【R18】完結・女なのにBL世界?!「いらない子」が溺愛に堕ちる!

たたら

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愛とエロはゆっくりはぐくみましょう

38:大きいクマさんは肉食にも草食にもなれる<バーナードSIDE【2】>

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正直に言う。
ユウは可愛い。

何をしても、可愛い。

俺が肉の食べ方をこっそり教えてから、
ユウは俺に急に懐いてきた。


最初は俺の体の大きさに驚いて、
少し脅えたような仕種をしていたのに、
今では俺がユウの護衛の時間のときは、
いろんなことを聞いてくるので、
俺もついつい話し込んでしまう。


たとえば、ユウの護衛の時間は
屋敷にヴァレリアンの結界が張ってあるため、
一応は任務中だが、休憩時間のようなものだということ。


カーティスが一人でユウの護衛をやりたがったが、
仕事があるので全員で却下したこと。

順番で不平等が無いようにユウの護衛の時間を決めたが、
ヒヨコのケインやエルヴィンは、カーティスに
脅され、たまに時間を変わっていること。


ユウはどんなことでも知りたがり、
俺の話を面白そうに聞いた。


もし屋敷で小さな動物を飼ったら、
こんな感じなのだろうかと思ってしまう。


俺はユウを飾りたい衝動にかられ、
買い出しの時に、ユウのためにとケインや
エルヴィンがお菓子を買うのに紛れて、
真っ白のリボンを買った。


婚約者以外の相手にリボンを贈ったことなどなかったが、
黒い髪に、白いリボンは似合うと思ったのだ。


ユウの部屋でたくさんおしゃべりをして、
ケインたちの土産の菓子を広げて、
俺は、リボンを取り出した。


「これ、君に似合うと思って」

って、これじゃ、恋人に言うセリフだ。
焦る俺に、ユウは笑って、ありがとうと言った。

そりゃそうだ。
10歳の子どもに…いや、ユウは成人しているというが、
俺にはどうみても10歳にしか見えない。


こんな子供に、大人の俺が愛を囁くなど
ありえないだろう、うん。


俺は弟にしていたように、
ユウの髪を撫で、つけてもいいか?と確認する。

ユウは頷いてくれたので、俺はユウの綺麗な髪を
手で梳き、髪をまとめてリボンでくくった。

ユウは前髪も、後ろの髪も長い。

「前髪は切らないのか?」と聞くと、
金聖騎士団の皆は大丈夫だけど、
他の人の視線が怖い、みたいなことを言った。


他人の視線が怖いということか。
俺たちは大丈夫という言葉に嬉しくなるが、
ずっとこの屋敷にいるわけにはいかない。

やはり俺が色々教えて護ってやらなければ。


そんなことを思ったすぐ後だった。


そろそろユウの体調も落ち着いてきたので、
花が咲いた神殿にユウを連れて行こうという話になり、
その準備のために買い出しに行った日のことだ。


荷物が多かったので、俺とヒヨコ組は馬車を借り、
屋敷まで荷物を運んだ。


荷物を降ろしたら、
ヒヨコたちには馬車を返しに行くように指示を出す。

二人で馬車に乗り、
馬車を返したら、エルヴィンとケインが一頭の馬に
二人乗りで帰れるように采配したのだ。


玄関前に下した荷物をとりあえず屋敷内に入れようと
扉を開くと、ものすごく甘い匂いがしたい。


下半身がうずくような、媚薬系の匂いだ。


何かあったのだろうか。


荷物もそのままに屋敷に駆け込むと、
階段前で窓を開けているカーティスに会った。


なにがあったかと聞く前に、
「匂う? だよね。早く換気しなくっちゃ」
と、のんびりと言う。


どうやら緊迫したことは起こっていないらしい。


安心したが、状況は把握できない。


「帰ってきたか」

ヴァレリアンの声に上を見ると、
階段上からヴァレリアンが俺たちを見下ろしていた。

「ヒヨコどもは?」

「馬車を借りたので、返しに行かせました」

「それはいい。
バーナードも、換気を手伝ってくれ。
このままだと、ヒヨコたちが帰ってきたら大変だろうしな」


確かにこの匂いは、
若いヒヨコたちには大変だろう。


「団長、この匂いはいったい…?」

「おい、一階の部屋の窓は全部開けたぞ。
カーティス、ヴァレリアン、おまえら王族なんだから
その力でなんとかしろ」


今度は1階の奥の部屋からスタンリーが
むちゃなことを言いながら出てきた。

「バーナードか。戻ったのか」


と、いつもの冷静な顔をされても、
ちっとも怖くない。


……なんとなく、わかってきた。


たぶん、あれだ。
ユウが係わっている。


そして俺は、絶対に首を突っ込まない方が良いやつだ。

好奇心で身を滅ぼしかねない。


俺はユウは可愛いと思っているし、
守ってやるとも思う。


でも、それはこの3人のような想いではない。


俺が愛するのは、幼馴染の婚約者で、
をしたいのも、婚約者だけだ。



俺は絶対に、性的な意味でユウには近寄らない。


俺はそのとき、固く誓った。




のに。

その誓いはまたすぐに破られた。


俺たちが花を咲かせた教会へ行く道中で
立ち寄った村で森の様子がおかしいという話を聞いた。


教会に行くにはその道しかないし、
少し前に、教会に視察にいったエルヴィンの話では
その時には異常は感じられなかったらしい。


一応、荷物や馬を置いて、俺たちは森に向かった。

森の入り口まで来たが、怪しい気配は感じられない。

剣も盾もフル装備で来たが、杞憂だったか。

魔獣も魔物の気配もない。

なら、森に偵察に行った人たちが戻ってこなかった、
という話はどうなるのだろうか。

何か裏があるのか…。

ヴァレリアンが森の中に入ることを決める。
妥当だと思う。

裏があるにしろ、何も無いにせよ、
安全を確認しなければ、先に進めないのだから。


そう思って、全員で森に入った途端、
視界が揺らぐ。

とっさに剣を抜いた。

魔法で他の場所に飛ばされたのか、
目が慣れる前に、ものすごい<闇の魔力>に体がビリビリ震える。

命のやり取りの時にだけ感じる、武者震いだ。

久しく、こんな緊張感を味わっていない。

いや、これほど強烈な危機感は味わったことが無い。

目の前に現れた魔物は、恐ろしく巨大だった。
そして、見るだけで、魔力の強さ、量の多さがわかる。

たぶん、気を抜いたら一瞬で殺される。

俺は、気配だけで全員無事を確かめた。

ユウも、無事らしい。
良かった。

これと戦ったら、全員無事では済まない。

ヴァレリアンも、それが理解できているのだろう。
ユウを逃がす時間を稼げばいい。

それだけを考えろと、
短い言葉で俺たちに命じた。


カーティスがユウを抱えて走る。
それすらも俺は気配だけで確認した。

ヤツから目を離せなかった。


____恐ろしい。


正直、恐怖が沸き起こる。

それでも、あの子を。
ユウを守らなければ、と思った。


ユウがいないと世界は崩壊する。

この国を、世界を救うには、ユウが必要なのだ。

だからこそ、ユウを守ることが最優先になる。

そんなことは当たり前で、共通認識だ。

だからこそ、ケインもエルヴィンも剣を抜き、
ヤツをにらんでいる。

ヒヨコヒヨコだと思っていたが、
気が付かないうちに、随分と成長したもんだ。


俺ですら、恐怖に負けそうになるというのに。

俺は盾を構える。

一撃は、必ず止める。

その隙に、ヴァレリアンたちが何とかしてくれるだろう。

俺は盾役として、誰よりも前に立つ。

仲間の命を、真っ先に守る。

仲間の中で、真っ先に死ぬのは自分でいい。
俺は、仲間を守るために盾役になったのだ。


誰も、俺より先には死なせない。

それが誇りだったし、
どんなに怖くても、俺は後ろを振り返らない。

ヒヨコたちに、俺の背中をついてきてほしいから。


でも、と思う。


俺の中にはユウを、世界がどうとか、そんなんじゃなくて、
純粋に守ってやりたいという気持も確かにあるのだ。






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