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三章〜願いを叶えて〜

十一

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 はだけられた胸元。渉の体が俺の股の間に体を滑り込ませ、首元に顔を押し付ける。そうして、舌で鎖骨をなぞった。一定の距離をおいて吸いついては舐めて、吸いついては舐めてを繰り返す。

 押し倒されたらもっと酷いことをされると思っていたので、内心ホッとしていたのが事実。拍子抜けした状態に加えて、首筋に触れる彼の髪がくすぐったくて、耐えきれずに笑い声をもらした。

「くすぐったい?」
「渉の髪くすぐってぇよ」
「余裕だね」

 そうでもないと返答しようとしたが、彼の頭が俺の胸元あたりに移動。今度こそ何かされるのかと、口をつぐんでしまう。

 次の瞬間、俺の乳首を湿ったモノが舐めとった。よくエロビでもみるけど、女が乳を吸われて喜んでいる場面が最初の方に出てくる。もしかしたら、最初だから順序に従ってヤっているのかもしれない。その考えと胸で疼くかゆみに、先ほどよりも大きい笑いをあげてしまう。

「ククッ……渉…お前、偉いなぁ……プククッ」
「なに、気持ち良くないの?」
「いや、うん、くすぐったい……ククッ」

 それでも数度胸を吸われたが、やはり笑いしかもれなかった。すると諦めの境地になったようで、胸から糸を引いている唇をお口直しにキスしてくる。これで三回目になる恋人同士のキス。

 しばらく水音をもらしながら解け合えば、しっとり濡れたころ。渉の方から離れる。そうして俺の胸をなでながら、

「まぁ。こういうものは、開発していくものだからね」
「開発とか……AVかよ」
「最終目標は鳴海さんが胸だけでイけるようにだから、俺頑張るよ……!」

 いやいや、そういう低俗な目標はそんな決め顔で宣言するもんじゃねぇから。馬鹿かよといってため息をつけば、彼は笑いながら俺のズボンに手をかけた。教室内に木霊する金属音の掠れる音。今度こそきたと思い覚悟を決めようとしたが、実際にその行為を見せつけられると恐怖が胸を襲う。我慢しようとしたが、無意識に手が、渉の手にそっと重ねられた。

「……その、見るのか?」
「もちろん。見る以上のこともするけどね」
「その……そんなことして、嬉しいか?」
「嬉しいし、鳴海さんも気持ち良くなるなら一石二鳥でしょ」
「うぅぅぅ……」
「観念したでしょ、諦めなよ」

 渉がベルトを解いて、ズボンを一気に下に引き下ろしそのまま脱がせてくれる。そして、ズボンをそこらに放り投げてしまう。

 先ほどまでの前戯はズボンという防衛線があったからこその余裕だったらしく、それをとられてトランクス一丁になったとたん、心を羞恥が締め付ける。先ほどまで隠せていたのに、誰が見ても明らかなほどあそこが自己主張をしているわけで……。そんな恥部を、渉は頬を染めながら見つめている。

「興奮してるね」
「誰のせいだよ……」
「俺に興奮してるんでしょ。大丈夫、俺も鳴海さんに興奮してるから」

 熱い声が耳に届く。たしかに、この状況に酔いしれているのは二人同様らしい。
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