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【四ノ章】借金生活、再び
第五十九話 実技編《穏やかに夜は更けていく》
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カグヤの触れてはならない境界線を反復横跳びしていたが、どうにか乗り越えて。
素材の分別も終わったエリックとセリスを呼んで、豪華な夕食を楽しんでいた。
「「うんまぁーいッ!」」
「二人してテンション高いね」
「あはは……」
それぞれ両手に蒲焼き、ミートパイを持って目を輝かせる二人に。野菜スープを傾けたカグヤが苦笑する。
大きく頬張って、味わっているかどうかも分からない速度で飲み込んでから。セリスが口を開く。
「そりゃそうさ! エリックから聞いたよ、迷宮でメシの用意をするっつっても限度があるってさ。なのにこうして豪勢なメシにありつけるなんて……最高じゃないか!」
「炊事場を作るとか言い出した時はさすがにどうかと思ったが、ここまで本格的な物が食えるなら話は別だぜ!」
「設備が充実していると様々な料理が作れますからね。採取も十分にやっていますし、明日の為にお肉を加工しているので食材の補充は考えなくてもよさそうです」
「ふふん、土属性の爆薬はただの土や岩を作るだけの不遇な存在ではないのだよ」
出来たらいいな、あれがあったら助かるな、という要望を叶えられる汎用性の高い初級爆薬“豊穣”。初級の中でも作成難易度は低くて、他と比べて誤爆しても土まみれになるだけの安心な爆薬だ。
それに特定のルーン文字を刻む……要は自力で魔法陣を描いて発動させれば、適性のある魔法までとは言わないがある程度は自由に調整できる。
水属性の爆薬に性質変化の文字を書いて氷を生み出す、など。イメージしやすい属性ほどルーン文字の効果は高まる。
その点に関して土属性というのは非常に便利だ。氷とは違い頑強な岩を生成できるので解けないヒビ割れない、滅多なことでは壊れない。もちろん限度はあるが数日使うだけなら問題ない。
ちなみに以前、岩の家を作ろうとしたら初級爆薬の魔力量では足りないらしく、空しく砂塵に帰した。
「しっかしマジでウマいな! これがサベージバイトの肉だなんて……蒲焼きって言うんだっけ? 日輪の国の料理は初めて食ったけど、クセになりそうだよ!」
「俺はこのミートパイが良いな。生地の少しカリッとした香ばしい食感の後に来るモチモチと、熱々のチーズとソースが絡んで……ッ!」
魔法科の授業中、許可なく実行し怒られた時の光景を思い出していると。食い意地が凄まじい姉弟の声が意識を戻した。
皿からはみ出すくらい大きかった蒲焼きは既に串だけ。ミートパイも半分に分けたとはいえ、それなりなサイズのはずだが耳の部分しかない。
そんな二人がこちらを物欲しそうに見つめている。なんだその目は。ちゃんと分けてあげたんだがら我慢しなさい。
キノコや魚の串焼きを構えて、ぼうっと開いた二人の口に放り込む。
顔を輝かせて食べ始めた彼らに呆れつつも、蒲焼きを齧る。んー、ウマい! が……くっ、お米が欲しくなる味だ。
時々、カグヤの実家からアマテラス産のお米が送られてくるそうで。弁当に使っているお米がそれなのだとか。
荷物が嵩張るから保存食と調味料、一部の食材しか持ち込んでいないのが悔やまれるな。カグヤに頼んで持ってくればよかった……。
一枚の蒲焼きで茶碗三杯は食べられそうだなぁ、と。少し後悔しながら、美味しい食卓の時間は刻々と過ぎていった。
◆◇◆◇◆
「じゃあお風呂沸かしてくるから皿洗いは任せた」
「あいよ……ってかどうやって沸かすんだ? また爆薬か?」
「まあね、水路から汲むのは重労働だし。水属性の爆薬で浴槽に水を溜めて、砕いた火属性の魔力結晶を入れて魔力を流す。そうすれば火属性の魔素によって程よい温度のお風呂になるんだ」
「はー、便利だねぇ。物は使いようとは言うが、爆薬とか魔力結晶ってのはそこまで使いこなすもんかね?」
「属性の適性が無いから代替品を使ってるだけだし、ある程度の慣れは必要さ。もし興味が湧いたなら、空いた時間にでも調合の仕方や使い方を教えるよ。セリスは飲み込みが早そうだし」
「ふぅむ……ただでさえ苦労かけてる訳だしな。効果とか範囲を知っておけば戦闘での立ち回りも改善されるか……ちょっとやってみようかね」
「……クロトがいる分、他のパーティより確実に恵まれてるよなぁ」
「魔物が寄り付かない安全地帯の確保に、豊かな食事が作れて疲れを癒せる設備の作成……休憩地点としては満点を貰ってもいいくらいですよ」
「休憩っつーか、ある意味で宿泊施設と化してるがな。悪いことではねぇが、慣れたら慣れたで問題な気がするぜ」
「ほとんどクロトさんのおかげですからね。見回りの教師にそこを指摘されたら……」
「そうならねぇように、俺達で出来る事はやっていこうぜ」
◆◇◆◇◆
お風呂の用意が出来たので女性陣から先に入ってもらい、俺とエリックは離れた水場で武器の手入れをする。
仕切りの壁を作って広めの個室ぐらいにしているとはいえ、近くに居るのは思春期男子の心臓に悪いのだ。
「つーか《スクレップ》に手入れっているか? ぶっちゃけ刃の無い鈍器だろ?」
「研ぐ必要は無いけど、エンチャントしたルーン文字の摩耗具合は見ておいた方がいいよ。軽量化の文字が消えたら大変だし」
刀身の腹と柄を指差して確認を促しつつ、工具でトライアルマギアを取り外す。これ自体は接続部の調子を見るだけでいいので広げた風呂敷の上に放置。空になったアブソーブボトルも転がしておく。
ちなみに空になったボトルは自動的に周囲の魔素を吸収し、三十分ほどで満タンになるという驚異の機能が備わっている。魔導科学の力ってすげーっ!
ただし完全に使い切らないと充填されないので、蓋を開けて中の魔力を完全に霧散させないといけない。そうでなくとも“ボトルの口を魔法に当てたら補充が可能”と、マニュアルには書かれていたが。
どうも魔法を分解し、構成する魔力を吸って無効化するのだとか。どうやってこれだけ小さい道具にいくつもの機能を注ぎ込んでいるんだ?
そういう意味では強力かもしれないが、わざわざ当たりに行く必要があるのは怖いです。
「必要に駆られたらやるかもしれないけど……とにかく、まずはこっちだな」
改めて抜き身になった長剣に水を掛けながら、砥石に当てて研いでいく。
完成してからずっと酷使しているので刀身には傷が目立ち、少し欠けていた刃の部分はこれまで何度も研ぎ直した結果、擦り減ってしまっていた。
しかも外見からは判断しにくいが叩いてみたり、鑑定スキルを使えばよく分かる。
短期間でシフトドライブを行使し続けていたせいで、芯鉄の部分に亀裂が生じていた。なんとか迷宮探索中は持たせるように応急処置はするが、限界が来るのは近いだろう。
特に、最大火力のシフトドライブを撃ったら確実に折れる。そんな確信があった。
使わなければいい話なのだが、お手軽かつ肉体的な負担の少ない──一歩間違えたら自爆する可能性はあるが──必殺技でもある。
段階の低いシフトドライブでは刃が通らない、鱗や皮が鎧のごとく機能する魔物を相手にした時、頼りになるはずだ。
「でも常用していくなら長剣のグレードアップは必須……鉱石系の中でも耐久性のある黒鉱石よりも、強靭で優れた素材……ミスリル? ファンタジーの定番で憧れはあるけど、俺の腕じゃあまだ無理だしなぁ」
「なぁにぶつぶつ言ってんだよ」
具合を見てから長剣を布で拭っていると、エリックに肩を小突かれた。
「ルーン文字の点検、終わったぞ。仄かに光ってれば効果が発揮されてる、ってことでいいんだよな?」
「ちょい見せて……柄と刀身、文字列の乱れに潰れた部分も無し、と。うん、正常だ」
受け取った《スクレップ》に刻まれたルーン文字を見て頷く。
見た目は無骨な鉄の塊だが、重量はエンチャントのおかげで遥かに軽い。しかし質量はそのままなので迂闊に扱うと思わぬ怪我に繋がる。足に落っことした時は、しばらく転げ回って立てなかったくらいには。
鍛冶技術の不足、それを補う為のエンチャントと使用した素材の潜在的な力。あらゆる要素で絶妙なバランスを保っているのが《スクレップ》だ。
こまめなメンテナンスによって性能は万全な物となり、怠るととんでもない目に遭う。
未熟と油断が生み出した後悔の一品。それでも命を預ける武器なのだから、入念に手を施さなくては。
「しっかし純黒鉱石で出来てるだけあって、本当に頑丈だなぁ。スキルの補正で強度も上がっているせいか大きな傷も無いし」
「防御系スキルとの相性がとことん良いみたいだからな。ちょっとやそっとじゃ打ち負けねぇぜ」
「…………鉄剣打ちの時、寝ぼけてなければ今頃は……くっ!」
気が狂ったように金槌を振り続けた作業。その慣れの果てがこの一本に集約したと思えば気が紛れるか。
奥歯で噛んだ悔しさを、見上げた天井に吐きながら。ルーン文字の彫り具合や他に異常も無かったので、《スクレップ》をエリックに返す。
ロングソードにトライアルマギアを付け直し、動作確認も済ませれば手入れは完了だ。
「あとは二人の武器も見ておくか?」
「いや、カグヤの刀は自分でやるって言ってたし、セリスの槍は留め具を締め直すだけでいいから一人でやれるし」
「んじゃあ手ぇ出さなくてもいいか」
「そうだね。二人がお風呂あがるまで爆薬の補充でも……」
空いた時間を活用しようと立ち上がり──錬金術セットをテントに置いてきたことを思い出す。
女性陣が絶賛入浴中のお風呂場近くのテントに、だ。脳内に警鐘が響く。
近づいてはダメだ、と。閃光のように浮かび上がる、人体三枚おろし制裁の図が拭えない。
しばらく膝立ちのまま静止し、静かに足を抱えて座り直す。
察したのか、エリックは何かを意識しないように顔を水面に向ける。
「……大人しくじっとしてるのが吉だね」
「みたいだな」
男二人、無言で水路のせせらぎを見つめて。
遠くから響くキャッキャウフフな声に聞こえない振りをしながら。
ただただ時間が過ぎていくのを待った。
◆◇◆◇◆
その後、ソラを召喚して遊びながら時間を潰して。声を掛けてくれた女子二人の方は見ずに、エリックと一緒にお風呂場へ。
少し温くなったお湯で身体の汗を流すくらいで手早く済ませる。速攻でお風呂場から出たら、カグヤにタオルで髪を乾かされているセリスに二度見された。変に意識しない為の苦肉の策なんだ、見逃してくれ。
とにかく“厄除けのアロマ”や各爆薬の補充をしながら、四人で夜間の見張りについて相談する。
「そもそもアロマ焚いてんだから見張らなくていいんじゃないか?」
「大体の魔物は近寄らないけど、徘徊してるユニークとかゴーレムみたいな嗅覚の意味が無い相手には効かないよ」
「そうでなくても何が起きるか分からねぇのが迷宮だしな」
「全員が眠りについて油断したところで、想定外の事態が起きないとは言い切れませんから」
「おお……なるほどなぁ」
『キュキュ』
口々に見張りの重要性を説けばセリスも納得したようだ。
そんな彼女だが、もふもふ尻尾にふわふわ毛皮のソラを存分に堪能している。どこか上の空で。
迷宮内とは思えないほどの十分な食事、蓄積された疲れを溶かすお風呂。二つのコンボによってウトウトし始めているようだ──計画通り……っ!
顔を背けてニヤリと笑い、エリックとカグヤに目線を送る。頷いた二人がそれぞれ準備を始めた。
初めての迷宮攻略となるセリスの為に、事前に話し合っていたのだ。
「では最初に私とエリックさんで見張りをしますので、時間が経ったらお二人と交代。これを朝までローテーションしていきましょう」
「おう。それじゃ早速……の前に、っと」
おもむろに立ち上がったエリックが、カグヤの用意していたコップに。焚き火に掛けられたポットを傾けて中身を注ぐ。
琥珀色の液体……その正体はリラックス効果をもたらす特製茶葉の紅茶だ。
なぜそんな物があるのかというと、気心知れた面子であっても肉体的、精神的負担は起こるものだという心配から。
慣れない状況に、無意識の内に気を張っていて彼女の限界は近い。だから初日くらいは俺達三人で見張りをやろう、と話を合わせていたのだ。
セリスにはぐっすり休んでもらって、明日からもいつも通りの元気を出してもらいたい。
だからカグヤに見繕ってもらって紅茶を。追加のダメ押しで、セリスの寝袋に『快眠』のルーン文字を刻んでおいた。これで寝れない方がおかしい。
ふっふっふ、素敵な夢の中へ招待してやるぜ。
「ほら、これ飲んで寝てろ。時間になったらちゃんと起こすからな」
「うぃ~……」
差し出されたコップを気だるげに受け取り、息を吐いて冷ましてから口をつける。程よい温さだったのか、飲み干すのにそう時間は掛からなかった。
「んじゃ、おやすみ……」
『キュイ!』
空になったコップを置いて、ソラを抱き締めながらテントへ入っていくセリスを見送る。
ちなみにソラに事情を説明したら、快く抱き枕になってくれることを承諾してくれた。前から賢いとは思ってたけどやっぱりあの子、こっちの言葉を的確に理解してるよね?
「よし、上手くいったな」
「ふふふっ……なんだか秘密の作戦みたいでワクワクしましたね」
「カグヤって意外とそういうの好きだよね」
コップを片付けながら笑うカグヤにツッコみつつ、三人でその場を片付けて。匂いを変えた新しいアロマに火を点けて、前に設置した場所に置き直す。
辺りに生える結晶のおかげで明かりの心配はいらないので、毛布と武器を持ってそれぞれの位置に着く。
最初は俺とエリックで広場の出入り口を分かれて見張り、カグヤはテント前で待機。砂時計で時間を計り、順々に場所を変えて仮眠を取る。この流れを朝まで続けていくだけだ。
……とはいえ、俺もこういうのは初めてだ。居眠りしないように気を付けないとな。
壁に背中を預けたまま頬を叩き、出口の先へ視線を向ける。
幻想的な光景を眺めながら、実技試験初日の夜は更けていくのだった。
素材の分別も終わったエリックとセリスを呼んで、豪華な夕食を楽しんでいた。
「「うんまぁーいッ!」」
「二人してテンション高いね」
「あはは……」
それぞれ両手に蒲焼き、ミートパイを持って目を輝かせる二人に。野菜スープを傾けたカグヤが苦笑する。
大きく頬張って、味わっているかどうかも分からない速度で飲み込んでから。セリスが口を開く。
「そりゃそうさ! エリックから聞いたよ、迷宮でメシの用意をするっつっても限度があるってさ。なのにこうして豪勢なメシにありつけるなんて……最高じゃないか!」
「炊事場を作るとか言い出した時はさすがにどうかと思ったが、ここまで本格的な物が食えるなら話は別だぜ!」
「設備が充実していると様々な料理が作れますからね。採取も十分にやっていますし、明日の為にお肉を加工しているので食材の補充は考えなくてもよさそうです」
「ふふん、土属性の爆薬はただの土や岩を作るだけの不遇な存在ではないのだよ」
出来たらいいな、あれがあったら助かるな、という要望を叶えられる汎用性の高い初級爆薬“豊穣”。初級の中でも作成難易度は低くて、他と比べて誤爆しても土まみれになるだけの安心な爆薬だ。
それに特定のルーン文字を刻む……要は自力で魔法陣を描いて発動させれば、適性のある魔法までとは言わないがある程度は自由に調整できる。
水属性の爆薬に性質変化の文字を書いて氷を生み出す、など。イメージしやすい属性ほどルーン文字の効果は高まる。
その点に関して土属性というのは非常に便利だ。氷とは違い頑強な岩を生成できるので解けないヒビ割れない、滅多なことでは壊れない。もちろん限度はあるが数日使うだけなら問題ない。
ちなみに以前、岩の家を作ろうとしたら初級爆薬の魔力量では足りないらしく、空しく砂塵に帰した。
「しっかしマジでウマいな! これがサベージバイトの肉だなんて……蒲焼きって言うんだっけ? 日輪の国の料理は初めて食ったけど、クセになりそうだよ!」
「俺はこのミートパイが良いな。生地の少しカリッとした香ばしい食感の後に来るモチモチと、熱々のチーズとソースが絡んで……ッ!」
魔法科の授業中、許可なく実行し怒られた時の光景を思い出していると。食い意地が凄まじい姉弟の声が意識を戻した。
皿からはみ出すくらい大きかった蒲焼きは既に串だけ。ミートパイも半分に分けたとはいえ、それなりなサイズのはずだが耳の部分しかない。
そんな二人がこちらを物欲しそうに見つめている。なんだその目は。ちゃんと分けてあげたんだがら我慢しなさい。
キノコや魚の串焼きを構えて、ぼうっと開いた二人の口に放り込む。
顔を輝かせて食べ始めた彼らに呆れつつも、蒲焼きを齧る。んー、ウマい! が……くっ、お米が欲しくなる味だ。
時々、カグヤの実家からアマテラス産のお米が送られてくるそうで。弁当に使っているお米がそれなのだとか。
荷物が嵩張るから保存食と調味料、一部の食材しか持ち込んでいないのが悔やまれるな。カグヤに頼んで持ってくればよかった……。
一枚の蒲焼きで茶碗三杯は食べられそうだなぁ、と。少し後悔しながら、美味しい食卓の時間は刻々と過ぎていった。
◆◇◆◇◆
「じゃあお風呂沸かしてくるから皿洗いは任せた」
「あいよ……ってかどうやって沸かすんだ? また爆薬か?」
「まあね、水路から汲むのは重労働だし。水属性の爆薬で浴槽に水を溜めて、砕いた火属性の魔力結晶を入れて魔力を流す。そうすれば火属性の魔素によって程よい温度のお風呂になるんだ」
「はー、便利だねぇ。物は使いようとは言うが、爆薬とか魔力結晶ってのはそこまで使いこなすもんかね?」
「属性の適性が無いから代替品を使ってるだけだし、ある程度の慣れは必要さ。もし興味が湧いたなら、空いた時間にでも調合の仕方や使い方を教えるよ。セリスは飲み込みが早そうだし」
「ふぅむ……ただでさえ苦労かけてる訳だしな。効果とか範囲を知っておけば戦闘での立ち回りも改善されるか……ちょっとやってみようかね」
「……クロトがいる分、他のパーティより確実に恵まれてるよなぁ」
「魔物が寄り付かない安全地帯の確保に、豊かな食事が作れて疲れを癒せる設備の作成……休憩地点としては満点を貰ってもいいくらいですよ」
「休憩っつーか、ある意味で宿泊施設と化してるがな。悪いことではねぇが、慣れたら慣れたで問題な気がするぜ」
「ほとんどクロトさんのおかげですからね。見回りの教師にそこを指摘されたら……」
「そうならねぇように、俺達で出来る事はやっていこうぜ」
◆◇◆◇◆
お風呂の用意が出来たので女性陣から先に入ってもらい、俺とエリックは離れた水場で武器の手入れをする。
仕切りの壁を作って広めの個室ぐらいにしているとはいえ、近くに居るのは思春期男子の心臓に悪いのだ。
「つーか《スクレップ》に手入れっているか? ぶっちゃけ刃の無い鈍器だろ?」
「研ぐ必要は無いけど、エンチャントしたルーン文字の摩耗具合は見ておいた方がいいよ。軽量化の文字が消えたら大変だし」
刀身の腹と柄を指差して確認を促しつつ、工具でトライアルマギアを取り外す。これ自体は接続部の調子を見るだけでいいので広げた風呂敷の上に放置。空になったアブソーブボトルも転がしておく。
ちなみに空になったボトルは自動的に周囲の魔素を吸収し、三十分ほどで満タンになるという驚異の機能が備わっている。魔導科学の力ってすげーっ!
ただし完全に使い切らないと充填されないので、蓋を開けて中の魔力を完全に霧散させないといけない。そうでなくとも“ボトルの口を魔法に当てたら補充が可能”と、マニュアルには書かれていたが。
どうも魔法を分解し、構成する魔力を吸って無効化するのだとか。どうやってこれだけ小さい道具にいくつもの機能を注ぎ込んでいるんだ?
そういう意味では強力かもしれないが、わざわざ当たりに行く必要があるのは怖いです。
「必要に駆られたらやるかもしれないけど……とにかく、まずはこっちだな」
改めて抜き身になった長剣に水を掛けながら、砥石に当てて研いでいく。
完成してからずっと酷使しているので刀身には傷が目立ち、少し欠けていた刃の部分はこれまで何度も研ぎ直した結果、擦り減ってしまっていた。
しかも外見からは判断しにくいが叩いてみたり、鑑定スキルを使えばよく分かる。
短期間でシフトドライブを行使し続けていたせいで、芯鉄の部分に亀裂が生じていた。なんとか迷宮探索中は持たせるように応急処置はするが、限界が来るのは近いだろう。
特に、最大火力のシフトドライブを撃ったら確実に折れる。そんな確信があった。
使わなければいい話なのだが、お手軽かつ肉体的な負担の少ない──一歩間違えたら自爆する可能性はあるが──必殺技でもある。
段階の低いシフトドライブでは刃が通らない、鱗や皮が鎧のごとく機能する魔物を相手にした時、頼りになるはずだ。
「でも常用していくなら長剣のグレードアップは必須……鉱石系の中でも耐久性のある黒鉱石よりも、強靭で優れた素材……ミスリル? ファンタジーの定番で憧れはあるけど、俺の腕じゃあまだ無理だしなぁ」
「なぁにぶつぶつ言ってんだよ」
具合を見てから長剣を布で拭っていると、エリックに肩を小突かれた。
「ルーン文字の点検、終わったぞ。仄かに光ってれば効果が発揮されてる、ってことでいいんだよな?」
「ちょい見せて……柄と刀身、文字列の乱れに潰れた部分も無し、と。うん、正常だ」
受け取った《スクレップ》に刻まれたルーン文字を見て頷く。
見た目は無骨な鉄の塊だが、重量はエンチャントのおかげで遥かに軽い。しかし質量はそのままなので迂闊に扱うと思わぬ怪我に繋がる。足に落っことした時は、しばらく転げ回って立てなかったくらいには。
鍛冶技術の不足、それを補う為のエンチャントと使用した素材の潜在的な力。あらゆる要素で絶妙なバランスを保っているのが《スクレップ》だ。
こまめなメンテナンスによって性能は万全な物となり、怠るととんでもない目に遭う。
未熟と油断が生み出した後悔の一品。それでも命を預ける武器なのだから、入念に手を施さなくては。
「しっかし純黒鉱石で出来てるだけあって、本当に頑丈だなぁ。スキルの補正で強度も上がっているせいか大きな傷も無いし」
「防御系スキルとの相性がとことん良いみたいだからな。ちょっとやそっとじゃ打ち負けねぇぜ」
「…………鉄剣打ちの時、寝ぼけてなければ今頃は……くっ!」
気が狂ったように金槌を振り続けた作業。その慣れの果てがこの一本に集約したと思えば気が紛れるか。
奥歯で噛んだ悔しさを、見上げた天井に吐きながら。ルーン文字の彫り具合や他に異常も無かったので、《スクレップ》をエリックに返す。
ロングソードにトライアルマギアを付け直し、動作確認も済ませれば手入れは完了だ。
「あとは二人の武器も見ておくか?」
「いや、カグヤの刀は自分でやるって言ってたし、セリスの槍は留め具を締め直すだけでいいから一人でやれるし」
「んじゃあ手ぇ出さなくてもいいか」
「そうだね。二人がお風呂あがるまで爆薬の補充でも……」
空いた時間を活用しようと立ち上がり──錬金術セットをテントに置いてきたことを思い出す。
女性陣が絶賛入浴中のお風呂場近くのテントに、だ。脳内に警鐘が響く。
近づいてはダメだ、と。閃光のように浮かび上がる、人体三枚おろし制裁の図が拭えない。
しばらく膝立ちのまま静止し、静かに足を抱えて座り直す。
察したのか、エリックは何かを意識しないように顔を水面に向ける。
「……大人しくじっとしてるのが吉だね」
「みたいだな」
男二人、無言で水路のせせらぎを見つめて。
遠くから響くキャッキャウフフな声に聞こえない振りをしながら。
ただただ時間が過ぎていくのを待った。
◆◇◆◇◆
その後、ソラを召喚して遊びながら時間を潰して。声を掛けてくれた女子二人の方は見ずに、エリックと一緒にお風呂場へ。
少し温くなったお湯で身体の汗を流すくらいで手早く済ませる。速攻でお風呂場から出たら、カグヤにタオルで髪を乾かされているセリスに二度見された。変に意識しない為の苦肉の策なんだ、見逃してくれ。
とにかく“厄除けのアロマ”や各爆薬の補充をしながら、四人で夜間の見張りについて相談する。
「そもそもアロマ焚いてんだから見張らなくていいんじゃないか?」
「大体の魔物は近寄らないけど、徘徊してるユニークとかゴーレムみたいな嗅覚の意味が無い相手には効かないよ」
「そうでなくても何が起きるか分からねぇのが迷宮だしな」
「全員が眠りについて油断したところで、想定外の事態が起きないとは言い切れませんから」
「おお……なるほどなぁ」
『キュキュ』
口々に見張りの重要性を説けばセリスも納得したようだ。
そんな彼女だが、もふもふ尻尾にふわふわ毛皮のソラを存分に堪能している。どこか上の空で。
迷宮内とは思えないほどの十分な食事、蓄積された疲れを溶かすお風呂。二つのコンボによってウトウトし始めているようだ──計画通り……っ!
顔を背けてニヤリと笑い、エリックとカグヤに目線を送る。頷いた二人がそれぞれ準備を始めた。
初めての迷宮攻略となるセリスの為に、事前に話し合っていたのだ。
「では最初に私とエリックさんで見張りをしますので、時間が経ったらお二人と交代。これを朝までローテーションしていきましょう」
「おう。それじゃ早速……の前に、っと」
おもむろに立ち上がったエリックが、カグヤの用意していたコップに。焚き火に掛けられたポットを傾けて中身を注ぐ。
琥珀色の液体……その正体はリラックス効果をもたらす特製茶葉の紅茶だ。
なぜそんな物があるのかというと、気心知れた面子であっても肉体的、精神的負担は起こるものだという心配から。
慣れない状況に、無意識の内に気を張っていて彼女の限界は近い。だから初日くらいは俺達三人で見張りをやろう、と話を合わせていたのだ。
セリスにはぐっすり休んでもらって、明日からもいつも通りの元気を出してもらいたい。
だからカグヤに見繕ってもらって紅茶を。追加のダメ押しで、セリスの寝袋に『快眠』のルーン文字を刻んでおいた。これで寝れない方がおかしい。
ふっふっふ、素敵な夢の中へ招待してやるぜ。
「ほら、これ飲んで寝てろ。時間になったらちゃんと起こすからな」
「うぃ~……」
差し出されたコップを気だるげに受け取り、息を吐いて冷ましてから口をつける。程よい温さだったのか、飲み干すのにそう時間は掛からなかった。
「んじゃ、おやすみ……」
『キュイ!』
空になったコップを置いて、ソラを抱き締めながらテントへ入っていくセリスを見送る。
ちなみにソラに事情を説明したら、快く抱き枕になってくれることを承諾してくれた。前から賢いとは思ってたけどやっぱりあの子、こっちの言葉を的確に理解してるよね?
「よし、上手くいったな」
「ふふふっ……なんだか秘密の作戦みたいでワクワクしましたね」
「カグヤって意外とそういうの好きだよね」
コップを片付けながら笑うカグヤにツッコみつつ、三人でその場を片付けて。匂いを変えた新しいアロマに火を点けて、前に設置した場所に置き直す。
辺りに生える結晶のおかげで明かりの心配はいらないので、毛布と武器を持ってそれぞれの位置に着く。
最初は俺とエリックで広場の出入り口を分かれて見張り、カグヤはテント前で待機。砂時計で時間を計り、順々に場所を変えて仮眠を取る。この流れを朝まで続けていくだけだ。
……とはいえ、俺もこういうのは初めてだ。居眠りしないように気を付けないとな。
壁に背中を預けたまま頬を叩き、出口の先へ視線を向ける。
幻想的な光景を眺めながら、実技試験初日の夜は更けていくのだった。
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これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
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〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
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「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
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皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
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慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
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僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
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この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
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勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます
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28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。
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※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
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