95 / 152
第5章 落穽下石
91
しおりを挟む結局あの後、こんなの持ってても気分良くないだろ、と手紙は静先輩が持っていってしまった。
ついでに、次からは何かあったらちゃんと俺にも話せと口すっぱく言われたが、わかったと口では言いながらも今でさえどうしても言えないことが何個かあることに、心の中でごめんなさいと謝った。
そしてこの脅迫状の送り主については、静先輩と結永先輩がなんとかしてくれる、ということになった。
まあ送り主も分かりきっているし、静先輩の問題でもあるからと言われて反論出来なかったのもあるけど。
こんな状態で自分に何かが出来るとも思わなかったから、今回は素直にお願いすることにした。
ただ、こんなものが届くぐらいに何があるか分からないから、絶対に一人で家を出ないこと、自分の身を守ることだけはしっかりやってくれと言われた。
それから結永先輩は発情期明けで何があるかわかったものじゃないこの部屋に、長居する理由もなくなって早々に帰っていった。
もちろんそれは静先輩も同じで、僕がだいぶ落ち着いているから一旦帰るということになった。
一人でどうしようも出来ないほどひどい症状だったから、何かあったら困ると付き合ってくれたが、元々僕が静先輩と関係を持つことを避けていることを知っているから、一人でどうにかなるうちは距離を取ってくれるということだった。
僕に対して出会った時からずっと気持ちを向けてきてくれて、告白されたあの女性も断って、発情期にも付き合ってくれて。
静先輩からしたらきっと、早く番になって自分のものにしてしまった方が安心だと思う。
それでも、僕の気持ちを考えてうまい距離を保ってくれている。
この自分の厄介な考え方と気持ちの折り合いをさっさと付けられればいいのだろうが、やっぱりそれにはまだまだ時間が掛かりそうだ。
こんな状態の自分にまたずどんと気分が落ち込む。
自分が歪みきっている現実に打ちのめされて、なんだか体の調子まで悪くなりそうだった。
幸い、あれだけ抱かれたから発情期明けのように調子は良くなっていて明日からは大学に行こうと思っていたが、やはり時期としては本来だったらあと4日は発情期なわけで、静先輩と結永先輩によればまだ完全にフェロモンがなくなったわけじゃないらしいから、最低でもあと2日は家でおとなしくしているように言われた。
その間に体調も良くなってくれればいいけど。
それから2日。
発情期の状態を確認するためにさっき静先輩が来た以外に、特に何もなく大人しく家にいた。
元々用事もなければ、あったとしてもよっぽどのことじゃない限り一人で外出する気にはなれないから、困ることもなかったけど。
静先輩によれば、もうほとんど匂いはなくなっていて、期間的に本来ならあと2日家にこもっていなくてはいけないところだが、もう大丈夫だろうということだった。
こんなこといちいち人に聞くようなことじゃないんだろうけど、何分あんなにひどい症状も発情期中に抱かれたことも今まで一度もなかったから、イレギュラーすぎて自分の体がどうなっているのか自分じゃ判断のつけようがなかった。
これで何かあって他人に襲われるようなことでもあったら、今の自分じゃ耐えられるとは到底思えない。
なんで今まであんなことが出来ていたんだろう、と思うぐらい自分の中の気持ちが変わっていた。
0
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
運命よりも先に、愛してしまった
AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。
しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、
2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。
その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
籠中の鳥と陽の差す国〜訳アリ王子の受難〜
むらくも
BL
氷の国アルブレアの第三王子グラキエは、太陽の国ネヴァルストの第五王子ラズリウの婚約者。
長い冬が明け、いよいよ二人はラズリウの祖国へ婚約の報告に向かう事になった。
初めて国外へ出るグラキエのテンションは最高潮。
しかし見知らぬ男に目をつけられ、不覚にも誘拐されてしまう。
そこに婚約者を探し回っていたラズリウが飛び込んできて──
……王への謁見どころじゃないんだが?
君は、必ず守るから。
無防備なおのぼりα王子×婚約者が心配なΩ王子の
ゆるあまオメガバース&ファンタジーBL
※「籠中の鳥と陽色の君〜訳アリ王子の婚約お試し期間〜」の続きのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる