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『祝・採用』、イコール『強制連行決定!』で困っています
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「ご趣味は読書ですか。なるほど。僕も、本を読むのは好きです。親睦を深めていくにあたり、気が合う要素は多い方がよいと思います。どのような本を読みますか? 漫画? アニメ雑誌? ああ。ライトノベル。最近はネット小説もたくさん読んでいる」
う。お見合いって、こんな感じなのだろうか。想像と大きくかけ離れた展開になっている。
その趣味の欄、字形も字体も書体も馴染みがないのを使って、丁寧に書いたつもりなんですけど。
就職活動をしていた頃、百社以上落ちたので、開き直って、『履歴書を書くプロ!』を名乗っていた私の直筆ファウンテ文字を指でなぞるような仕草をしながら、小さめなのに威圧感たっぷりの低い声で、社長は、「採用」と言った。
久々に生でお会いしたけど、相変わらず、お気に入りキャラたちの声をあててほしいと思うぐらいにイケボだ……って、そんな事を考えている状況じゃない。
「……履歴書を見る前から、私の採用が決定していたと、さっき言っていませんでしたっけ?」
「ふふ。おぼえていてくれて嬉しいよ」
椅子から身体を離し、社長は、窓の方へ歩いて行った。羽織っている濃緑のマントが揺れて、その下に着ているジェネの総帥用の白い軍服が見え隠れしている。
「アリス姉さん、すまない。迎えの車は、まだ到着していないようだ。もう少し、この手狭な部屋で待ってくれ」
「もうすぐ、私の仲間が迎えにきますから、お気になさらず」
アリストの意識を強くして、冴えないOLの動揺を表に出さないようにする。
「外に見える結婚相談所の看板、たくさんの交流を経て、やがて運命の人と出逢う、と書かれているが、運命の人である僕といきなり出逢う事になった君は、そのままロマンチックな成婚ゴールインだ。ふふ。戻ったら、今度こそ君の純潔を捧げてもらう。夫に忠誠を尽くすしおらしい様を見せてくれても構わないが、僕に足を大きく開かれても、怯えを隠して、ベッドの上で気丈に振る舞うアリス姉さんの姿も見てみたいな。胸への激しい愛撫で乱れた後、口では否定しているのに、大切な部分の割れ目が少し開かれただけで雫を滴らせてしまう。想像しただけで、君も楽しい気分になってこないか? そうだっ! そのままの状態で、足を固定してあげよう。初めて僕を受け入れる時、女性の君が痛い思いをする事があってはいけない。感情が高ぶり、興奮し、精神を集中する事がかなわなくなるほど、アリス姉さんの身体を愛でてあげよう。シーツの上に漏れ出るものが止まらないほどになったら、僕は、夫としてのつとめを果たせたと判断して、一つにならせてもらう」
就職活動の時と違って、結婚相談所の登録書類に触れる事ないまま、青い瞳でハーフっぽい上に眉目秀麗で、イケボで、空中戦艦を自家用に維持できるぐらいの高収入で、ジェネの総帥エリオット・ジールゲンを知らぬ者はいないというぐらいの社会的地位ありで、一途な愛情過ぎて狂っている男性とマッチング完了ですか。
仰る通り、社長にグイグイこられる想像をしただけで、楽しい気分になってしまった事は数え切れないほどありますよ。君の妄想を現実のものにしてあげると言わんばかりに、狂愛プロポーズされる事になるとは、現代日本でほのぼのデートをしていた頃は思いませんでしたが。
椅子に座ってじっとしているしかない事務用品棚係の視線は、部屋の中で、泳ぐというか、ぷかぷか浮いていた。
応接室とは名ばかり。在庫なのか、書籍が、今にも解けそうな縛り方で束ねられ、壁際に積みあげられている。う。この本たちに栞を挟むお仕事の面接の予定だったのに、履歴書を持ってきただけで、社長が太鼓判を押してくれるような採用に漕ぎ着けてしまうとは。
ファウンテにも履歴書があると聞き、筆をあてたい気持ちがどうにも抑えられず、偽装応募の作戦に、他を圧倒する勢いで力強く立候補してしまったが……まさか、いきなり社長面接になるなんて。
聖戦の女英雄の視線は、僅かな情報しか漂わないその空間の波を掻き分けながら、生存をたしかにする為の方角をつかもうとして動いてくれていた。
「本の流通ルートを使って、ジェネの作戦情報を流している事、まさか、薄汚い連中に気づかれているとは思っていなかったよ。こういったやり方は、通信網の発達していない地域を統制するのに非常に有効だ。おぼえておきたまえ」
「敵の私に、そういう情報を教えていいんですか?」
「僕は、履歴書持参の上で、ジェネの一員になってくれたアリス姉さんに話しかけているつもりだ。生まれも現住所も経歴も……記入が偽りでも問題ないよ。ふふ。そういえば、今日は私服姿なんだね。栞を挟む業務がてきぱきと行える人材だとアピールする為に、シンプルデザインのブラウスをトップスに、ベルトつきキュロットパンツでこの出版社にきたのかな? 現代日本がある世界で、フレアが可愛らしいキュロットパンツとノースリーブブラウスでデートにきてくれた事があったね。僕に会ったら、肩が見えるデザインで恥ずかしくなってきたから、一度家に帰って着替えてくると言い出して困ったよ。目に入ったアパレルショップに連れて行き、カーディガンをプレゼントさせてもらったが、今日も服の贈りものをしたいな。車内で、下着まで含めてすべて脱がせて、僕の贈ったもののみで君の身を包みたい。アリス姉さんの肩、飾らなくても美しい。恥ずかしくなって、家に帰りたいというのなら、快く許可しよう。帰るのは、二人が愛を育む為の家なのだから」
やはり社長も、この場で戦闘状態になる事は避けたいようだ。警戒している様子が見られる。羽目を外すような真似は、ジェネの影響力が強い地帯に入るまで控えるつもりなのだろう。
状況を整理した方がよさそうだ。
ナンナンに聞いた話では、この商工業都市ティンテは、ジェネとは利益共同関係のような感じとの事。要するに、ジェネのお財布。多額の献金をしている反面、街中にジェネの戦闘員を公然と滞在させない事を約束させているらしい。
業務改善を常に求められ、効率化を図る事を強いられ、無駄が一切許されない。事務用品棚係なんて、即リストラされてしまいそうなぐらい厳しい労働条件があふれる街だと聞いた。
技能見習いの応募を装いこの出版社にきて、受付近くで座って待っている間、現代日本で、不採用の嵐に身を打たれていた頃の事を思い出してしまった。百社以上落ちたので、毎日毎時が面接と言っても過言ではないほど。冴えない私が、ネット情報に頼る事なく、大都会の乗り換えをスムーズに行えるようになったぐらい電車で移動の毎日だった。栄養ドリンクをかなりの回数購入したはずの売店の人の顔もおぼえていなかったと後で思ったほど、駅のホームでフラフラになっていた頃と同じく、「『採用』をいただければ、どのようなお仕事でも文句を言わずにいたします」と心の中でぶつぶつ呟いていた。
「特殊コーティングした、通信機能を持つ栞を、本に挟むつもりだった。そして、本の届け先を流通経路から割り出す――困るな。そういったトレーサビリティは、品のないマーケティング行為。だが、それは、あの薄汚い連中に脅されたからであって、アリス姉さんの意思ではないんだろ?」
応接室で面接をすると部屋に通され、椅子に座って待っていたら、社長が入ってきた。当然のようにそのまま閉じ込められた。どうやって逃げるか、まだ思いつけていない。
二人きりになってから、お言葉をぶつけてくるばかりだったけど、ついに私の首筋に社長の手が伸びてくる。
「後ろから急に触られても、動揺した素振りを見せてくれないんだね。警戒しているの?」
「社長こそ、警備が薄いここで、私の仲間が助けにきたら気をつけないといけないんじゃないですか?」
アリストの意識は、自力のみで逃げるのは難しいと判断しているようだ。
私の仲間たちが先にこれば勝ち。ジェネの者たちが先にこれば負けという、単純なゲームルールが敷かれた状況。
「うん。そうだね……」
「……あ」
いけない。首筋やうなじを、しつこく何度も舐められて、思わず声を漏らしてしまった。
後ろにいる社長の顔をまともに眺める事ができなかったけど、おそらく一度ニヤッとしてから、両手を私の頬に伸ばしてきた。
唇を触ったり、顎を撫でたり、おでこを擦ったり。私の顔を少し手荒に扱った後、社長の手は、いよいよ胸に迫ってきた。
「やめて……服の上から、胸を触らないで……あ……」
「君の胸、僕に触られたかったと不平不満をぶつけてくるように、刺激に応じてくれているよ。胸の先が突き出している様を、皆乍ら晒したいと訴えかけたいのではないかな?」
「も、揉まないで……」
「下、濡れ始めているのかな。たしかめたいな。そして、アリス姉さんをしっかり楽しませてあげたい。だが、帰路につくまでは、軽い愛撫だけで我慢してくれ。申し訳ない……しかし、君が手に入ったのだから、ティンテにきた甲斐が別の意味であった。むしろ、大収穫だ! ふふ。臣従になろうとしない、今の市長のリストラを本気で考えようと思ってね。直接、僕が足を運んだという訳さ。影響力を持ってしまった人間に、第二の人生を用意しない形で円満退職してもらうのは意外と面倒なんだ」
社長が悪い事をしようとしている。それは、すぐに理解できたけど、私が何か口にするより前に胸を刺激され、言葉にならず、「ああ……」と小さな声だけが漏れた。
う。お見合いって、こんな感じなのだろうか。想像と大きくかけ離れた展開になっている。
その趣味の欄、字形も字体も書体も馴染みがないのを使って、丁寧に書いたつもりなんですけど。
就職活動をしていた頃、百社以上落ちたので、開き直って、『履歴書を書くプロ!』を名乗っていた私の直筆ファウンテ文字を指でなぞるような仕草をしながら、小さめなのに威圧感たっぷりの低い声で、社長は、「採用」と言った。
久々に生でお会いしたけど、相変わらず、お気に入りキャラたちの声をあててほしいと思うぐらいにイケボだ……って、そんな事を考えている状況じゃない。
「……履歴書を見る前から、私の採用が決定していたと、さっき言っていませんでしたっけ?」
「ふふ。おぼえていてくれて嬉しいよ」
椅子から身体を離し、社長は、窓の方へ歩いて行った。羽織っている濃緑のマントが揺れて、その下に着ているジェネの総帥用の白い軍服が見え隠れしている。
「アリス姉さん、すまない。迎えの車は、まだ到着していないようだ。もう少し、この手狭な部屋で待ってくれ」
「もうすぐ、私の仲間が迎えにきますから、お気になさらず」
アリストの意識を強くして、冴えないOLの動揺を表に出さないようにする。
「外に見える結婚相談所の看板、たくさんの交流を経て、やがて運命の人と出逢う、と書かれているが、運命の人である僕といきなり出逢う事になった君は、そのままロマンチックな成婚ゴールインだ。ふふ。戻ったら、今度こそ君の純潔を捧げてもらう。夫に忠誠を尽くすしおらしい様を見せてくれても構わないが、僕に足を大きく開かれても、怯えを隠して、ベッドの上で気丈に振る舞うアリス姉さんの姿も見てみたいな。胸への激しい愛撫で乱れた後、口では否定しているのに、大切な部分の割れ目が少し開かれただけで雫を滴らせてしまう。想像しただけで、君も楽しい気分になってこないか? そうだっ! そのままの状態で、足を固定してあげよう。初めて僕を受け入れる時、女性の君が痛い思いをする事があってはいけない。感情が高ぶり、興奮し、精神を集中する事がかなわなくなるほど、アリス姉さんの身体を愛でてあげよう。シーツの上に漏れ出るものが止まらないほどになったら、僕は、夫としてのつとめを果たせたと判断して、一つにならせてもらう」
就職活動の時と違って、結婚相談所の登録書類に触れる事ないまま、青い瞳でハーフっぽい上に眉目秀麗で、イケボで、空中戦艦を自家用に維持できるぐらいの高収入で、ジェネの総帥エリオット・ジールゲンを知らぬ者はいないというぐらいの社会的地位ありで、一途な愛情過ぎて狂っている男性とマッチング完了ですか。
仰る通り、社長にグイグイこられる想像をしただけで、楽しい気分になってしまった事は数え切れないほどありますよ。君の妄想を現実のものにしてあげると言わんばかりに、狂愛プロポーズされる事になるとは、現代日本でほのぼのデートをしていた頃は思いませんでしたが。
椅子に座ってじっとしているしかない事務用品棚係の視線は、部屋の中で、泳ぐというか、ぷかぷか浮いていた。
応接室とは名ばかり。在庫なのか、書籍が、今にも解けそうな縛り方で束ねられ、壁際に積みあげられている。う。この本たちに栞を挟むお仕事の面接の予定だったのに、履歴書を持ってきただけで、社長が太鼓判を押してくれるような採用に漕ぎ着けてしまうとは。
ファウンテにも履歴書があると聞き、筆をあてたい気持ちがどうにも抑えられず、偽装応募の作戦に、他を圧倒する勢いで力強く立候補してしまったが……まさか、いきなり社長面接になるなんて。
聖戦の女英雄の視線は、僅かな情報しか漂わないその空間の波を掻き分けながら、生存をたしかにする為の方角をつかもうとして動いてくれていた。
「本の流通ルートを使って、ジェネの作戦情報を流している事、まさか、薄汚い連中に気づかれているとは思っていなかったよ。こういったやり方は、通信網の発達していない地域を統制するのに非常に有効だ。おぼえておきたまえ」
「敵の私に、そういう情報を教えていいんですか?」
「僕は、履歴書持参の上で、ジェネの一員になってくれたアリス姉さんに話しかけているつもりだ。生まれも現住所も経歴も……記入が偽りでも問題ないよ。ふふ。そういえば、今日は私服姿なんだね。栞を挟む業務がてきぱきと行える人材だとアピールする為に、シンプルデザインのブラウスをトップスに、ベルトつきキュロットパンツでこの出版社にきたのかな? 現代日本がある世界で、フレアが可愛らしいキュロットパンツとノースリーブブラウスでデートにきてくれた事があったね。僕に会ったら、肩が見えるデザインで恥ずかしくなってきたから、一度家に帰って着替えてくると言い出して困ったよ。目に入ったアパレルショップに連れて行き、カーディガンをプレゼントさせてもらったが、今日も服の贈りものをしたいな。車内で、下着まで含めてすべて脱がせて、僕の贈ったもののみで君の身を包みたい。アリス姉さんの肩、飾らなくても美しい。恥ずかしくなって、家に帰りたいというのなら、快く許可しよう。帰るのは、二人が愛を育む為の家なのだから」
やはり社長も、この場で戦闘状態になる事は避けたいようだ。警戒している様子が見られる。羽目を外すような真似は、ジェネの影響力が強い地帯に入るまで控えるつもりなのだろう。
状況を整理した方がよさそうだ。
ナンナンに聞いた話では、この商工業都市ティンテは、ジェネとは利益共同関係のような感じとの事。要するに、ジェネのお財布。多額の献金をしている反面、街中にジェネの戦闘員を公然と滞在させない事を約束させているらしい。
業務改善を常に求められ、効率化を図る事を強いられ、無駄が一切許されない。事務用品棚係なんて、即リストラされてしまいそうなぐらい厳しい労働条件があふれる街だと聞いた。
技能見習いの応募を装いこの出版社にきて、受付近くで座って待っている間、現代日本で、不採用の嵐に身を打たれていた頃の事を思い出してしまった。百社以上落ちたので、毎日毎時が面接と言っても過言ではないほど。冴えない私が、ネット情報に頼る事なく、大都会の乗り換えをスムーズに行えるようになったぐらい電車で移動の毎日だった。栄養ドリンクをかなりの回数購入したはずの売店の人の顔もおぼえていなかったと後で思ったほど、駅のホームでフラフラになっていた頃と同じく、「『採用』をいただければ、どのようなお仕事でも文句を言わずにいたします」と心の中でぶつぶつ呟いていた。
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応接室で面接をすると部屋に通され、椅子に座って待っていたら、社長が入ってきた。当然のようにそのまま閉じ込められた。どうやって逃げるか、まだ思いつけていない。
二人きりになってから、お言葉をぶつけてくるばかりだったけど、ついに私の首筋に社長の手が伸びてくる。
「後ろから急に触られても、動揺した素振りを見せてくれないんだね。警戒しているの?」
「社長こそ、警備が薄いここで、私の仲間が助けにきたら気をつけないといけないんじゃないですか?」
アリストの意識は、自力のみで逃げるのは難しいと判断しているようだ。
私の仲間たちが先にこれば勝ち。ジェネの者たちが先にこれば負けという、単純なゲームルールが敷かれた状況。
「うん。そうだね……」
「……あ」
いけない。首筋やうなじを、しつこく何度も舐められて、思わず声を漏らしてしまった。
後ろにいる社長の顔をまともに眺める事ができなかったけど、おそらく一度ニヤッとしてから、両手を私の頬に伸ばしてきた。
唇を触ったり、顎を撫でたり、おでこを擦ったり。私の顔を少し手荒に扱った後、社長の手は、いよいよ胸に迫ってきた。
「やめて……服の上から、胸を触らないで……あ……」
「君の胸、僕に触られたかったと不平不満をぶつけてくるように、刺激に応じてくれているよ。胸の先が突き出している様を、皆乍ら晒したいと訴えかけたいのではないかな?」
「も、揉まないで……」
「下、濡れ始めているのかな。たしかめたいな。そして、アリス姉さんをしっかり楽しませてあげたい。だが、帰路につくまでは、軽い愛撫だけで我慢してくれ。申し訳ない……しかし、君が手に入ったのだから、ティンテにきた甲斐が別の意味であった。むしろ、大収穫だ! ふふ。臣従になろうとしない、今の市長のリストラを本気で考えようと思ってね。直接、僕が足を運んだという訳さ。影響力を持ってしまった人間に、第二の人生を用意しない形で円満退職してもらうのは意外と面倒なんだ」
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