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溺愛と結婚と
157:前戯・2
しおりを挟む俺とヴィンセントは
湯の中で何度もキスをした。
俺がヴィンセントにもたれかかると
ヴィンセントの心臓もバクバク鳴ってて
ドキドキしているのは
俺だけではないのだと安心する。
だが長い間湯に浸かっていると
さすがにのぼせてきて、
俺は浴槽から出ることにした。
浴室には身体を洗う時に
使用する簡易の椅子があり
俺はそこに座って一息つく。
浴槽の横には、
ウッドデッキのような場所があり、
おそらくマッサージもできるのだろう。
大きなタオルが敷いてある
簡易のベットと、その隣には
湧き水でも流しているのか
飲み水らしき水が
小さな噴水として流れていた。
ヴィンセントは噴水のそばに
準備されていたカップに
水を入れて俺に差し出してくる。
「ありがとう」
俺は受け取ってそれを飲んだ。
冷たくてうまい。
凄いな。
さすが王家の……というか
陛下の屋敷だ。
ヴィンセントは自分も
水を飲んだ後、
俺の隣に……椅子には
座らずに浴室の床に直に座った。
椅子に座る俺と
ちょうど視線が合わさる。
「さっきの続き……してもいいか?」
ヴィンセントが戸惑うように言う。
俺は頷いて、
身体を前のめりにして
手を伸ばす。
そして倒れるように
ヴィンセントに抱きついた。
ヴィンセントは俺を抱き止め、
また膝に乗せる。
「イクスは……まだ
知らなくてもいいと思ってた」
大きな指が俺の髪に触れる。
「だが、知って欲しいとも思う。
俺のあさましい熱も、
想いも」
再び唇が重なり、
ヴィンセントはまた俺の内股に
指を伸ばした。
「本当は、ずっと触れたかった。
幼いイクスが無邪気に俺に
絡みついて来るのを、
俺は笑顔で受け止めていたが
本当は……ずっと
イクスに触れ、肌を味わい、
俺のものにしたいと
思っていたんだ」
辛いことを告白するように
ヴィンセントは言う。
俺はそんなヴィンセントの
気持ちも知らず、
好き勝手行動していたのだ。
謝罪したいと思ったが、
でも、あやまるのはまた
違うと言うような気もする。
何を言えばいいかわからず
俺は自分からヴィンセントの
唇を奪った。
「じゃあ、今から触れて。
沢山、味わってよ」
煽るつもりじゃなかった。
でも、ヴィンセントがしたかったと
言うのであれば、すればいいって
そう思ったんだ。
だって俺はヴィンセントにされて
嫌なことなど一つもないのだから。
ヴィンセントは目を見開き、
そしてやんわりと目元を緩める。
「愛してる」
そんな言葉が聞こえて、
ヴィンセントが俺の内股を
撫でていた指を更に進めた。
「まだイクスのココは
精液を出せないかもしれないが、
きっと、触るとキモチイイに
なるハズだ」
そんなことを言い、
ヴィンセントが俺の幼い
男根に触れる。
そして包み込むように
握ったかと思うと
上下に扱き始めた。
「え? ま、待って……」
突然の行為に戸惑ってしまう。
この体は自慰さえしたことがない。
急激な刺激にわけがわからなくなる。
「あぁ、固くなってきたな。
わかるか?
これがキモチイイだ」
とヴィンセントは言うが
何やら腹の奥が熱くなり
その熱が身体の中をうごめくのは
わかったが、それがキモチイイに
なるのかどうか、俺にはわからない。
何度か追いつめられるような
確かにキモチイイと
思えるような感覚に襲われたが
そもそも俺は精通さえしていないので
吐き出すものが無い。
わかるだろうか。
何度、達した感覚になっても
終わりがないのだ。
何度だって絶頂モドキになってしまう。
しかも体が若いからか、
何度だって追い詰められた。
俺の男根からはだらだらと
液がこぼれているようで、
それすらもヴィンセントは
可愛い、可愛いと言いながら
俺の身体にこすりつけてくる。
透明な液で精液ではなさそうだが、
今の俺にはそれが何かを
判断する能力は無かった。
「イクスがもし俺の子を
生んでくれると言うなら」
何度目かの絶頂の後、
俺の液で濡れた指が、
俺の双丘を割った。
「ココに『珠』を入れるんだ」
つい、っと濡れた指が
ありえない場所に触れる。
「わかるか?
イクスのこの可愛い蕾に、
『珠』を入れて、俺の子種を注ぐんだ」
え、って思った。
本気で? って。
でも、ヴィンセントの太い指が
俺の入り口を何度も擦り、
指先が、つぷり、と体内に入った時。
たぶん、俺は、俺の身体や気持ちは
喜んだのだと思う。
ヴィンセントから求められていることに。
自分がヴィンセントを
受け入れることができることに。
だって。
俺の魔力が、無意識のうちに
流れ出たんだ。
たらり、と俺の秘所から
魔力が液として流れ落ちた。
ヴィンセントを欲しがっているかのように。
液の助けを借りて、
ヴィンセントの指が難なく
俺の体内に入っていく。
「イクスも……悦んでくれているんだな」
俺の身体の変化に気が付き、
ヴィンセントの口元が緩む。
「怖くないか?」と聞かれたので
怖くない、と返事をする。
だが指が2本に増えた時、
俺はその圧迫感に思わず呻いた。
「やはり狭いな。
傷つけないように
じっくり慣らそう」
ヴィンセントは言いながら
俺の中で指を動かし続ける。
「イクスの中は狭くて
熱くて……
指だけでも俺は……」
荒い息を吐くヴィンセントの
下半身に視線を向けると
太くて猛々しいヴィンセントの
欲棒が大きく勃ち上がっているのが見えた。
いきなりアレを突っ込まれるのは
正直怖い。
だが、このままでいいわけもない。
どうしようかと迷っていると、
ヴィンセントが俺の体内から
指を引き抜いた。
「すまない。
無理に入れたりはしないから……」
ヴィンセントはそう言い
俺を立たせると後ろ向きにした。
何かと思うと
熱い欲棒が俺の内股の間に差し込まれる。
その熱に、俺の心臓は跳ね上がった。
俺の足を閉じさせて
ヴィンセントは俺を背中から抱きしめる。
ヴィンセントは大きな腕で
俺の身体を固定して、
腰をつき出すように動かした。
俺の男根から洩れる液が
ヴィンセントの欲棒に垂れていく。
それが潤滑油になったようで
最初はゆっくりな動きだったが
ヴィンセントは徐々に
腰を動かす動きを早めた。
熱い楔が何度も俺の内股を擦る。
勃起したヴィンセントの欲棒が
俺の幼い男根に何度もぶつかり、
その度に俺の男根からは
透明の液が漏れた。
恥ずかしい。
しかも、ヴィンセントに
こんな真似をさせるなんて。
俺は前世の知識だけはあったから
ヴィンセントが射精をするのに
手伝うことだってできた。
いや、今からだって……
俺がヴィンセントの欲棒に
手を伸ばそうとしたとき、
急に強く抱きしめられる。
瞬間。
熱いものが俺の内股にかかった。
ヴィンセントの精液だと
咄嗟に思う。
俺が下を見ると、
ヴィンセントのドロリとした
白い液が俺の内股を伝い、
太ももに落ちていく。
物凄い背徳感と、
情欲が急激に俺に沸き起こった。
ヴィンセントは、俺のだ。
急にそう思った。
俺は息を整えるヴィンセントの
腕の中から抜け出すと、
身体ごと振り返った。
そして腕を伸ばし、
ヴィンセントの顔を引き寄せる。
「ヴィー兄様は僕のだから。
僕以外の誰ともこんなことしたら
絶対にダメだからね」
俺がそう言うと。
ヴィンセントは射精後で
惚けたような顔をしていたが、
すぐに俺を見て笑った。
「もちろんだ」
嘘のない言葉に、
俺も安心して、笑う。
「嫌じゃなかったか?」
そう聞かれ、嫌じゃない、と
返事をする。
「でも恥ずかしかった」
「そうか」
「でもヴィー兄様ならいい」
「……そうか」
ヴィンセントは俺の身体と
自分の身体を軽く湯で洗った。
「なら、続きをしてもいいか?」
抱き上げられて、
俺たちは浴室を出る。
濡れた体をタオルで包まれたが、
正直、俺はもういっぱいいっぱいだった。
でも、うん、って言わないとダメだよな。
って俺は思っていたのだが。
何度も射精せずに達したせいだろう。
もともと体力のない俺は、
ヴィンセントにベットに連れて行かれた時は
すでに夢うつつだった。
「そうだと思った」
ヴィンセントの笑う、
優しい声がする。
うん、ごめん。
俺は夢の中であやまりつつ、
また続きは今度にしよう、と
言った……と、思う。
でもそれが声に出せたかどうかは
わからなかった。
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