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「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡♡」
門田の手の動きに合わせて溢れる喘ぎが止まらない。がらんとしたバスの中に響くのは、叩きつける雨音と千絢の鼻にかかった言葉にならない声ばかりだ。
みずみずしい花芯から溢れる蜜も止まらず、その甘さに誘われるように門田の指が絡みつきうごめいていた。
「あっ♡かどたさ♡♡あっ♡♡」
(気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい)

「んぅ♡んっ♡♡んっ♡♡」
千絢の腰がヘコヘコと切なく揺れている。門田の手の動きに合わせて。それは、間違いなくねだる仕草で、門田はすぐに理由に思い至った。
「千絢、もしかしてここ、自分で触ってる?」
(なんで? バレちゃった? 怒られる! ママはエッチなのだめって)


その言葉に、一瞬千絢の身体がビクンと強張る。けれど初めて知った他人の手で施される手淫の前では、それはほんの一瞬のことだった。
ただ、恥ずかしそうにぎゅっと固く目をつむったまま千絢は悶えていた。
「んっ♡♡んっ♡♡」
「触ってるんだ? いやらしいな」

千絢は返事を返さなかった。ただ俯いて眉間にシワを寄せながら羞恥に震える姿。それが答えだった。
「あっ♡♡あっ♡♡あっ♡♡」
「ねぇ気持ちいい?」

門田に耳元で囁かれ、空気をはらんだ吐息が首筋を撫でた。ぞわぞわと悪寒に似た何かが千絢の身体を駆け抜ける。門田の腕の中で千絢は肩をすくめ、悶えるように身をよじった。
「ああああ♡♡」
(変だ。自分でするときはこんな声でないのに)
「あんっ♡んっ♡♡」
(とまんない、エッチな声)

門田のスラックスにすがる指先に力がこもる。千絢の頭がいやいやをするように左右に揺れ、後頭部が門田の胸に押し付けられる。
「あっ♡あっ♡♡」
「自分で、こういうことしてるんだよな?」
門田のもう一方の手が千絢の膝下に差し込まれ、そのままするすると内腿を滑る。
そうして歓喜に打ち震える若木の根元、小ぶりな双玉に到達するとやわやわと揉みしだく。2箇所を責めたてられ、千絢は今まで以上の勢いで広がる刺激に大きな声をあげた。

「ああっ♡あああっ♡♡♡」
「答えなさい」
こうなってしまってはもう、逃げ場はなかった。千絢がひとり家でここを弄っていることがバレてしまったのは、千絢にもごまかしようもなくわかっていた。

浅く跳ねる呼吸を千絢はこくりと息を飲むことで整えた。言わなければならない、そう思うと諦めに全身の力が抜けてしまう。
くったりと脱力し己に身を預けた千絢の頭を門田は撫で、顔を覗き込んだ。
「千絢?」
「……は、い。ごめんなさい」
赤く潤んだ瞳を見られたくなくて、千絢は顔を両手で隠した。

「どうして『ごめんなさい』?」
顔を覆い隠した両手が、門田に優しく取り払われて真っ赤に染まった顔を見られてしまう。しかし、こちらを覗き込んでくるその瞳は優しく微笑んでいた。
(怒ってないの?)
「だって僕、エッチで……」
「ふふ、ちゃんと答えられて偉いね」
そのままの笑顔が近づいてくる。千絢は訳もわからないまま瞳を閉じていた。そうするのがいい気がした。
まず目元に、そしてそれから唇にふにゃりと柔らかい感触。それから小さな唇を無理矢理割って、濡れた舌がぬるりと滑り込んできた。

「ん、ふ」
歯の裏側を舐められて、その舌先が千絢の舌とぶつかる。驚いて引っ込んだ舌を追いかけるように門田の舌が捩じ込まれてきた。
(これ、なに? あったかくてぬるぬるできもちいい)
口内が門田で埋め尽くされ、千絢の口の端から飲み込みきれなかった唾液がつぅっと滑り落ちた。
「ん♡ん♡」
舌を扱くように吸われて、なぜか下腹部がずきずきと疼く。千絢は無意識のうちに腰をもじもじと揺らめかせながら、懸命に門田の舌を追いかけた。そうするものだと思った。

「かどた、さん?」
「俺は千絢がエッチな子で嬉しい」
(怒ってないの?)
深いキスを交わした後、千絢は背後の門田に抱え直された。門田の脚が内側から千絢の膝を大きく開く。無毛のつるりとした下半身が、またあらわに固定される。
千絢はもう一切抵抗しなかった。広げられた脚から恥ずかしそうに目を逸らし、浅い呼吸を繰り返しながら雨が打ち付ける窓をみつめるだけで。門田の胸が弾む。千絢はこの行為を受け入れ、あまつさえ期待に胸躍らせている。

「……これはちゃんと返事ができたご褒美だよ」
勃ちあがったまま、けれどいつのまにかまた桃色の先端を覆い隠していた皮の中にぬくりと指が差し込また。じくんと疼くような快感が、触れられた場所から腹をつたい千絢の胸の先端を尖らせる。
「ひぅっ♡♡」
(ごほうび、これが)

小さな鈴口が隠された内側を指先がくりくりと撫でる。指の腹で鈴口をなぞられ、溢れた淫液を塗り込めるようにされるたびに、じんじんと甘い痺れが走り、千絢の腰が切なく揺れる。
「あっ♡♡あっ♡♡ゆび♡」
(ごほうび、気持ちいい)

「指気持ちいい? コリコリに硬くして、いい子だね。いっぱいエッチにしてあげような」
そう言うと、門田はもう一方の手で千絢の未熟な幹を握り上下に扱いた。千絢の腰がねだるようにクッと浮き上がる。
「あ♡ああ♡♡かどたさ、んー♡♡んーーっ♡♡」
(気持ちいい、指、気持ちいいよぅ)

門田の手に縋るように重ねられた千絢の小さな手が、門田の動きと一緒に上下する。
その光景は、千絢が門田を使って自慰をしているかのようで、門田の目を愉しませた。
「あっ♡あっ♡あっ♡♡あっ♡♡」
(気持ちいいの来ちゃいそう、もっと、もっとこすって、先っぽ)

千絢はもう夢中だった。
門田に与えられる、今まで感じたことのない強烈な快感に身体中が支配されていた。もっと気持ちよくなりたい、その一心で手や腰を振りたくっていた。
脚を広げられたまま腰をカクカクと上下させ、門田の膝の上で身をくねらせながらあられもなく乱れる少年の姿は、眼福だった。
「ああっ♡♡あっ♡♡あっ♡♡」
(いい♡きもちいいの♡♡ちんこきもちいい♡♡きそう♡♡きそう♡♡)

千絢がひとりでするとき『気持ちいい』が頂点に達することがある。まるで『気持ちいい』が詰め込まれた風船が弾けるように。
それが今訪れようとしていた。門田の前で。
「あっ♡あっ♡♡もう、……もうだめ♡♡きちゃう♡あっ♡」
(きもちいい♡♡きもちいい♡♡あとすこし♡ちんここすって♡♡)

だめ、だめとうわごとのように言いながら、快感を追いかけて千絢は懸命に腰を振っていた。止まらなかった。
「あっ♡あっ♡あっ♡♡だめぇ♡♡きちゃうぅ♡♡」
「何が?」
「気持ちいいの♡♡きもちいのきちゃう♡♡まって♡まって♡♡あっ♡♡あっ♡♡♡」
言葉とは裏腹に腰は激しく揺れている。拙い腰振りは千絢がこの快楽に溺れきっていることを如実に示していた。
絶頂すると言い募っていることはすぐにわかった。こんなに幼いのに、オーガズムを知っている身体だと無自覚に打ち明けられ、門田の口元が綻ぶ。

「気持ちいいの来ていいよ。もっとエッチになってみせて」
門田の両手が一層激しく動く。手の中で千絢の愛らしい花芯が揉みくちゃにされて蜜を滴らせ、歓喜にビクビクと揺れている。
「あっ♡♡あっ♡♡かどたさ♡♡」
「いやらしい千絢を俺にみせて」
声音がはらむ熱に、千絢がビクッと身体を跳ねさせる。耳から吹き込まれたそのねっとりとした熱は、千絢の性感を加速させた。
「あっ♡♡あっ♡♡きちゃう♡♡」
(きちゃだめ、恥ずかしい、こんなのだめなのに。見られちゃう、いやらしいところかどたさんに見られちゃう)
「んっ♡♡んっ♡♡くる♡♡きちゃう♡だめ♡♡きちゃうよぉ♡♡」

顎が上がり晒された白い喉は、まるで門田に仕留められる時を待っている獲物のようだった。
(だめ、だめなのに。きちゃだめ。きもちいい。きもちいい。きちゃだめ、だめ、だめ、もうだめ……くるっ!)
「んっ♡んっ♡♡あーーーっ♡♡♡」
雨音をかき消すほどの大きな嬌声と共に背を浮かせた千絢の身体が、そのままの形で強張る。力がこもりぴんと伸びた足先、靴下の先端がきゅっと丸まった。
それから千絢は門田の腕の中でビクンビクンと大きく2、3度跳ねてゆっくり弛緩した。
幼い先端から透明な体液がどろりと大量に溢れ、門田の手の甲までもべちゃべちゃに濡らしている。
潤んだ瞳、小さな赤い唇は半開きのまま舌を覗かせ、快楽の余韻に震えていた。

「はぁっ♡ぁ……♡♡ぁぁ……♡♡」
(すごい……こんなの……)
紅潮しだらしなくとろんと蕩けた顔の千絢を覗き込んだ門田は、自分でも驚くほどの甘く柔らかい声音で語りかけた。
「気持ち良かった? 千絢」
少し汗ばんだ髪を撫でると、千絢は猫がするようにうっとりと瞳を閉じた。
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