誰よりも愛してるあなたのために

第2章(2回目の人生とやり直し期間)

37話(ギル視点)

《ギル視点》

血がしたたり落ちながらも俺は必死にフィルがいる場所を探した。

あいつらの言っていた通り、たぶん地下にいるはずだ。

急いで探して地下への通路を見つけた。

階段を足音をなるべくたてないように扉を開けた。

フィルを今にも突き刺そうとしているところだった。

言葉を発するよりも先に体が動いた。

あんなにも痛く重い体が今は羽のように軽い。

俺はフィルを胸に抱き込んだ。

後ろから短剣が突き刺さる。

痛みは感じない。

フィルが泣き叫んでいるような声が聞こえる…

そんな声が聞きたかったわけじゃない。

こんな辛い思いをさせたかったわけじゃない。

刺されて意識を失いかけてもなお、俺はフィルを庇ったまま抱き締めていた。