【R18】完結・女なのにBL世界?!「いらない子」が溺愛に堕ちる!

たたら

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急に大ピンチ!やっぱりエロは必要ですか?

36:「大好き」は生きてるから言えるんです

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ばち、っと目が開いた。

ものすごく、驚くほどバッチリと。

きっと女神ちゃんの声が可愛いとか、
そんな楽しいことを考えて、あの世界から
戻ってきたからかもしれない。


さわやかな気分で戻ってくること
今まで、なかったもんね。

私はベットに寝かされているようだった。


手触りが良いシーツに触れ、
体を動かしてみるが、違和感はない。

良く考えたら【女神の癒しの力】全開を
ヤツにぶつけたんだから、
その余波で私の体も治ってるわよね。


これぞ自給自足!


なんて、わざと声に出して笑ってみた。

うん。
大丈夫。

私は元気だ。


「起きた…のか?」

私の声に気が付いたのだろう。
空気が動く気配がした。

私が起き上がろうとしたら、
すぐに大きく太い手が、そのままで、と私を制する。

バーナードだった。

バーナードはベットの傍に膝をつき、
私の手を握った。


「……良かった」

力強く握られたけど、その手は震えていた。

バーナードの顔を見て一瞬だけ、
あの時のことを思い出したけど。

バーナードはずっと気を失っていたし、
何があったかは知らないはずだ。

だけど、私が彼の傷を癒したことは気が付いているのだろう。

ぽたり、とバーナードの涙が床に落ち、
私は慌ててバーナードに繋がれた手を引っ張った。


「私は大丈夫です」


力がゆるまった大きな手から抜け出し、私は起き上がった。

そして、ベットの淵に座って、
バーナードの大きな体を抱きしめた。


「バーナード、あなたが無事でよかった」

抱きしめた体は大きくて、
手は全然、背中に回すことはできなかったけど。

体温も心臓の音も。
驚く息も、指に触れた涙も。

全部、彼が生きている証だ。

良かった。
ほんとに…彼を助けられた。

この世界で愛する人と幸せになるべき人。

女神ちゃんのことがなければ、
私が来なければ、ただ平穏に生きれたかもしれないのに。

バーナードのぬくもりは、私に希望を与えてくれた。

ずっと「いらない子」だった私にも、
バーナードを助けることができた。

もっと頑張ったら、私が一生懸命頑張ったら、
この世界もきっと救える…はず。

絶対、っていう自信はないけれど。

バーナードの大きな肩に顔を押し付けて
私は目を閉じた。

何度も息を吐いて、涙を堪える。

バーナードは優しい手で私の髪を撫でた。

嬉しくて。
またこうして会えて、触れることができて、
本当に良かった。


ぎゅーっとバーナードにしがみついていると、
突然、ドアが開く音がした。

「あー、なにしてんだよ、ずるい」

急に声がして、顔を上げたら
ドアを開けたエルヴィンが走ってきた。

「俺も、俺も、ユウちゃん」

子犬のようにエルヴィンがバーナードの
そばに座るので、私は笑ってエルヴィンを抱きしめた。

「怪我は?
もう痛くない?」

エルヴィンを抱きしめながら聞く。

「怪我なんてないぜ?
だって、ユウちゃんが治してくれただろ」

エルヴィンは笑いながら言って、
私をぎゅーっとしてくれた。

「助けてくれて、ありがと」

いや、それ、私のセリフだけど。

「私もだ、ユウ」

バーナードもエルヴィンから私を
引き離しながら言った。


「君は私の命の恩人だ。
なんてお礼を言ったらいいか…」

「お礼だなんて、いいですよ。
私だっていつも、守ってもらってますし」

ね、と可愛く言ってみた。
勇くんの可愛さならごまかせると思ったけど、
バーナードは納得しない顔をしていた。

「ユウ、起きたのか」

そこにケインが部屋に入ってきた。

手には水差しを持っている。
私のために持ってきてくれたのだろう。

ケインもベットの傍に来て、
跪いている二人を怪訝そうに見下ろす。

「何をしてるんだ?」

「ユウちゃんの抱擁を貰ってた」

「は?」

何を言っているんだ?という顔のケインの腕をつかみ
エルヴィンは、まあ、まあ、と隣に座らせる。


「生きててよかった、って喜んでるんだから
ケインも混ざれよ」

エルヴィンの言葉に、私も納得する。
抱き合って、生きてるって実感するのは大切だ。

「ケイン、あなたも。
守ってくれてありがとう」

私は素直にベットの上からケインに抱きついた。

ぎゅっと抱きつけば、ケインは顔を真っ赤にして
体を硬直させている。

ちょっとだけ、可愛い、と思う。

施設に来たばかりの子が、
抱きしめたらよく、こんな反応をしていた。

「こら、お前ら、何やってんだ!」

ヴァレリアンの大きな声がして、
私は慌てて手を離し、
床に座っていた全員が素早く立ち上がった。


「助けてくれてありがとう、って
伝えてたんです」

ヴァレリアンの後ろから、
カーティス、スタンリーも部屋に入ってくる。


私はベットから下りた。

しっかり金聖騎士団の皆に向かって頭を下げた。


「守ってくれて、ありがとうございました」

あんなに大きな闇の魔獣、怖くないはずがない。

女神ちゃんは言っていた。
あれは人間の力では、決して敵わないモノだったと。
でも、みんなは戦ってくれたんだ。

せめて、私だけは逃がそうと。

勝ち目がないって、戦ったらわかるはずなのに。
でも、私が生きるために、命を懸けてくれた。


嬉しくて。
苦しくて。

こんなの、こんな感情、知らない。

私は顔を上げて、みんなを見た。

何故だろう、涙で皆の顔がにじむ。

悲しいわけではないのに、なぜ、泣くかな。
笑え!って私は頑張った。

「みんな、大好きです。
生きててくれて、ありがとう」


その時、みんなが息を飲む音がして。
そして一番近くにいたエルヴィンに抱きつかれた。

「俺も好き~っ」

って大号泣するエルヴィンの髪を撫でると、
独り占めするな、とバーナードも、ケインも、
ヴァレリアンもカーティスも、真面目なスタンリーまで
私の傍に来て、みんな、抱きしめてくれた。

嬉しくて、私も大泣きしてしまった。

良かった。
生きてる。

それだけで、前に進める。

頑張るぞ! 私!




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