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第4章 同甘共苦

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結永先輩が帰ったあと、ほんとに何もする気になれなくて一歩も布団から出ることなくそのまま寝た。
寝てる間は嫌なこと何も考えなくていいから楽だった。

でも何も食べずに寝たから夜中、その空腹に目が覚めてしまった。
静先輩が僕の食生活が心配だと言って作ってくれるようになってから、作り置きとかもしてくれていたから自分で料理をすることはほとんどなくなっていたんだけど。
昨日は静先輩がうちに来る予定だったから作り置きも何もなくて、ずいぶん久しぶりに自分で台所に立った。

俯いて目に入ったシンクに涙が零れる。
起きて何分も経たないうちにもう静先輩のことを考えてる。
もう嫌だ。
辛いよ。
静先輩に、会いたい。

台所に立ったはいいけど結局作る気にはなれなくて、水を一杯と食パンを一枚齧っただけで泣いた疲れも相まってまた泥のように眠った。

誰か優しい手が撫でてくれている感覚に、意識が浮上してくる。
「静先輩・・・・・・?」
「あはは・・・・・・、ごめんね静じゃなくて。おはよう、弥桜くん」

無意識に静先輩の名前を口にしていたが、帰ってきた声を聞いてハッとする。
今ここに静先輩がいるわけないんだ。
自分から会いたくないって言ったんだから。

結永先輩の問いかけに首を横に振る。
「そっか。あれから何か食べた?」
「少しだけ。何も作る気が起きなくて、食パンを1枚」
「じゃあ俺が何か作るからもう少し食べな」

そう言われて時間を確認するともう午後2時を回っていて、朝ご飯もお昼ご飯ですらとっくに過ぎている時間だった。
「あーあ、目すごい腫れてるね。顔洗って少し冷しておいで」
結永先輩はちょっとずつ動こう、と言いながら台所に行ってしまった。

その後ろ姿が静先輩と被って見えてまた泣きそうになったけど、何とか耐えて洗面所に駆け込んだ。
いくら結永先輩でも、言われるほど酷い顔をずっと晒しておくわけにはいかない。
とはいえどんなもんかとか鏡に映る自分の顔を見ると、言われることはあるだけの酷い顔をしていた。

こんな顔してたら静先輩に変な顔って言われる。
「ぅぅ・・・・・・」
また静先輩のことを考えちゃって、今日何度目かの涙を拭う。
今は静先輩のことなんか考えたくないのに。

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