74 / 81
73.古書店のオーナー
しおりを挟む
「コーヒーいかがです?」
「──この世界にもコーヒーがあるのですか?」
どうぞと、椅子を勧められた。
「ありがとうございます」
「君達は、どうしても……惹かれあってしまうね」
「そうですね」
ジェイドを古書店から、本来の場所へ帰したのはオーナー自身だった。
「引き離したのにね」
「それを会わせたのは、ライゼ様ですよね?」
眉毛が申し訳無さそうに下がった。
「私の意図をする事をことごとく、変えてくるんだよ。君たちは」
「ライゼ様の意思ではないのですか?」
「記憶を変えても、駄目だった。魂の消失だけは、させたくなかった。だから、別の場所にしたのに……君は命を削るのが趣味かな? あの状態の妊娠での不育は、ままある事なんだ。でも君は、無意識に魔法を使い自分の命を削る」
コーヒーがテーブルに置かれた。
いい香りが部屋に広がる。
久しぶりのコーヒーの香りに、癒されていく。
「今世での君の両親は、元々子供を望めない人達だった。君の魂は彼らを選んだ。そしてもう一つの命を助けようとした」
「でも、それを助けてくれたのですよね?」
「ジェイドが君を見つけたから。止めるのも聞かずに……ね。時間軸の違う世界で、兄弟で……本当に君達には驚くよ。本当に離れたくないらしい」
「それは……俺のためだったのでしょう?」
「傷ついた魂を救うのは、簡単じゃない。愛情が必要なんだ。私は加護を付けて君を守りたかったが、君は無茶をするんだ。見張りは必要だった。それにまた目の前で失うとか有り得なかった」
とても優しい両親の元で、愛情をたくさんもらった。弟の命は持ちそうも無くて、手を伸ばした。
コーヒーを飲んだライゼ様が、目をつぶった。ゆっくりと目を開いて言葉を続ける。
「世界も取り返しがつかない程壊れてしまった。別の世界の神聖な力を借りて修復して行くしかない。なのに、またあの子は現れた。聖女の力でも、完全に消せなかった」
「一人の命よりも、世界のたくさんの人を助けるべきです。私が消えたら……ジェイドの記憶を消して下さい」
「彼がそれを許すとでも?」
「もう一度逢いたいなんて、もう言いません。今世……たくさんの幸せをもらいました」
「彼はすぐ思い出すよ」
「その前に、彼に恋人を用意したら……いいかも知れません。真面目なので、添い遂げると思います」
言って後悔をする。辛い。それでも、もう幸せになって欲しい。
「コハク……君は、本当に消えたいの?」
「何度も繰り返して、悲しい思いはさせたくありません。聖女様も、本来の力を出せたら……浄化も出来ると思います」
「闇に堕ちた彼の為?」
「俺のせいですから。一緒に消えたら、終われますよね?」
「コハク……」
「物語りのラストは、決まってるのでしょう? だから、結末を見せずに途中でここに送った。俺は、いっぱい……愛情をもらいました。俺は皆に死んで欲しくないんです」
「いいのかい?」
「──もし叶うなら、両親に寂しい思いをさせないで欲しいです。子供が生まれていると嬉しいです」
俺の事も全部忘れて、夫婦二人で暮らしているだろう両親に……子供が生まれますように。
そばに来たライゼ様に抱きしめられて……その温かさに涙がこぼれた。
ジェイドが幸せになりますように。
どうか俺を忘れてくれますように。
「──この世界にもコーヒーがあるのですか?」
どうぞと、椅子を勧められた。
「ありがとうございます」
「君達は、どうしても……惹かれあってしまうね」
「そうですね」
ジェイドを古書店から、本来の場所へ帰したのはオーナー自身だった。
「引き離したのにね」
「それを会わせたのは、ライゼ様ですよね?」
眉毛が申し訳無さそうに下がった。
「私の意図をする事をことごとく、変えてくるんだよ。君たちは」
「ライゼ様の意思ではないのですか?」
「記憶を変えても、駄目だった。魂の消失だけは、させたくなかった。だから、別の場所にしたのに……君は命を削るのが趣味かな? あの状態の妊娠での不育は、ままある事なんだ。でも君は、無意識に魔法を使い自分の命を削る」
コーヒーがテーブルに置かれた。
いい香りが部屋に広がる。
久しぶりのコーヒーの香りに、癒されていく。
「今世での君の両親は、元々子供を望めない人達だった。君の魂は彼らを選んだ。そしてもう一つの命を助けようとした」
「でも、それを助けてくれたのですよね?」
「ジェイドが君を見つけたから。止めるのも聞かずに……ね。時間軸の違う世界で、兄弟で……本当に君達には驚くよ。本当に離れたくないらしい」
「それは……俺のためだったのでしょう?」
「傷ついた魂を救うのは、簡単じゃない。愛情が必要なんだ。私は加護を付けて君を守りたかったが、君は無茶をするんだ。見張りは必要だった。それにまた目の前で失うとか有り得なかった」
とても優しい両親の元で、愛情をたくさんもらった。弟の命は持ちそうも無くて、手を伸ばした。
コーヒーを飲んだライゼ様が、目をつぶった。ゆっくりと目を開いて言葉を続ける。
「世界も取り返しがつかない程壊れてしまった。別の世界の神聖な力を借りて修復して行くしかない。なのに、またあの子は現れた。聖女の力でも、完全に消せなかった」
「一人の命よりも、世界のたくさんの人を助けるべきです。私が消えたら……ジェイドの記憶を消して下さい」
「彼がそれを許すとでも?」
「もう一度逢いたいなんて、もう言いません。今世……たくさんの幸せをもらいました」
「彼はすぐ思い出すよ」
「その前に、彼に恋人を用意したら……いいかも知れません。真面目なので、添い遂げると思います」
言って後悔をする。辛い。それでも、もう幸せになって欲しい。
「コハク……君は、本当に消えたいの?」
「何度も繰り返して、悲しい思いはさせたくありません。聖女様も、本来の力を出せたら……浄化も出来ると思います」
「闇に堕ちた彼の為?」
「俺のせいですから。一緒に消えたら、終われますよね?」
「コハク……」
「物語りのラストは、決まってるのでしょう? だから、結末を見せずに途中でここに送った。俺は、いっぱい……愛情をもらいました。俺は皆に死んで欲しくないんです」
「いいのかい?」
「──もし叶うなら、両親に寂しい思いをさせないで欲しいです。子供が生まれていると嬉しいです」
俺の事も全部忘れて、夫婦二人で暮らしているだろう両親に……子供が生まれますように。
そばに来たライゼ様に抱きしめられて……その温かさに涙がこぼれた。
ジェイドが幸せになりますように。
どうか俺を忘れてくれますように。
43
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~
TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】
公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。
しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!?
王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。
これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。
※別で投稿している作品、
『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。
設定と後半の展開が少し変わっています。
※後日譚を追加しました。
後日譚① レイチェル視点→メルド視点
後日譚② 王弟→王→ケイ視点
後日譚③ メルド視点
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる