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第5話 ハイエナ
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民自党の各派閥の役員58名は、赤坂の料亭『竹千代』の大広間に集められていた。
「本日はご多忙の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今日はみなさんに大切なお願いがございます。
明日の臨時国会に於きまして、どうしても通さねばならない法案があります。それに是非ともご賛同いただきたい」
すると第三派閥の荻野目総務会長が口を開いた。
「井沢官房長官、世論を敵に回すような法案ではないでしょうなあ?」
「その前に、みなさんに小山田総理からのプレゼントがございます」
すると喪服を着た男たちが各々の議員たちの前にミカンの段ボール箱を置いた。もちろん中身はカネだ。
「その中に帯封を外した現金、1億円が入っております。
どうぞお納め下さい」
一斉に漏れる歓喜の溜息。
「もし、もっと必要だと仰るのなら、ご希望の金額をご用意させていただきますとのことです」
「今度は一体どんな内容の法案ですか? まさか「消費税率を20%にする」なんて話ではないでしょうな? あはははは」
宴会場に失笑が湧いた。
「国家管理保護法案を通していただきたい。簡単に言えば国が国民の生死を管理するという法案です。不要になった老人の安楽死と出生管理、そして若者の徴兵義務です」
「そんな法律、国民が納得するわけがない! あまりにも荒唐無稽な話だ!」
すると井沢がその中堅議員を恫喝した。
「戯言で言っているのではない! これは京都の元老院が決めた事なのだ! そして同時に我々日本をアメリカ帝国主義の従順な飼い犬、ポチにしたこの憲法、マッカーサー憲法を廃止し、天皇陛下を中心とした憲法、『新・大日本帝国憲法』を発布せよと言う至上命令なのだ!」
「たった1憶ぽっちのカネでは割があわない。僕は失礼するよ」
環境大臣のお坊ちゃん議員、大泉が退席しようとした時、井沢は拳銃を抜き、議員たちの前で大泉を射殺した。
大泉は頭と心臓を正確に撃ち抜かれ即死、畳はたちまち血で染まり、部屋には硝煙と血の匂いが充満し、嘔吐する者や失禁する者もいた。
すぐに逃げようとした者は、廊下で待機していた先程の喪服を着た特殊部隊員にハチの巣にされた。
「これはお願いじゃねえ! 命令なんだよ! 命令!
死にたくなければそのミカン箱を開け、その中にある誓約書にサインをしろ!
こんなバカな奴はもういないとは思うが、もし万が一、今夜のことを家族やマスコミに話したら、おめえらの家族全員は行方不明や、不慮の事故死が待っていることを忘れるな!
お前らはカネと権力が欲しいだけの世襲バカ議員共だ!
これからは選挙で落選に怯えることもねえ。永久世襲の国会議員になるんだぜ。貴族議員になれるんだ。ただこの法案に賛成するだけでな? あーははははは!」
井沢は大泉に近づくと、死体に向けて残弾をすべて打ち尽くし、ポケットから新しい弾倉を拳銃に装填した。
「はーい! この場で俺に射殺されたい人は手を挙げて! わはははは わはははは どいつもこいつも根性ねえなあ!
それではみなさん、これから銀座のクラブを貸し切りましたから、そこで団結式と参りましょう!
そこで浴びるほど酒を飲んで、好きな女をお持ち帰りして下さい!」
議員たちは喜び勇んでミカン箱を持って宴会場を後にした。
大泉の隣の席に座っていた小柄な吉倉は、大泉のミカン箱も二段重ねにしてよろめきながら廊下を歩いて行った。
翌朝の情報番組で、環境大臣の大泉が行方不明になったことを女子アナが伝えていた。
そして遂に『国家管理保護法』は国会に於いて賛成多数で可決されたのである。
「本日はご多忙の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今日はみなさんに大切なお願いがございます。
明日の臨時国会に於きまして、どうしても通さねばならない法案があります。それに是非ともご賛同いただきたい」
すると第三派閥の荻野目総務会長が口を開いた。
「井沢官房長官、世論を敵に回すような法案ではないでしょうなあ?」
「その前に、みなさんに小山田総理からのプレゼントがございます」
すると喪服を着た男たちが各々の議員たちの前にミカンの段ボール箱を置いた。もちろん中身はカネだ。
「その中に帯封を外した現金、1億円が入っております。
どうぞお納め下さい」
一斉に漏れる歓喜の溜息。
「もし、もっと必要だと仰るのなら、ご希望の金額をご用意させていただきますとのことです」
「今度は一体どんな内容の法案ですか? まさか「消費税率を20%にする」なんて話ではないでしょうな? あはははは」
宴会場に失笑が湧いた。
「国家管理保護法案を通していただきたい。簡単に言えば国が国民の生死を管理するという法案です。不要になった老人の安楽死と出生管理、そして若者の徴兵義務です」
「そんな法律、国民が納得するわけがない! あまりにも荒唐無稽な話だ!」
すると井沢がその中堅議員を恫喝した。
「戯言で言っているのではない! これは京都の元老院が決めた事なのだ! そして同時に我々日本をアメリカ帝国主義の従順な飼い犬、ポチにしたこの憲法、マッカーサー憲法を廃止し、天皇陛下を中心とした憲法、『新・大日本帝国憲法』を発布せよと言う至上命令なのだ!」
「たった1憶ぽっちのカネでは割があわない。僕は失礼するよ」
環境大臣のお坊ちゃん議員、大泉が退席しようとした時、井沢は拳銃を抜き、議員たちの前で大泉を射殺した。
大泉は頭と心臓を正確に撃ち抜かれ即死、畳はたちまち血で染まり、部屋には硝煙と血の匂いが充満し、嘔吐する者や失禁する者もいた。
すぐに逃げようとした者は、廊下で待機していた先程の喪服を着た特殊部隊員にハチの巣にされた。
「これはお願いじゃねえ! 命令なんだよ! 命令!
死にたくなければそのミカン箱を開け、その中にある誓約書にサインをしろ!
こんなバカな奴はもういないとは思うが、もし万が一、今夜のことを家族やマスコミに話したら、おめえらの家族全員は行方不明や、不慮の事故死が待っていることを忘れるな!
お前らはカネと権力が欲しいだけの世襲バカ議員共だ!
これからは選挙で落選に怯えることもねえ。永久世襲の国会議員になるんだぜ。貴族議員になれるんだ。ただこの法案に賛成するだけでな? あーははははは!」
井沢は大泉に近づくと、死体に向けて残弾をすべて打ち尽くし、ポケットから新しい弾倉を拳銃に装填した。
「はーい! この場で俺に射殺されたい人は手を挙げて! わはははは わはははは どいつもこいつも根性ねえなあ!
それではみなさん、これから銀座のクラブを貸し切りましたから、そこで団結式と参りましょう!
そこで浴びるほど酒を飲んで、好きな女をお持ち帰りして下さい!」
議員たちは喜び勇んでミカン箱を持って宴会場を後にした。
大泉の隣の席に座っていた小柄な吉倉は、大泉のミカン箱も二段重ねにしてよろめきながら廊下を歩いて行った。
翌朝の情報番組で、環境大臣の大泉が行方不明になったことを女子アナが伝えていた。
そして遂に『国家管理保護法』は国会に於いて賛成多数で可決されたのである。
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