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第2章(2回目の人生とやり直し期間)
38話(ギル視点)
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《ギル視点》
目を覚ますと見慣れた天井だった。
頭も体も何もかもが痛い…
フィル…フィルはどこにいるんだ…
ふと右手に違和感があった。
痛みをこらえながら手を見るとフィルが握っていてくれた。
「フィ…フィ…ル」
俺が名前を呼ぶと瞼を震わせて目を少しずつひらいた。
「ん…ギル?」
俺が起きたことに驚いたように目を見開いて抱き締めてきた。
「ギル…!ギル…!どうして…あんな無茶をしたの…!?」
「フィル…無事か?怪我はしてないか…?」
「僕のことはいいの!それよりギルは…全身傷だらけで…僕…ぼく…ふっ…ううっ」
フィルはその大きな瞳から涙を流していた。
「大丈夫だ…よかった…フィル…辛い思いをさせてすまなかった」
「ううん。ギルが…来てくれて嬉しかった」
俺たちは少しの間抱き締めあっていた…
「なあ、フィル。あのあとどうなったんだ?」
「騎士団長様が来てくださって…ユーリは連れていかれました。そのあと他の騎士の方も来てくださってギルを屋敷まで運んでくれたんです。それでお医者さんに診てもらいました。ギル…6日間も目を覚まさなくて…」
「そうか…あとで礼を言わなければな…」
「僕…屋敷の人にギルが目を覚ましたって伝えてきますね」
「ん、ああ。いや、もう少しこうしていよう…」
「でも…皆ギルのこと心配していたんですよ…だから目が覚めたって早く教えてあげたいんです」
「わかった。フィルと離れるのは名残惜しいが待っているよ」
「伝えたらすぐに戻ってきますね」
そう言ってフィルは一度部屋を出ていった。
そうか…ユーリは捕らえられたのか…
極刑は免れられないだろうな…辺境からでてきてまさかここまでするとはな…
よかった…あのままフィルが傷つけられていたら…俺だけでよかった…
フィルが戻ってくるまで俺は少しだけ涙を流していた…
目を覚ますと見慣れた天井だった。
頭も体も何もかもが痛い…
フィル…フィルはどこにいるんだ…
ふと右手に違和感があった。
痛みをこらえながら手を見るとフィルが握っていてくれた。
「フィ…フィ…ル」
俺が名前を呼ぶと瞼を震わせて目を少しずつひらいた。
「ん…ギル?」
俺が起きたことに驚いたように目を見開いて抱き締めてきた。
「ギル…!ギル…!どうして…あんな無茶をしたの…!?」
「フィル…無事か?怪我はしてないか…?」
「僕のことはいいの!それよりギルは…全身傷だらけで…僕…ぼく…ふっ…ううっ」
フィルはその大きな瞳から涙を流していた。
「大丈夫だ…よかった…フィル…辛い思いをさせてすまなかった」
「ううん。ギルが…来てくれて嬉しかった」
俺たちは少しの間抱き締めあっていた…
「なあ、フィル。あのあとどうなったんだ?」
「騎士団長様が来てくださって…ユーリは連れていかれました。そのあと他の騎士の方も来てくださってギルを屋敷まで運んでくれたんです。それでお医者さんに診てもらいました。ギル…6日間も目を覚まさなくて…」
「そうか…あとで礼を言わなければな…」
「僕…屋敷の人にギルが目を覚ましたって伝えてきますね」
「ん、ああ。いや、もう少しこうしていよう…」
「でも…皆ギルのこと心配していたんですよ…だから目が覚めたって早く教えてあげたいんです」
「わかった。フィルと離れるのは名残惜しいが待っているよ」
「伝えたらすぐに戻ってきますね」
そう言ってフィルは一度部屋を出ていった。
そうか…ユーリは捕らえられたのか…
極刑は免れられないだろうな…辺境からでてきてまさかここまでするとはな…
よかった…あのままフィルが傷つけられていたら…俺だけでよかった…
フィルが戻ってくるまで俺は少しだけ涙を流していた…
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