりられぬ供物に許されるのは、恐怖で身を震わせる事と、先行き価値を失ったと厭世する事のみ。魔王よりそう望まれていると理解し、麗しい絶念の様を見せてくれ」
「そうよ。
私は、生を続ける事を諦めたの。そして、愛する人を想う事を、諦めるの……一思いに、私の胸に剣をさしこんで……うん、そうして……そうやって、私の胸に剣を近づけてきて……エリオット、愛してしまって、ごめんなさい……せめて、私とともに……えっ! ひうぅぅうああああ!」
「どうかな?
僕の魔力で作られた短刀に胸の先を弄られるのは、心地がいいかい? 一枚布の隙間から、入らせてもらった。
ああ、顔がもう赤いようだ。吐く息が、どんどん荒くなっていく! では、もっと激しく弄ってあげよう」
「ひ、あ、ああああっ!
なに……む、胸が……おかし……くっ! くんっ!」
「左の胸の先を刺激してやる事を怠ってすまない。
快楽を与えられた悦びを隠せないほど、右の胸の先が突き出てしまっている! そうやって、身体の変化で素直に表現してくれて嬉しいよ。
ははっ。
先行き価値を失ったと厭世しているだろ? 胸を一突きにされ、生命と引き換えに聖なる力を放つ事で、この魔王エリオット・ジールゲンと相に果てるつもりであった君の冀望は、打ち砕かれたんだ!」
「あ……はうんっ! く、くびや、顎……あうん、あうんっ!」
「本来、満たされにくいはずの場所まで、この魔の短刀が触れると、まるで陰核を弄られた時のような快感が襲ってくるぞっ!
僕を騙そうとするなんて、酷いじゃないかっ。
魔王の仇敵である聖女の一族が、胸を突かれ果てる時に、聖なる力を放てる事ぐらい知っているさ。
ふふ。
毎夜、魔王と身体を重ねて、魔の者に近い今の君にそんな力が残っているかは知らんが――少し仕置きが必要そうだ。
アリスはすでに魔界の人間であり、魔王エリオット・ジールゲンに従うべき存在なのだと心に刻みつけて、分からせてやろう」
「あ、あ……むねのところに……剣をさしこまないで……あああんっ!」
「胸に剣をさしこんでほしいという君の願いを、受け入れただけじゃないか!
胸の谷間から腹にかけて走る快感から逃げられないだろ? 四肢を鎖で繋がれた上、生贄の装束で、魔の短刀がとどめられている。背中を動かして、振り落とそうとしても無駄だ!
そして、腹の下――衣よりあふれた刃先は、空を斬るだけで、手近い君の陰部を刺激してくれる事はないっ。
供物の扱われ方は、残忍な光景そのものと言える。
あはは。
聖女さま! 魔王を倒す事もできず、僕を愛する気持ちも止められなくなった事、その心の内、表情に滲み出るもので伝えてくれ!
ああ。
でも、僕に愛の告白をしてくれた君が、やはり愛おしい。君の香りや味――すぐそばにいられると実感したい」
「うああああっ!
し、下……な、舐めないで……お、おなか……剣をそれ以上、動かさないで……焼けるような感覚……こ、心がおかしくなるほど……き、気持ちよくて……ああんっ! む、胸の先を、さわらない……で、はうんっ!
ん……んんんっ!」
「……おいしいな。聖女さまの口の中。
下の方も、とても美味だったが、愛しい君の顔を見ながら唇を近づけられる事、幸せだよ。
悦に入れない残酷な想い、もっと心に刻み込んでやりたかったが、思わず、短刀の先をのけてでも、君の陰部に迫りたくなった。
指で触れると、とろりと絡みついてくる、君の大切な部分からあふれているもの、僕が与えた刺激が源となりわき出ているとしたら、喜ばしい限りだ。
そうだっ!
胸を突かれなかった代わりに、陰部の方を魔力の刃で一突きにされるというのはどうだろう? 心まで一気に貫いてほしいという願いを聞いてやっていなかった。僕がアリスを騙したのだと、永遠の語り草になってしまうといけない。
素直に謝っておくよ。
僕が悪かった。
では、詫びに、陰部を貫いてやろう。僕の魔力によって、君の内のすべてが色情に狂うんだ!
ほら、もう一本、今度は君の陰部を突くのによい長さの刃が、現に出でたよ」
「はあ、はあ……や、やめて……私を、これ以上、惑わせないで……はぅぅあああ!」
「ふふ……あはははっ。
素晴らしい生贄の儀を執り行えたよ!
聖女アリスという、最高の供物を育てあげた人間どもに、今日ぐらいは破滅を与えるのをやめてやるか。
ははっ。
もちろん、聖女さまが、この魔王エリオット・ジールゲンを寝所で楽しませている間――という条件つきだがな。
ああ。
寝所に入ったらすぐに、君の方から抱きついてきてくれそうなぐらい、乱れた様子だね。鎖を揺らす音が激し過ぎて、アリスの喘ぎ声がしっかり聞こえないよ。
君が常々望んでいた、魔王の生贄になるというのが、どういう事か、分かってくれたかな? もう理解していると思うが、艶めかしい様で、思考できないようなので、僕の口から告げておいてやろう。
冀望がすべて消え、生贄となる者は、絶望に呑まれるという事だよ。
祭壇の間には、必ず、犠牲となる者の無念の叫びが響く、そういう事だ――」
* * * * *
「う……う……はう……あう」
「……聖女さま、もっと……もっと、腰を振って……ああ……そう、もっと、しめて……ああ……気持ちいいよ……魔王の素肌を見たり、ましてや上にのる事を許されているのは……この世で、君だけだ……さあ、僕への愛を、好きなだけ伝えてくれ……」
「ご、ごめん……ご、ごめんなさい……魔王を倒せなくて……私、わたし……ううっ」
「……人間どもに贖いをしたいと思うなら……もっと、身体を上下に動かして、この僕を悦ばせるんだ……さもなくば、そこの水晶玉に映っている人里が消える事になるぞ……アリスは聖女としてのつとめを果たす為……魔王を悦ばせる生贄になるんだ……そろそろ、『魔の力』を送り込んでやる……供物として捧げられる花嫁か……よい興だな……さあ、一日でも早く僕の花嫁となれるように、今宵も、『魔の力』に狂わされるがいい……ふふ……生が結ばれるのではなく、今生で、僕と結ばれる為に」
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