R18)社長室のキスで異世界転移パイロットになった私は、敵方・イケメン僕キャラ総帥に狂愛されて困っています【連載版】

K.A.

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『愛に溺れる』選択しかなさそうで困っています

(9)-(1)

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 社長。
 さよならする為に、ファウンテに戻りましょう。


* * * * *


 草木の香りが漂っている。
 爽やかな雰囲気が鼻に届いた。身体がここにある――そういった感覚を再びおぼえる。思いが動いているのに、自分たち以外に瞳に映るものがなかったので、すべてが失われてしまうような恐怖に襲われたけど、望んだ通りに、ファウンテに戻れたと気づき、すぐ行動に移す。

「……社長……ごめんなさい!」

 現代日本のまま、ダークスーツ姿の社長に抱きしめられ異世界ファウンテにやってきた形だった。
 社長の身体を突き放す。

「ア、アリス姉さん……?」

 私の発言に驚いた状態でこちらに戻ってきた社長には、隙があった。腕をすり抜け、社長のそばを離れる。そして、駆ける。
 望んだ通りに、アリストメモリーの中に戻ってこられた。
 アリストと融合していない。
 最初にファウンテに召喚された時と一緒で、私は私のままで、アリストもアリストのまま。ただ、アリストは、現代日本に戻る直前と変わらず拘束されている。

 さて、私は戦って、社長に勝って、ファウンテの英雄になれるだろうか――
 漫画やアニメやライトノベルから得た戦闘知識ぐらいしかない、リストラ候補の事務用品棚係が考えた、ほとんど賭けの作戦だけど、現代日本も存在する向こうの世界でもかなりの影響力を手に入れている社長をどうにかこうにかするには、何でもいいから前に進むしかない。

「ふふ……捕まえた。わざと悪さをして、ベッドの上で、僕から激しい罰を与えられたいのかな? アリス姉さんは、本当に可愛らしい……」

 振り返るほどのしかなかった。

「ん……んんんんっ!」

 冴えないOLの身体は、あっさりと社長の腕の中に囚われてしまった。口の中に社長の舌が入ってきて、呼吸が安定しないほど激しい動きを与えられる。
 回された腕の力が強く、逃げ出せない。
 事務服ベストもブラウスも前が開いたまま。あっというにブラジャーの中に社長の手が入ってくる。フロントホックを外され、胸の先を、転がされるようにられる。
 抵抗むなしく、ファスナーをおろされたタイトスカートが地面に落ちる。
 ショーツのゴムは、護りの意味をなさず、隙間から社長の手が入り込み、お尻に指先がう。気味の悪い甘い刺激が肩の上まで届き、首筋にうずきのようなものを感じるのとほぼ同時に、身体から力が抜けていってしまう。
 一目でジェネの者と判断できないはずの、ダークスーツ姿の社長にもてあそばれてしまう。

 社長の舌が動く。ぴちゃぴちゃという音に応じなくては、喉をまともに動かす事もできない。
 片手だけなのに、手のひらを上手に使って、両方の胸を刺激してくる。社長の手が、再び下の方に移動する。割れている部分をこする指が、ねとっと濡れて、滑らかな動きをして、敏感な場所を激しく責められてしまう。

「ん……ん……ん……ん……ぷは……あ、あ、あ、あっ!」

 唇が解放されたと思ったら、肩をつかまれ、立たされたまま大切な部分の割れ目に指を押し込まれた。
 よく見えないけど、ショーツがめくられているらしく、肌に触れる様子がねじ曲がって感じる。
 言葉ではなく、熱い息の塊が、私の口からたくさん漏れている……い、いけない……どうにかしないと……この快楽に呑まれたら、決死の覚悟でファウンテに戻ってきた意味がなくなってしまう。

「ふふふ。アリス姉さん、何か企んでいたの? それとも、僕の心を満たす為に、狩られる獲物のさまを演じてくれたのかな? 可愛らしい。本当に、可愛らしいよ! さあ、僕の妻になると誓え! とっくにゲームセットだったのに、君と遊びたいから試合延長に応じてやっていただけだ!」

 総帥の衣裳を着ていないのに、社長は、ジェネの頂点に君臨する者の表情を隠さず見せてくる。
 だけど、さっき抱き寄せられた時、社長、少し震えていた気がする。
 気がするだけで、思い違いかもしれない。私が感じた事が間違いじゃないなら、悪に戻らなくてはいけないと必死になっているようにも思える。
 うっ。刺激が強い……と、とにかく、どうにかしないと……あ、ああっ!

「あ、あ、ああっ! く……あ……ゆ、指……あ……や、やめて、社長……ゆ、指を、割れ目の中の指を、動かさないで……あ、あは、あはっ!」

「ははっ! うるわしいさまを見せ、蜜をあふれさせてしまえばいい! 気にせず、僕の指を強く締めつけてくれてもいいんだよっ。アリス姉さん! もっと乱れてしまえばいい! しっかりと濡れているようだし、きつい今のうちに、指を二本入れてやろう。お馬さん、結婚生活にも取り入れてあげるよ。あははっ。楽しい一時ひとときを過ごして、腰が砕けてしまっても大丈夫だ。僕が責任を持って連れ帰るからね……ふふ。胸の先も、くわえてやろう……」

 ちゅぱっという音とぐちゅっという音がまじって、あたりに響く。ちゅぱっは、社長の口からあふれたものが生み出す音で、ぐちゅっは……私の大切な部分からあふれたものが生み出す音……社長の唇と指が、水音を生み出す為に動いている……
 だ、だめ。このままじゃ、すべてが喰われる結末だ。
 アリストの意識を……あっ! そっか、アリストと融合していない。そうだった。私が、今すべき事は……私が、今できる事は、アリストと――

「あは、あは……あは……あ、あ、あ……ア、アリスト……お願い……もう一度だけ、私と一つになって……お願い……独りで、別の世界になんて行きたくないから残ったんでしょ? 大好きな人のいるここに戻ってこられて、もうどこにも行きたくないんだよね。それは、分かっているわ……だから、私は、あなたに幸せになってほしいの……きて……私が、今、身体を重ねたいのは……アリスト、あなただから……」

「なるほど。ファウンテに戻って、再びアリストと融合するつもりだったのか。そして、僕を倒すと……ふ……あははははっ! 本当に、可愛らしい考えだ! 現代日本の事務員さんの企み、いとおしく感じるよ。アリストと融合してもらうのは、君のを護る為に必須だと言っているだろ。楽しませてくれた事に対し、快楽を授けたいな。植物で埋められた寝所ねどこで行為におよぶ事になるが、君の大切な部分をめてあげる……」

 大切な部分から勢いよく指を抜かれ、喘ぎ声か叫び声か分からないものが漏れてしまうほどの刺激が襲ってきた。
 植物の根なのか、茎なのか、葉なのか……そんな場所に押し倒された。
 私の口は、「あうっ!」と叫ぶ為に、何度も、何度も、動く。
 ショーツをめくられ、め回されるように、大切な部分の割れ目をいたぶられる。
 私の足が揺れる様子を楽しんでいそうな社長の顔が一瞬だけ目に入る。
 デリケートな部分である小さな突起というやつに、下から上に向かって舌をあてられたのだと思う。激しさにたえられず、「きゅん、きゅん……」と鳴いていた私の顔をたしかめ、社長は、嬉しそうな表情を見せる。
 社長の舌の刺激から解放され、もう鳴かなくていいのに、「きゅん……」という声が、私の口から漏れた。

「二人は、もう夫婦めおとになったも同然なんだ。快楽に溺れるさまを隠す必要はない。初めてファウンテに招いた時、段取りが狂い、薄汚い連中のところでアリストと融合する事になってしまい申し訳なかったよ。何度謝っても言い訳にしか聞こえないと思うが、近くにはいたんだ。だが、僕もこちらに戻ってすぐの状態で、君を救い出せなかった。すべては僕のミスだ。すまない……今度は、僕の目の前で、聖戦の英雄になれるほどの力を手に入れてほしい。アリス姉さん、しばしとはいえ君と身体が離れてしまうのは寂しいが、二人の愛を永遠とわのものにする儀式の一つとして、アリストとの再融合に臨んでほしい」

 現代日本でいつも見せてくれていた、穏やかそのものという様子で、頬や髪をゆっくりとでてくれる社長の心からは、絶対に私を護りたいという、たしかな優しさが漂っていた。だけど、狂気が立ち込め、すぐ目の前が見えていなさそう。ファウンテに戻り、再び怯えにくるまれ、大きく狂ってしまったのかもしれない。
 温かみを感じる心地から離れたくなくて。ずっと愛情で満たされていたくて。これからも一緒に時を過ごしたくて。
 だから、何もかもを見失って、悪になる事だけを目指して――
 快楽に溺れさせられた直後の身体は、まだ自由に動かないけど、心の方は、今にも泣き出しそうな小さな男の子を護ってあげたいような気持ちになっていた。
 社長……子供の頃のおもちゃ遊びと違って、社長を倒す必要があるんです。
 でも、ミニな社長と結婚したいと思った時と同じで、私も、あなたの腕の中に飛び込みたいんです。

「今度は、アリストと融合してすぐ僕の腕の中に飛び込んでこられるよ。ファウンテで結ばれるリトライをしよう」

 アリストと初めて融合した時、社長と離れ離れになっていましたね。現代日本ではない場所と知って怖かったんです。社長と一緒じゃなくて心細かったんです。
 私は、世界を救うなんて大きな事を考えられるようなうつわじゃなかった。
 アリストが聖戦の英雄と聞いて、魂が同じだって言われても、そんな女性に受け入れてもらえるはずがないと思いました。
 気づくとクラティアの中にいました。
 アリストは、私を受け入れてくれたんです。
 指はいつも通りに動くのに、髪の色が彼女の赤になっていて……事務服の下に、アリストが着ていた水着みたいなボディスーツがあって驚きましたけど、クラティアの操縦方法を知っていて当たり前のように感じました。

 アリストと融合してコックピット内で目をさましたら、戦う為の方法を知っているというか――彼女の意識が浮かびあがってきて、いろいろできそうな気がしてきました。
 なのに、アリストがどんな想いなのか、ずっと分からなかった。「同じ魂を使える人間なら教えてほしいな」と自分の中のアリストに聞いてみた事はありましたけど、教えてくれませんでした。

「……社長。私は、この世界の大魔王みたいなのに社長が捕まっていて、助けを求めているかもしれないあなたの様子を思い浮かべながら、アリストと一つになったんです。生命維持装置の中のアリストの姿は、弱々しく見えて――彼女と融合しても、社長を助けて現代日本に無事に帰れるのか不安でした。いざ融合してみると、新しい身体を手に入れたというよりも、しっくりと馴染むというか、そんな感じでした。コックピット内で目を開いて、あの時、これなら社長を助けられると思いました。社長とこれからもずっと一緒にいられると、冀望きぼうが見えたんです」

「二人はずっと一緒にいられるよ。これからもそばにいてほしい。僕を助けたいと思ってくれていたのか。嬉しいな。たしかに、僕は、君の助けを求めている。薄汚い連中に破滅をもたらし、世界の覇権を握る必要があるからね。アリス姉さん、クラティアのパイロットとして、僕と共にファウンテの支配者になってくれ。ほら、今度は僕の妻として、アリストと融合してほしい。アリストだって、薄汚い連中の滅びを望んでいるはずだ」

「いいえ。アリストは、そんな事を望んでいません。ただ、愛に溺れたいと考えていただけなんです……きっと、そうなんです! 今の私と同じように、愛する人の事だけを考えていたんです!」

「僕も、君との愛に溺れたいと考えているよ。他のすべてを失っても、君だけは護り抜くと約束する。アリス姉さんを愛する事が僕のすべてさ。君と離れたくない。だから、ファウンテの支配者になりたい。悪を貫く故は、たしかな愛をこの手におさめたいから」

 音の鳴るおもちゃに喜ぶ、ミニな社長の笑顔。すごく昔の事で、記憶としてはっきりと頭に残っているものではないけど、社長室で、私が告白を受け入れた時の喜ぶ顔と重なる。
 社長、リストラ候補の事務用品棚係をそこまで愛してくださってありがとうございます。
 なのに、消えてもらう事になるのをお許しください。
 ごめんなさい……

「私は、ファウンテの英雄になりたい! 私が私を貫くのは、たしかな愛をこの手におさめたいからです! 社長、覚悟してください!」

 アリスト、もう一度だけ、身体を重ねよう。冴えないOLの心と身体とあなたの魂を、あなたの身体の中に入れて。
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