闇堕勇者と偽物勇者

ぼっち・ちぇりー

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ディアストリーナ

運び屋の日常

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 俺は今、厄介ごとに絡まれている。
 俺に問題があるとも言えるし、そうでないとも言える。
 結局そういうのも、個々の主観によって変わるもんだ。そうだろ? お前はどう思う?
 ことの発端は、俺がいつも通り任務を遂行し、冒険者たちを教会に送り届けたことにある。
 いや、ここまでなら、そこまでおかしい話でもない。問題はコレからだ。
 最寄りの教会が、冒険者のGゴッドを定価のマージン以上にふんだくる悪徳業者だったからだ。
 俺も、運び屋稼業をしていて、同業者から似たような話を聞く。
 俺は、まんまとその「悪徳業者」とやらに捕まったらしい。
 冒険者たちのGは、彼らが死亡しているうちに、神父が半分財布から抜き取って良いということになっている。(それはそれで問題だが)
 とは言っても一定の権力を持つ教会に、冒険者ギルドは口を出すことも出来ないし、神聖な神の使いに疑いをかけるなど、それでこそ、不届きモノとなってしまう。
 第一に、彼らが居ないと、死んだ冒険者を生き返らせることが出来ない。
 コレは諸君も知っている一般常識だと思う。
 話を戻そう。
 俺がもらえるわけまえは、そのうちの15パーセント。教会側が35パーセントで、俺たち運び屋が15パーセント。
 命をかけることを差し引けば、良心的な、わけ前だと思う。
 そりゃ勿論、俺たちは女神の加護を受けていないからな。命懸けさ。
 それが75パーセントになったり80パーセントになれば、流石の冒険者も、財布が軽くなったことに気づくさ。
 だが、教会が信用を失わない理由は他にもあった。
「私は見たぞ、この男が、君たちからスリをするのがな。」
 この世界では、明確に職業の貴賤が存在する。
 考えてみてほしい。
 君たちなら、死体を運ぶ人間か、神の使いである善良な人間、どちらの言葉を信じるか。
 だが、俺だって自分の生活がある。
 ここは大事にならない、自分の評判を下げる程度で済むように、手加減をしなければならない。
--- 次元の腕パラレル・スクランブル---
 別の世界のどこか、無数に存在する俺の中の一人に、かいなを伸ばす。
 そして掴み上げて、自分の心臓に打ちつけた。
「あたりだ。」
---疾風ハヤテ---
 身体強化魔術、この状況にピッタリじゃないか、火の玉や、雷じゃ、殺傷能力が高すぎるからな。
 冒険者のリーダーが口をあんぐりと開けている。
 あまりにも世界がゆっくりと動きすぎているので、彼らの声がまだ聞こえない。
 魔術師の首を絞めて気絶させ、武道家らしき男の後頭部に籠手を行う。
 続くリーダー格の戦士にボディーブローをして泡を吹かせた。
 最後の気弱そうな女送料だけを残す。
 1番無害そうであり、実際無害だからだ。
 俺は用意しておいた小型の録音スクロールを再生し、自分の無実を証明する。
 神父は悪びれることなく、くすねた25000Gを彼女へ向けて放り投げた。
 このエセ神父め、キサマのような外道は麻婆豆腐でも食ってろ!!

      * * *

 俺が金を稼ぐ理由。
 それはただ一つ。
「おかえり兄ちゃん。」
 俺の帰りを待つ孤児院の子供達を食わしていく為だ。
「おかえり、スーちゃん。」
 俺を愛称で呼ぶのは、俺の義姉のリワン・スペース。
 リワン姉ちゃんだ。
 彼女はこの孤児院で、子供たちの世話をしている。
 俺は袋から今日のリワードを彼女に渡した。
 15000G……いつもより少ない。だが、彼女は嫌な顔をせず、俺に会釈をしてから、エクボを作ってみせた。
「明日からは少し遠くの依頼を受けに行くことになるかもしれない。2.3日明けるかも。」
「何かあったの? 」
「近くの教会で揉めちまってな。」
 彼女は俯いて、それから、顔を上げると、俺の両肩をガッチリ掴んだ。
「別にスーちゃんが無理する必要も無いんだよ。商人でも……なんだったら私も働くし。」
 彼女に、ガキたちを任せながら、製糸場に駆り出すわけにもいかない。
「大丈夫。俺に任せてくれ。リワン姉ちゃんは、子供達を頼むよ。」
 俺が運び屋をやっている理由。
 それは単に金のハブりが良かったからだ。
 一度は冒険者も考えた。
 だが、どうやら俺には女神の加護が宿らなかったらしい。
 多分、師匠から受け継いだ、この力のせいだとギルド嬢は説明していたが……
 俺にとっては金が稼げるならどうでも良い。
 冒険者は冒険者で、あまり労働環境の良い仕事とも言えないしな。
 何度も死を体験するなんて、常人ならすぐに気が滅入ってしまうだろう。
 死に慣れている彼らこそ、本当にイカれた奴らだ。
 危険を犯して棺桶を運ぶ俺たちよりな。
 なぁお前らはどう思う?
「まーた難しい顔をしている。」
「すまない。湯に浸かりたい。」
「もう沸かしてあるよ。年長のガキんちょたちが帰ってくる前に、入っちゃって。」
 
 


 
 



 
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