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13巻
13-3
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「……おじちゃんで問題ない」
「「うん、おじちゃん!」」
「……いいんですか」
「いい」
ギゼルさん本人から許可が出た。〝おじちゃん〟でいいんだ~。
三十代半ばなら、まだ〝お兄さん〟だと言い張りたい歳じゃないのかな~と、僕は思うんだけど……違うようだ。
「あらあら、すっかり懐いているわね。そういえば、タクミさん、セルディーク国に行っていたの?」
「ええ、最近まで行っていましたが……どうしてケイミーさんが知っているんですか?」
「ギルド同士の情報交換は密にしているもの」
つい最近のことなのに、何でもう知っているのかな!? 本当にこの世界の情報の伝達速度が速くて怖い!
「それで、子供達の二つ名がついたのは知っているのかしら?」
「はぁ!?」
突然、ケイミーさんが爆弾を落としてくる。
「『蒼の双撃』と決まったようですよ」
ケイミーさんに続いて、アンディさんが子供達の二つ名を告げる。
「えぇー!? ちょっと待って! 待ってください。え、本当にうちの子達に二つ名がついたんですかっ!?」
「ええ、本当ですよ」
いつの間にか、子供達に二つ名がついていたよ! 『蒼の双撃』だって!?
しかも、これ、何だか聞き覚えがある。もしかしなくても、発信源はセルディーク国で知り合った冒険者、『暁の星』パーティか!?
「「おぉ~」」
「アレンと」
「エレナの」
「「ふたつな!」」
子供達は目を輝かせる。
「ええ、そうよ。『蒼の双撃』ね」
「「あおのそうげき! かっこいい!」」
「ふふっ、良かったわね~」
「「うん!」」
アレンとエレナは、どうやら自分達の二つ名を気に入ったようだ。
「あのちっこいのに二つ名だってよ!」
「『刹那』の弟妹だろう?」
「『灰狼』の話じゃ、あの子供達もかなりやるって話だしな」
「まじかっ!? さすがAランクの弟妹ってところか?」
周りの冒険者達がひそひそと話しているのが聞こえてきた。
情報とかは、こうやって広がっていくんだな~。というか、絶対にケイミーさんは、周りに人がいるのを確認してからこの話題を出したよな?
「そういえば、『蒼の双撃』が『麗人』をやりこめていたっていう話も出ていたんだけど……それは本当?」
『麗人』というのは、『暁の星』のリーダー、ブライアンさんの二つ名だ。
「ブライアンさんとのやりとりまで伝わってきているんですか!?」
「あら、そんな反応をするってことは、本当なのね~」
この世界の伝達能力が、本当に怖い!
「はぁ……。子供達のことは極力目立たないようにしていたんですけどね。二つ名がついたら、ランクを抑えている意味がなくなるじゃないですか~」
「アレンくんとエレナちゃんは、どんなに大人しくしていても目立つ存在でしょう」
「……」
そうなんだよね~。ケイミーさんの言う通り、アレンとエレナは、たとえ大人しくしていても注目を浴びやすい。目を引きやすいっていうのか?
何でだ? 血か? 神の血筋だからか?
そう考えていると、アンディさんが尋ねてくる。
「子供達はDランクでしたよね?」
「はい、そうですね」
「では、すぐにでもCランクに上げましょう!」
「いやいや、何を言っているんですかっ!」
「ここまできたら逆にランクを上げて、手出しされないように確固たる立場を手に入れるべきです!」
「……」
アンディさんの言っていることには一理ある。
子供達に二つ名がついた以上、目立つことは必至だ。それなら、子供なのに高ランクだと目立つという理由だけで避けていたランクアップは……もう避ける必要はないのか?
ん~、それなら積極的にランクを上げさせるべきかな? 強いと知れ渡れば、手を出してくる者は減るだろう。……多少は。
「Cランクでしたら、今までの実績で上げられます」
「ん~……どうするべきか~」
子供だというだけで、ランク云々関係なしに絡んでくる者はいる。
現に、Aランクの僕でも絡まれることはあるしな~。なので、そういう人は勘定に入れないとして……減るかな?
「悩まれていますね」
「……そうですね」
「ランク!」
「あげる!」
僕が悩んでいると、アレンとエレナが両手を挙げて声を上げる。
「危ないから、両手を離さない! というか、そろそろギゼルさんから下りようか」
さすがにずっとギゼルさんの肩に座りっぱなしというのは悪いので、子供達に下りるように言う。
「ギゼルさん、長々とすみません。ありがとうございました」
「「おじちゃん、ありがとう」」
「い、いや、いつでもやってやるからな」
「「ほんとう!?」」
「ああ」
「「わーい!」」
アンディさん達と話している間、ほぼ口を挟まず子供達の椅子の役割をしていたギゼルさんだが、懲りずにまた子供達の相手をしてくれるそうだ。
冒険者ギルドで出会うたびに、肩車っていうか肩椅子を強請りそうだが……止めたほうがいいのか? でも、ギゼルさんも子供達と戯れるのを楽しんでいるようだから、相手をしてもらってもいいのかな?
「ギゼルさん、無理な時は無理だと、きっぱり断ってくださいよ」
「大丈夫だ」
まあ、そもそも僕達が冒険者ギルドに来ること自体が少ないので、子供達を止めるよりはギゼルさんが都合の悪い時はちゃんと断ってもらったほうがいいだろう。
「それで、アレンとエレナは、やっぱりランクを上げたい?」
「「あげたい!」」
僕が改めてアレンとエレナにランクについて尋ねると、二人は迷いなく返答してくる。
まあ、アレンとエレナならそう言うよな~。
「じゃあ……上げようか」
「「やったー!」」
僕が許可を出すと、子供達は全身で喜びを表現していた。
「子供達がCランクになれば、タクミくんのパーティはBランクになりますね! そうなったらAランクの依頼も問題なく受けられるようになるんですよ! 良いこと尽くしじゃないですか!」
アンディさんも大喜びしていた。
「アンディさん、そっちが本命ですか! いや、ちょっと待ってください。子供達がCランクなら、パーティランクはまだBランクに届きませんよね!?」
「いえ、実力は充分にありますので、そこはギルドマスターの権限でBランクにすることは可能ですね」
「だから! ギルドマスターの権限を軽々しく使わないでください!」
アンディさんが熱心に子供達にランクアップを勧めていたのは、僕達のパーティランクを上げるためだったらしい。
「いいえ、人材の確保はもちろんのこと、能力の評価を正しく行うことはギルドマスターの責務です! 軽々しく使っているのではありません」
僕はちらりとケイミーさんを窺い見たが、止めてくれる気はないようだった。
どうやら、僕達のランクアップは、ケイミーさんも賛成のようだ。
「ちょっと待ってくれ! さっきから思っていたんだが……その子達がDランクで、Cランクになれるって本当なのか?」
「本当ですよ」
僕達の話を聞いていたのだろう、近くにいた一人の冒険者が疑問を投げかけてくる。
まあ、当然の疑問だけどな。
そして、その疑問に対して、アンディさんが即答で言葉を返していた。
「こんな子供がCランク? 絶対に間違いだ!」
「そう言われましても、タクミくんと子供達のパーティで規定の依頼数はしっかりこなしていますからね~」
「それは兄貴の功績だろう! 寄生だ!」
「誰がメインで活動しようとも、パーティの功績はパーティメンバー全員のものですよ? その子達ではなくとも、多かれ少なかれパーティ内で貢献度の差があることは普通です。まあ、それが脅して……とか、お金を積んだ……となると問題になりますが、彼らには当てはまりませんね。なにせ、兄弟ですからね」
数ある冒険者パーティの全部が、同程度の実力の者同士で組んでいるわけではない。そうなると、パーティ内でも活躍の程度が変わってくるのは当たり前のことだ。必然的に強い者が弱い者を守ったりね。それを全部寄生という括りにできるものじゃないよな。
「「きせい? きせいってなーに?」」
「寄生っていうのはね、強い人に引っついているだけで、何もしないで利益を得ようとする人のことよ」
アレンとエレナは〝寄生〟という言葉がわからなくて不思議そうに首を傾げていたが、ケイミーさんに説明されるとむっとしたように眉を寄せていた。
「じゃあ、アレン、ちがーう!」
「エレナもちがーう」
「アレン、たたかうもん!」
「エレナも! それにね、やくそうみつけるもん!」
「ふふっ、そうよね。二人はちゃんとお仕事しているものね」
「「うん!」」
まあ、うちのパーティの場合は……子供達のほうが活躍している気がするけどね!
抗議する子供達を、ケイミーさんは微笑ましそうに見つめる。あ、いや、ギゼルさんもだな。
「確かに、有望そうな新人がいたら、パーティに引き入れて育てたりするよな~」
「ああ、するする。だが、俺にはせいぜいFランクを最短でEランクに上げるか、ぎりぎりDランクに上げられるかどうかっていう程度だがな!」
「オレもだわ!」
周囲の他の冒険者は、アンディさんの言っていることに納得する様子を見せている。
ただし、文句を言ってきた冒険者だけは苦々しそうにこちらを睨んでいた。
見た感じの年齢から言って、DランクからなかなかCランクに上がれない冒険者かな? 確か……Dランクまでは普通に依頼をこなしていればランクは上がるけど、Cランクから上は試験とかがあったはずだからな。
「アンディさん、Cランクへ上がるための試験って何をするんですか?」
「まずは筆記試験。それに合格したら、試験官の冒険者とギルド職員を連れて、指定の魔物討伐と薬草採取ですね」
「へぇ~」
「へぇ~……って、タクミくんも受け……ていませんでしたね」
「はい」
僕の場合はそこら辺をすっ飛ばして、Aランクになったからな~。
「ちなみに、筆記のほうの試験内容ってどんなものなんですか?」
「Cランクは冒険者として必要な知識についてですね。魔物の特徴や弱点、薬草の効能や採取の仕方などです。Bランクの試験ではさらに詳しい知識に加え、礼儀作法に関する問題も出題されますね」
「礼儀作法も問題になるんですか?」
「Bランクになりますと、貴族からの指名依頼なども入りますからね」
「ああ、なるほど」
実際に問題を見てみないとわからないが、試験には合格できると思う。たぶん。
僕は礼儀作法が少々心配だが、子供達はレベッカさんから教育を受けているので、間違いなく合格できるだろう。
「そいつ、試験を受けていないんじゃないか! インチキだろう!」
「彼は騎士とAランクの冒険者からの推薦でランクアップしていますからね。あなたも推薦があれば、ランクアップの手続きをしてあげますよ」
アンディさんはばっさり一蹴する。
でも、僕としては、実技の試験は免除でも、筆記試験だけは受けたほうが良かったのではないかと思った。
「「あっ!」」
穏やかそうなアンディさんの意外な辛辣さに驚いていると、子供達が突然指を差しながら声を上げた。二人が指し示す方向を見ると、ちょうどヴァルト様が建物に入ってくるところだった。
「ヴァルト様?」
王都に戻ってきてからヴァルト様とはまだ再会できていなかったので、今が初顔合わせだが……何故、冒険者ギルドに来たのだろう?
「よっ! タクミ、元気だったか?」
「元気ですよ。元気ですけど……どうしたんですか? ギルドに用事ですか?」
ヴァルト様の登場に、冒険者ギルド内はざわついた。
何故かというと、ヴァルト様が近衛騎士の制服を着ているからだと思う。
その証拠に、ヴァルト様が僕の傍まで来ると、僕達の周りにいた人達がアンディさんとケイミーさんを残して若干離れていった。
「どうしてって聞かれたら、タクミを捜していたからだな」
「え、僕? 何か急用ですか?」
「いや、俺はただの配達だよ」
「配達?」
「そう、タクミ宛の手紙の配達だな」
ヴァルト様はわざわざ僕への手紙を持ってきてくれたようだ。
「何でヴァルト様が僕宛の手紙を? 誰からですか?」
「俺の格好から想像できないか?」
「…………できました」
ヴァルト様は近衛騎士の制服姿。近衛というのは、王族を警備する騎士だね。
ということは、王族の誰かからの手紙だということだ。
「ちなみに、どなたからですか?」
「全員」
「わぁーお」
王族といってもいっぱいいるし誰だろうと思って聞いてみたら、まさかの全員だった。
王様のトリスタン様、王妃のグレイス様、王子のオースティン様、フィリクス様、アルフィード様、王太子妃のアウローラ様、王孫のユリウス様。まあ、ユリウス様は小さいので、人数には入っていないだろうけどな。
「ヴァルト様、手紙の内容を知っていますか?」
「知っているわけないだろう」
「ですよね。……あれ、ヴァルト様、どうしてマントと上着を脱いでいるんですか?」
ヴァルト様は、マジックバッグにマントと上着をしまうと、別の外套を取り出して羽織る。
「この格好でいると目立つだろう?」
「ええ、それはもう。だったら、最初から制服を脱いでくれば良かったじゃないですか」
「仕事中なんだから、制服は脱げないだろう! ちなみに、手紙を渡したら本日の俺の業務は終了だ!」
そうか、僕に手紙を渡したと同時に仕事が終了だから、マントと上着を脱いでいるのか。
「それで、何だか揉めていたようだが、タクミ達は何をしていたんだ?」
「「あのね、あのね!」」
「ランクがね!」
「あがるの!」
アレンとエレナがそう告げると、ヴァルト様が首を傾げる。
「ランク? ああ、冒険者ランクのことか、おまえ達がか?」
「「うん!」」
「アレンが!」
「エレナが!」
「「Cランクになるの!」」
「お、なんだ、Cランクになるのか。ああ、なるほどな。子供がCランクに上がるのはおかしいって、誰かが言い出したってところか?」
「「おぉ、せいかい!」」
ヴァルト様は子供達との少しの会話で、さっきまでの僕達の状況がわかったようだ。
「よくわかりましたね」
「わかるさ。だがまあ、仕方がないな。こいつらの見た目は、ただのか弱そうな子供だもんな」
「「えぇ~」」
ヴァルト様の言葉に、不満げな声を上げるアレンとエレナ。
「アレン、かよわくな~い」
「エレナもかよわくないもん」
「戦っているのを見たことがなければわからないさ」
「「むぅ~」」
アレンとエレナはか弱い子と思われるのが嫌なのか、頬を膨らませてむくれた。
「むくれるなよ。ますます子供っぽくなるぞ」
「「子供だもん!」」
「……あ、うん、そうだったな」
「「そうなの!」」
子供達とヴァルト様のやりとりを見ていたケイミーさんとアンディさんが、微笑ましそうにする。
「あらあら、可愛いわね~」
「ええ、本当に」
ヴァルト様は一瞬唖然としていたが、愉快そうに笑う。
「ははっ。〝子供じゃない〟って言い張る子供は見たことあるが、〝子供だもん〟って言い切るのは初めて見たわ。とにかく、あれだ。俺はおまえ達の強さをちゃんと知っている。というか、うちの家族は知っている。それでいいだろう。騒いでいる奴なんて放っておけばいいさ」
「「おぉ、それでいい!」」
「そもそも冒険者ギルト側が、弱い奴のランクを上げるなんて言い出すわけがないんだから、それで気づけって話だよ。ほら、さっさと手続きして帰るぞ」
「「はーい」」
ヴァルト様が強引というか、周りのことなどまるっと無視しつつ子供達を納得させる。さらに周りの人間まで牽制してしまった。
「ほら、タクミ、手続き、手続き」
「あ、はい! ――アンディさん、お願いします」
「わかりました。さすが、ルーウェン殿ですね。見事な手腕です」
さすがに近衛騎士であるヴァルト様に向かって文句は言えないようで、不満そうだった冒険者はそそくさと退散していた。
「――はい、これで完了です」
「「やったー!」」
というわけで、アレンとエレナは、Cランクにランクアップした。
さすがにパーティランクは、アンディさんが何を言おうとも現状維持にしておいたけどね。
「次はBランクですね。その時はさすがに試験を受けたほうが良いでしょう。依頼をこなしつつ、筆記試験の対策と礼儀作法を学んでおいてください」
「「わかったー!」」
子供達がにこやかに手を挙げる傍らで、ヴァルト様が頷いていた。
「ギルドマスター、そっちは大丈夫だと思うぞ。俺なら眠くなりそうな分厚い事典を愛読書にしているし、うちの母からみっちり礼儀作法を教わっているみたいだしな」
「おや、それでしたら、問題なさそうですね。最短でランクアップできるようにたくさん依頼を受けてくださいね」
「「うん!」」
子供達のランクアップのためと言っているが、アンディさんはただ単純に数多くの依頼をこなしてほしいだけのような気がするんだよな……まあ、そこを突っ込むのはやめておこう。
手続きが終わり、元々渡す予定だったお土産のレイシの実を渡した僕達は、ヴァルト様と一緒にギルドを後にしようとした。
「「またね」」
「はい。時間に余裕ができましたら、是非ともワイバーンをよろしくお願いしますね」
「「わかった!」」
すると、アンディさんがすかさずワイバーンの話題を持ち出してくる。
「何だ? ワイバーン?」
「「こんどね~」」
「ワイバーンの」
「とうばつ」
「「うけるの!」」
「はぁ!? おい、タクミ!?」
子供達の言葉に驚いたヴァルト様は、慌てて僕のほうを見てくる。
「受ける予定はありません! 子供達が言っているだけですって」
「本当か!?」
「「いくもん」」
「タクミ!」
「ほら、アレン、エレナ。ヴァルト様も、帰りますよ」
ルーウェン邸までの帰り道、子供達とヴァルト様は「「いく」」「やめておけ」という攻防を繰り返していた。
ちなみに、どっちも折れることがなかったので決着はまだついていない。
「あ、そうだ。ヴァルト様、結婚相手の女性はどんな人なんですか?」
「教えない」
「え、何でですか」
「もったいないからな」
「えぇ~、いいじゃないですか」
「嫌だ」
ヴァルト様は最後まで強固で、結婚相手の情報は何一つ教えてくれなかった。
「「うん、おじちゃん!」」
「……いいんですか」
「いい」
ギゼルさん本人から許可が出た。〝おじちゃん〟でいいんだ~。
三十代半ばなら、まだ〝お兄さん〟だと言い張りたい歳じゃないのかな~と、僕は思うんだけど……違うようだ。
「あらあら、すっかり懐いているわね。そういえば、タクミさん、セルディーク国に行っていたの?」
「ええ、最近まで行っていましたが……どうしてケイミーさんが知っているんですか?」
「ギルド同士の情報交換は密にしているもの」
つい最近のことなのに、何でもう知っているのかな!? 本当にこの世界の情報の伝達速度が速くて怖い!
「それで、子供達の二つ名がついたのは知っているのかしら?」
「はぁ!?」
突然、ケイミーさんが爆弾を落としてくる。
「『蒼の双撃』と決まったようですよ」
ケイミーさんに続いて、アンディさんが子供達の二つ名を告げる。
「えぇー!? ちょっと待って! 待ってください。え、本当にうちの子達に二つ名がついたんですかっ!?」
「ええ、本当ですよ」
いつの間にか、子供達に二つ名がついていたよ! 『蒼の双撃』だって!?
しかも、これ、何だか聞き覚えがある。もしかしなくても、発信源はセルディーク国で知り合った冒険者、『暁の星』パーティか!?
「「おぉ~」」
「アレンと」
「エレナの」
「「ふたつな!」」
子供達は目を輝かせる。
「ええ、そうよ。『蒼の双撃』ね」
「「あおのそうげき! かっこいい!」」
「ふふっ、良かったわね~」
「「うん!」」
アレンとエレナは、どうやら自分達の二つ名を気に入ったようだ。
「あのちっこいのに二つ名だってよ!」
「『刹那』の弟妹だろう?」
「『灰狼』の話じゃ、あの子供達もかなりやるって話だしな」
「まじかっ!? さすがAランクの弟妹ってところか?」
周りの冒険者達がひそひそと話しているのが聞こえてきた。
情報とかは、こうやって広がっていくんだな~。というか、絶対にケイミーさんは、周りに人がいるのを確認してからこの話題を出したよな?
「そういえば、『蒼の双撃』が『麗人』をやりこめていたっていう話も出ていたんだけど……それは本当?」
『麗人』というのは、『暁の星』のリーダー、ブライアンさんの二つ名だ。
「ブライアンさんとのやりとりまで伝わってきているんですか!?」
「あら、そんな反応をするってことは、本当なのね~」
この世界の伝達能力が、本当に怖い!
「はぁ……。子供達のことは極力目立たないようにしていたんですけどね。二つ名がついたら、ランクを抑えている意味がなくなるじゃないですか~」
「アレンくんとエレナちゃんは、どんなに大人しくしていても目立つ存在でしょう」
「……」
そうなんだよね~。ケイミーさんの言う通り、アレンとエレナは、たとえ大人しくしていても注目を浴びやすい。目を引きやすいっていうのか?
何でだ? 血か? 神の血筋だからか?
そう考えていると、アンディさんが尋ねてくる。
「子供達はDランクでしたよね?」
「はい、そうですね」
「では、すぐにでもCランクに上げましょう!」
「いやいや、何を言っているんですかっ!」
「ここまできたら逆にランクを上げて、手出しされないように確固たる立場を手に入れるべきです!」
「……」
アンディさんの言っていることには一理ある。
子供達に二つ名がついた以上、目立つことは必至だ。それなら、子供なのに高ランクだと目立つという理由だけで避けていたランクアップは……もう避ける必要はないのか?
ん~、それなら積極的にランクを上げさせるべきかな? 強いと知れ渡れば、手を出してくる者は減るだろう。……多少は。
「Cランクでしたら、今までの実績で上げられます」
「ん~……どうするべきか~」
子供だというだけで、ランク云々関係なしに絡んでくる者はいる。
現に、Aランクの僕でも絡まれることはあるしな~。なので、そういう人は勘定に入れないとして……減るかな?
「悩まれていますね」
「……そうですね」
「ランク!」
「あげる!」
僕が悩んでいると、アレンとエレナが両手を挙げて声を上げる。
「危ないから、両手を離さない! というか、そろそろギゼルさんから下りようか」
さすがにずっとギゼルさんの肩に座りっぱなしというのは悪いので、子供達に下りるように言う。
「ギゼルさん、長々とすみません。ありがとうございました」
「「おじちゃん、ありがとう」」
「い、いや、いつでもやってやるからな」
「「ほんとう!?」」
「ああ」
「「わーい!」」
アンディさん達と話している間、ほぼ口を挟まず子供達の椅子の役割をしていたギゼルさんだが、懲りずにまた子供達の相手をしてくれるそうだ。
冒険者ギルドで出会うたびに、肩車っていうか肩椅子を強請りそうだが……止めたほうがいいのか? でも、ギゼルさんも子供達と戯れるのを楽しんでいるようだから、相手をしてもらってもいいのかな?
「ギゼルさん、無理な時は無理だと、きっぱり断ってくださいよ」
「大丈夫だ」
まあ、そもそも僕達が冒険者ギルドに来ること自体が少ないので、子供達を止めるよりはギゼルさんが都合の悪い時はちゃんと断ってもらったほうがいいだろう。
「それで、アレンとエレナは、やっぱりランクを上げたい?」
「「あげたい!」」
僕が改めてアレンとエレナにランクについて尋ねると、二人は迷いなく返答してくる。
まあ、アレンとエレナならそう言うよな~。
「じゃあ……上げようか」
「「やったー!」」
僕が許可を出すと、子供達は全身で喜びを表現していた。
「子供達がCランクになれば、タクミくんのパーティはBランクになりますね! そうなったらAランクの依頼も問題なく受けられるようになるんですよ! 良いこと尽くしじゃないですか!」
アンディさんも大喜びしていた。
「アンディさん、そっちが本命ですか! いや、ちょっと待ってください。子供達がCランクなら、パーティランクはまだBランクに届きませんよね!?」
「いえ、実力は充分にありますので、そこはギルドマスターの権限でBランクにすることは可能ですね」
「だから! ギルドマスターの権限を軽々しく使わないでください!」
アンディさんが熱心に子供達にランクアップを勧めていたのは、僕達のパーティランクを上げるためだったらしい。
「いいえ、人材の確保はもちろんのこと、能力の評価を正しく行うことはギルドマスターの責務です! 軽々しく使っているのではありません」
僕はちらりとケイミーさんを窺い見たが、止めてくれる気はないようだった。
どうやら、僕達のランクアップは、ケイミーさんも賛成のようだ。
「ちょっと待ってくれ! さっきから思っていたんだが……その子達がDランクで、Cランクになれるって本当なのか?」
「本当ですよ」
僕達の話を聞いていたのだろう、近くにいた一人の冒険者が疑問を投げかけてくる。
まあ、当然の疑問だけどな。
そして、その疑問に対して、アンディさんが即答で言葉を返していた。
「こんな子供がCランク? 絶対に間違いだ!」
「そう言われましても、タクミくんと子供達のパーティで規定の依頼数はしっかりこなしていますからね~」
「それは兄貴の功績だろう! 寄生だ!」
「誰がメインで活動しようとも、パーティの功績はパーティメンバー全員のものですよ? その子達ではなくとも、多かれ少なかれパーティ内で貢献度の差があることは普通です。まあ、それが脅して……とか、お金を積んだ……となると問題になりますが、彼らには当てはまりませんね。なにせ、兄弟ですからね」
数ある冒険者パーティの全部が、同程度の実力の者同士で組んでいるわけではない。そうなると、パーティ内でも活躍の程度が変わってくるのは当たり前のことだ。必然的に強い者が弱い者を守ったりね。それを全部寄生という括りにできるものじゃないよな。
「「きせい? きせいってなーに?」」
「寄生っていうのはね、強い人に引っついているだけで、何もしないで利益を得ようとする人のことよ」
アレンとエレナは〝寄生〟という言葉がわからなくて不思議そうに首を傾げていたが、ケイミーさんに説明されるとむっとしたように眉を寄せていた。
「じゃあ、アレン、ちがーう!」
「エレナもちがーう」
「アレン、たたかうもん!」
「エレナも! それにね、やくそうみつけるもん!」
「ふふっ、そうよね。二人はちゃんとお仕事しているものね」
「「うん!」」
まあ、うちのパーティの場合は……子供達のほうが活躍している気がするけどね!
抗議する子供達を、ケイミーさんは微笑ましそうに見つめる。あ、いや、ギゼルさんもだな。
「確かに、有望そうな新人がいたら、パーティに引き入れて育てたりするよな~」
「ああ、するする。だが、俺にはせいぜいFランクを最短でEランクに上げるか、ぎりぎりDランクに上げられるかどうかっていう程度だがな!」
「オレもだわ!」
周囲の他の冒険者は、アンディさんの言っていることに納得する様子を見せている。
ただし、文句を言ってきた冒険者だけは苦々しそうにこちらを睨んでいた。
見た感じの年齢から言って、DランクからなかなかCランクに上がれない冒険者かな? 確か……Dランクまでは普通に依頼をこなしていればランクは上がるけど、Cランクから上は試験とかがあったはずだからな。
「アンディさん、Cランクへ上がるための試験って何をするんですか?」
「まずは筆記試験。それに合格したら、試験官の冒険者とギルド職員を連れて、指定の魔物討伐と薬草採取ですね」
「へぇ~」
「へぇ~……って、タクミくんも受け……ていませんでしたね」
「はい」
僕の場合はそこら辺をすっ飛ばして、Aランクになったからな~。
「ちなみに、筆記のほうの試験内容ってどんなものなんですか?」
「Cランクは冒険者として必要な知識についてですね。魔物の特徴や弱点、薬草の効能や採取の仕方などです。Bランクの試験ではさらに詳しい知識に加え、礼儀作法に関する問題も出題されますね」
「礼儀作法も問題になるんですか?」
「Bランクになりますと、貴族からの指名依頼なども入りますからね」
「ああ、なるほど」
実際に問題を見てみないとわからないが、試験には合格できると思う。たぶん。
僕は礼儀作法が少々心配だが、子供達はレベッカさんから教育を受けているので、間違いなく合格できるだろう。
「そいつ、試験を受けていないんじゃないか! インチキだろう!」
「彼は騎士とAランクの冒険者からの推薦でランクアップしていますからね。あなたも推薦があれば、ランクアップの手続きをしてあげますよ」
アンディさんはばっさり一蹴する。
でも、僕としては、実技の試験は免除でも、筆記試験だけは受けたほうが良かったのではないかと思った。
「「あっ!」」
穏やかそうなアンディさんの意外な辛辣さに驚いていると、子供達が突然指を差しながら声を上げた。二人が指し示す方向を見ると、ちょうどヴァルト様が建物に入ってくるところだった。
「ヴァルト様?」
王都に戻ってきてからヴァルト様とはまだ再会できていなかったので、今が初顔合わせだが……何故、冒険者ギルドに来たのだろう?
「よっ! タクミ、元気だったか?」
「元気ですよ。元気ですけど……どうしたんですか? ギルドに用事ですか?」
ヴァルト様の登場に、冒険者ギルド内はざわついた。
何故かというと、ヴァルト様が近衛騎士の制服を着ているからだと思う。
その証拠に、ヴァルト様が僕の傍まで来ると、僕達の周りにいた人達がアンディさんとケイミーさんを残して若干離れていった。
「どうしてって聞かれたら、タクミを捜していたからだな」
「え、僕? 何か急用ですか?」
「いや、俺はただの配達だよ」
「配達?」
「そう、タクミ宛の手紙の配達だな」
ヴァルト様はわざわざ僕への手紙を持ってきてくれたようだ。
「何でヴァルト様が僕宛の手紙を? 誰からですか?」
「俺の格好から想像できないか?」
「…………できました」
ヴァルト様は近衛騎士の制服姿。近衛というのは、王族を警備する騎士だね。
ということは、王族の誰かからの手紙だということだ。
「ちなみに、どなたからですか?」
「全員」
「わぁーお」
王族といってもいっぱいいるし誰だろうと思って聞いてみたら、まさかの全員だった。
王様のトリスタン様、王妃のグレイス様、王子のオースティン様、フィリクス様、アルフィード様、王太子妃のアウローラ様、王孫のユリウス様。まあ、ユリウス様は小さいので、人数には入っていないだろうけどな。
「ヴァルト様、手紙の内容を知っていますか?」
「知っているわけないだろう」
「ですよね。……あれ、ヴァルト様、どうしてマントと上着を脱いでいるんですか?」
ヴァルト様は、マジックバッグにマントと上着をしまうと、別の外套を取り出して羽織る。
「この格好でいると目立つだろう?」
「ええ、それはもう。だったら、最初から制服を脱いでくれば良かったじゃないですか」
「仕事中なんだから、制服は脱げないだろう! ちなみに、手紙を渡したら本日の俺の業務は終了だ!」
そうか、僕に手紙を渡したと同時に仕事が終了だから、マントと上着を脱いでいるのか。
「それで、何だか揉めていたようだが、タクミ達は何をしていたんだ?」
「「あのね、あのね!」」
「ランクがね!」
「あがるの!」
アレンとエレナがそう告げると、ヴァルト様が首を傾げる。
「ランク? ああ、冒険者ランクのことか、おまえ達がか?」
「「うん!」」
「アレンが!」
「エレナが!」
「「Cランクになるの!」」
「お、なんだ、Cランクになるのか。ああ、なるほどな。子供がCランクに上がるのはおかしいって、誰かが言い出したってところか?」
「「おぉ、せいかい!」」
ヴァルト様は子供達との少しの会話で、さっきまでの僕達の状況がわかったようだ。
「よくわかりましたね」
「わかるさ。だがまあ、仕方がないな。こいつらの見た目は、ただのか弱そうな子供だもんな」
「「えぇ~」」
ヴァルト様の言葉に、不満げな声を上げるアレンとエレナ。
「アレン、かよわくな~い」
「エレナもかよわくないもん」
「戦っているのを見たことがなければわからないさ」
「「むぅ~」」
アレンとエレナはか弱い子と思われるのが嫌なのか、頬を膨らませてむくれた。
「むくれるなよ。ますます子供っぽくなるぞ」
「「子供だもん!」」
「……あ、うん、そうだったな」
「「そうなの!」」
子供達とヴァルト様のやりとりを見ていたケイミーさんとアンディさんが、微笑ましそうにする。
「あらあら、可愛いわね~」
「ええ、本当に」
ヴァルト様は一瞬唖然としていたが、愉快そうに笑う。
「ははっ。〝子供じゃない〟って言い張る子供は見たことあるが、〝子供だもん〟って言い切るのは初めて見たわ。とにかく、あれだ。俺はおまえ達の強さをちゃんと知っている。というか、うちの家族は知っている。それでいいだろう。騒いでいる奴なんて放っておけばいいさ」
「「おぉ、それでいい!」」
「そもそも冒険者ギルト側が、弱い奴のランクを上げるなんて言い出すわけがないんだから、それで気づけって話だよ。ほら、さっさと手続きして帰るぞ」
「「はーい」」
ヴァルト様が強引というか、周りのことなどまるっと無視しつつ子供達を納得させる。さらに周りの人間まで牽制してしまった。
「ほら、タクミ、手続き、手続き」
「あ、はい! ――アンディさん、お願いします」
「わかりました。さすが、ルーウェン殿ですね。見事な手腕です」
さすがに近衛騎士であるヴァルト様に向かって文句は言えないようで、不満そうだった冒険者はそそくさと退散していた。
「――はい、これで完了です」
「「やったー!」」
というわけで、アレンとエレナは、Cランクにランクアップした。
さすがにパーティランクは、アンディさんが何を言おうとも現状維持にしておいたけどね。
「次はBランクですね。その時はさすがに試験を受けたほうが良いでしょう。依頼をこなしつつ、筆記試験の対策と礼儀作法を学んでおいてください」
「「わかったー!」」
子供達がにこやかに手を挙げる傍らで、ヴァルト様が頷いていた。
「ギルドマスター、そっちは大丈夫だと思うぞ。俺なら眠くなりそうな分厚い事典を愛読書にしているし、うちの母からみっちり礼儀作法を教わっているみたいだしな」
「おや、それでしたら、問題なさそうですね。最短でランクアップできるようにたくさん依頼を受けてくださいね」
「「うん!」」
子供達のランクアップのためと言っているが、アンディさんはただ単純に数多くの依頼をこなしてほしいだけのような気がするんだよな……まあ、そこを突っ込むのはやめておこう。
手続きが終わり、元々渡す予定だったお土産のレイシの実を渡した僕達は、ヴァルト様と一緒にギルドを後にしようとした。
「「またね」」
「はい。時間に余裕ができましたら、是非ともワイバーンをよろしくお願いしますね」
「「わかった!」」
すると、アンディさんがすかさずワイバーンの話題を持ち出してくる。
「何だ? ワイバーン?」
「「こんどね~」」
「ワイバーンの」
「とうばつ」
「「うけるの!」」
「はぁ!? おい、タクミ!?」
子供達の言葉に驚いたヴァルト様は、慌てて僕のほうを見てくる。
「受ける予定はありません! 子供達が言っているだけですって」
「本当か!?」
「「いくもん」」
「タクミ!」
「ほら、アレン、エレナ。ヴァルト様も、帰りますよ」
ルーウェン邸までの帰り道、子供達とヴァルト様は「「いく」」「やめておけ」という攻防を繰り返していた。
ちなみに、どっちも折れることがなかったので決着はまだついていない。
「あ、そうだ。ヴァルト様、結婚相手の女性はどんな人なんですか?」
「教えない」
「え、何でですか」
「もったいないからな」
「えぇ~、いいじゃないですか」
「嫌だ」
ヴァルト様は最後まで強固で、結婚相手の情報は何一つ教えてくれなかった。
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