美形魔王の弱点は、僕。

Shizukuru

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35.パーティの後で②

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 クロの声が聞こえてきた。
『勇者め。さっさと帰れ──二度と来るな』
  クロの美声が聞こえる。言っている内容が、僕にしか聴こえてないのか不安になる。
『クロ、ちょっと落ち着いて』
 そう、クロに伝えた。

「本当にすみません。今から躾を厳しくしますので。それとその話は保留でお願いします」
 慌ててカイル様の手当をした後に傷薬を渡し、頭を下げて部屋から送り出した。カイル様は、一体どうしたんだろう?

「クロ、カイル様に手を出したら駄目だ」
   抱きかかえて、注意をする。だけど、次の瞬間に、クロが元の姿に戻った。
 今度は、抱きかかえられてしまう。

「夜にキスをする約束だっただろう?それなのに、勇者が部屋にいるなんて」

「前にも言ったよ? 聖遺物レリック集め終わるまでは従者で雑用係するから、カイル様が優先だって」

 クロは黙ったまま、奥の部屋へと移動していく。
 奥は寝室だ。

 優しくベッドの上に降ろされた。膝まづいたクロが、僕の頬を優しく撫でてくれる。
「アイツらが、お前に酷いことをした」

  あの時キース様が、殴った事を気にしてくれている。少しホームシックになっていたから、恥ずかしいくらい大泣きしたんだ。

「あの時は僕が悪いから。皆を責めないで。それにクロが治してくれたから。大丈夫だった。クロ本当にありがとう」

 ゆっくりと、押し倒された。目の前の美形が微笑んだ。
 クロ──本当に綺麗。綺麗な深紅の瞳。僕の琥珀なんて、大したことないのに。

 近い……と思った時には、唇が重なっている。
 初めの頃より、キスが気持ちいいものだと分かった。

 クチュクチュと水音が耳に届く。

「だいぶ、呼吸も上手くなったな。舌の絡め方も。シェリル気持ちいいか?」
 キスされると、力が抜けてしまう。キスって皆こんな感じなんだろうか?

「うん……気持ちいい」
「なら、褒美をくれるか?」

 ご褒美……?クロの欲しいご褒美ってなんだろう?
「僕があげれるもの?指揮棒ワンドと本と裁縫道具は、ごめんなさい」
「それは、シェリルの宝ものだろう?欲しいのは、シェリルだ」

「僕?」
「とにかく、そのまま……気持ちよくなればいい。眠っても構わない」

「──うん」
 触れてくれる手は優しくて頬から首へ。鎖骨をなぞって、シャツのボタンを外されていく。
 着替えをするのかな? シャツの袖から腕を引き抜いたり、クロが脱がせやすいように体を動かした。

 少し、クロが笑った。
「───シェリルは可愛い」

 思わず、赤面する。美形の破壊力はすごい。クロが微笑んだら、マリア様も王女殿下も、恋に落ちてしまいそうだ。

 丁寧にゆっくりと上半身に着ていた服は、すべて脱がされた。








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