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4章 貴方に捧げる我がまま
4-3 貴方に捧げる好意
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「アイツの好きなところを答えよ」
いきなりスレイからの問いが来た。
問いに答えなければ、剣の訓練に付き合わないとまで頬を膨らませながら言う。
成長したはずなのに昔のままだ。
ここは放課後の訓練場。
剣の訓練には是非とも付き合ってほしいのだが。
訓練場は閑散としている。
朝練にはよく見に来る女子生徒たちだが、オルレアは放課後まで訓練場に剣の訓練をすることはほぼなかった。ここに来るまでに女子生徒に見つからなければ、彼女たちがここに来ることはない。
ゆえに活気がある朝の時間にここで訓練をするという男子生徒も多い。ので、放課後は試験前や何らかのイベントでもなければ訓練場は空いている。
「うーむ、お前は俺のイーティに対する惚気が聞きたいのか?」
うっ、とした態度を取りながらも、スレイはそれで納得するわけでもない。
他人の惚気なんて聞いていたって時間の無駄だと思うが。
「スレイが聞きたいことは、帝国の第一皇子が信頼や尊敬に値する人物かということじゃないのか」
「オルがそういう解釈をしたいのなら、それでもいい」
スレイは拗ねると意外と面倒臭い。
正直に話せばいいのに。
「、、、んー、でも、事実を話すと余計にスレイがムクれる気がするのは何でだろう」
「オルっ、アイツのことで何か隠しているのかっ」
本人が聞きたいというのなら仕方ないかー。
「このウィト王国の者は他国の情報を収集すること自体軽んじている。それは最強の剣と最強の盾に守られているからこそ、他国の情報はそこまで重要ではないと考えている者が多いせいだ。ウィト王国の新聞ではウィト王国万歳路線で書かれているために、他国のことは置き去りにされている」
「それはそうだけど、その話はアイツと関係あるのか?」
「今まで帝国と大国は手を結んだことはない。ウィト王国や周辺諸国を二か国で分け合いたいと思っているわけではなく、自分たちの国だけで他の国々を蹂躙したいからだ」
スレイの表情は、そのくらいは知っているけどさーと言っている。
帝国と大国の間にも小国が並んでいる。ウィト王国もその一つ。
ウィト王国が二か国の強大な国家に接しながらも、帝国と大国に侵略されていないわけは、確かに最強の剣と最強の盾がいるということも関係しているだろうが、他の国々との関係もある。
周辺のすべての国々と同時期に戦うなんて愚かな行為を、帝国も大国もしない。
一か国ずつ攻めていく。
飴と鞭を使い分けて、他の国々が協力しないように手を尽くしている。
ウィト王国はその辺は杜撰だ。他国との繋がりはそこまで重要視されていなかった。
というより、周囲は敵に囲まれていると思っていたくらいだ。
基本的に最強の剣と最強の盾がいるから他国なんてどうでもいいとさえ思っていたのだろう、王族でさえ。
残念ながら最強の剣、最強の盾といっても、たった二人の人間だ。すべての国家を敵に回せるくらいなら、ウィト王国はこの大陸を掌握できていたはずだ。
それができておらず、ウィト王国の国土が狭い小国であることを考えれば自ずと答えは出る。守れる範囲を考えればそれが妥当なのに、どうして国際情勢が関係ないと思えるのだろうか。
そして、武力だけが他国を侵略する手段ではないことに国々は気づき始めた。
だからこそ、王妹マイア様は他国との繋がりを求めた。とりあえず手短な国境を接する国から、友好国になりそうな国を探した。
「帝国も大国も侵略国家だ。周辺の侵略するべき国は侵略し尽くされ、属国になる国はすでに属国となっている。これ以上は状況が変わらない限り、どこの国も武力で争い続けても疲弊するだけだ。ゆえに帝国も大国も今は過渡期だ。政策自体の変更を迫られている」
「政策が変更することはわかるけど、それが何なんだよ」
「武力でなく、別のもので他国を侵略するんだよ。それを実践しているのが帝国の第一皇子のイー商会だ」
ゴクリと唾を飲む音が聞こえた。
「確かに商会には国家間を跨ぐものが多く存在しているが、大商会と呼ばれるものでもこの大陸全土に販売網を持っている商会は少ない。俺はそもそもイー商会は第一皇子が皇帝の跡継ぎとして盤石な基盤を作るためのものだと思っていた。彼らはこの大陸全土の国家に恩を売りまくっていたからだ。商会の目的がそもそも金儲けではなかったから可能なことだったかもしれないが」
「アイツはどんな恩を売ったんだ」
そう、これがウィト王国国民の一般的な態度である。
イー商会が何をしているのか、まったく知らない。ある国では一般国民ですら知らない者はいないとされるほどの商会であったとしても。
「イー商会は宝石貴金属を宝飾品にしたり、化粧品等をその国の上流階級に売っていた。コレで各国の有力で正確な情報を得ることができる。そして、本来なら美容薬と呼ばれる美肌薬や毛生え薬等を広めていった」
「、、、まあ、貴族には大人気な薬だよな」
「そう、薬なんだ、これらは。だから、各国も薬販売の許可をイー商会に与えざる得なかった。自分が欲しいと思う薬を取り扱う商会に対して多少の譲歩はつきものだ」
「んっ?」
ようやくスレイも気づいたようだ。
「少ないところからじわじわと攻めていく。自国の効かない薬より、誰だって他国の効く薬を求めるようになる。その割合が大きくなったとき、イー商会がその国から撤退すればどうなるか、火を見るより明らかだろう?」
自国で作られた効く薬の他国への販路もイー商会が握っている。
それらを交渉材料に使われてしまえば、その国は少なからず痛手を被る。
知ったところで対処できるものでもない。同じ大陸内でも遠い遠い異国の地まで販路を自分たちの手で探すのは不可能に近いからだ。
魔法で治癒できる魔導士は限られているし、医師に診てもらうのも高額だ。
庶民に手が届くのは、薬である。その大衆薬が手に入らなくなれば。
少し考えれば、国家の上層部はそのくらい考えつく。
だからこそ、そうなる前にイーティに名誉爵位や屋敷、優遇措置等を与えて、その国に商会をとどまらせようと画策する。
コレは薬ではなくても可能な方法である。
だが、各国にはそこまで有効な手段も品物もない、と思っている。自国だけにしかない物というのは意外と少ない。ご近所の国々で存在するし、それを売り捌くための販路自体持っていない。
「けれど、大陸全土に販路拡大してもなお、イーティがやったのは人々の想像とは真逆のことだ」
「真逆って」
「感染症等が拡大してひどい状況になった国家に、教会ですらそっぽを向くのに手助けをしたのはイー商会だけだ。薬や食料、必要物資の無償提供の他に、医師団も派遣した。その国の医師らの反感を買わないように、期限を区切って他国の医師を派遣したんだ」
この時代、国家間において助け合う国々というのは少ない。
国内なら助け合ったとしても、他国を助けることはまずない。
配偶者として人質を取っていたり、何らかの恩でもない限り。
隣国がいくら困っているからといって、自分たちの国に益がなければ何もしないことも多い。
だからといって、放置し続ければ、自国に矛先が向きかねない。
侵略戦争というのはそういう理由でも起こる。
だから、余力があるうちに困っている国に高い恩を売る。
この世の中では他国からの支援というのはなければない方が良いくらいなのである。
ましてや、利益を考える商会が行えることではない。
けれど、大陸全土に支店を構えるイー商会だからこそできることだ。
医師や魔導士でも何でも、個人レベルでは人助けをしたいと思っている者たちは少なくない。そういう人たちをそういう状況下のときだけ低い報酬で他国に派遣する。
そして、薬を大きく扱う商会だからこそ、融通が利く。
「イー商会に救われた国は一つや二つではない。最初は胡散臭く思っていた国々も、自国が救われる番になって、ようやくそのありがたみを実感していく」
イー商会の商会長の正体がわかっても、邪険には扱えないほどに。
そして、救われた国々ではイー商会で働きたいと思う若者も多い。
本人だけでなく、配偶者、親、兄弟、子供、親戚、友人、知人等、命を救われれば感謝しない者はいない。
国ですら見捨てる者たちは特に。
そういう情報は一切ウィト王国では出回っていないが。
困った状況にはなったことがない幸せな国だからだ。
だから、イー商会は貴族女性に人気の商会でとまっていたのである。
「、、、そんなことをしていたのか」
スレイは彼を大きな器だと認識しただろう。
それがすべて帝国の皇子として生き残るためにしてきたと言われても、何か他に高尚な理由があるのではと勘違いするほどには。
だって、生き残るためだけにしては、かなりやり過ぎているから。
念には念を。
石橋ですら叩いて渡る男だとはいえ。
いきなりスレイからの問いが来た。
問いに答えなければ、剣の訓練に付き合わないとまで頬を膨らませながら言う。
成長したはずなのに昔のままだ。
ここは放課後の訓練場。
剣の訓練には是非とも付き合ってほしいのだが。
訓練場は閑散としている。
朝練にはよく見に来る女子生徒たちだが、オルレアは放課後まで訓練場に剣の訓練をすることはほぼなかった。ここに来るまでに女子生徒に見つからなければ、彼女たちがここに来ることはない。
ゆえに活気がある朝の時間にここで訓練をするという男子生徒も多い。ので、放課後は試験前や何らかのイベントでもなければ訓練場は空いている。
「うーむ、お前は俺のイーティに対する惚気が聞きたいのか?」
うっ、とした態度を取りながらも、スレイはそれで納得するわけでもない。
他人の惚気なんて聞いていたって時間の無駄だと思うが。
「スレイが聞きたいことは、帝国の第一皇子が信頼や尊敬に値する人物かということじゃないのか」
「オルがそういう解釈をしたいのなら、それでもいい」
スレイは拗ねると意外と面倒臭い。
正直に話せばいいのに。
「、、、んー、でも、事実を話すと余計にスレイがムクれる気がするのは何でだろう」
「オルっ、アイツのことで何か隠しているのかっ」
本人が聞きたいというのなら仕方ないかー。
「このウィト王国の者は他国の情報を収集すること自体軽んじている。それは最強の剣と最強の盾に守られているからこそ、他国の情報はそこまで重要ではないと考えている者が多いせいだ。ウィト王国の新聞ではウィト王国万歳路線で書かれているために、他国のことは置き去りにされている」
「それはそうだけど、その話はアイツと関係あるのか?」
「今まで帝国と大国は手を結んだことはない。ウィト王国や周辺諸国を二か国で分け合いたいと思っているわけではなく、自分たちの国だけで他の国々を蹂躙したいからだ」
スレイの表情は、そのくらいは知っているけどさーと言っている。
帝国と大国の間にも小国が並んでいる。ウィト王国もその一つ。
ウィト王国が二か国の強大な国家に接しながらも、帝国と大国に侵略されていないわけは、確かに最強の剣と最強の盾がいるということも関係しているだろうが、他の国々との関係もある。
周辺のすべての国々と同時期に戦うなんて愚かな行為を、帝国も大国もしない。
一か国ずつ攻めていく。
飴と鞭を使い分けて、他の国々が協力しないように手を尽くしている。
ウィト王国はその辺は杜撰だ。他国との繋がりはそこまで重要視されていなかった。
というより、周囲は敵に囲まれていると思っていたくらいだ。
基本的に最強の剣と最強の盾がいるから他国なんてどうでもいいとさえ思っていたのだろう、王族でさえ。
残念ながら最強の剣、最強の盾といっても、たった二人の人間だ。すべての国家を敵に回せるくらいなら、ウィト王国はこの大陸を掌握できていたはずだ。
それができておらず、ウィト王国の国土が狭い小国であることを考えれば自ずと答えは出る。守れる範囲を考えればそれが妥当なのに、どうして国際情勢が関係ないと思えるのだろうか。
そして、武力だけが他国を侵略する手段ではないことに国々は気づき始めた。
だからこそ、王妹マイア様は他国との繋がりを求めた。とりあえず手短な国境を接する国から、友好国になりそうな国を探した。
「帝国も大国も侵略国家だ。周辺の侵略するべき国は侵略し尽くされ、属国になる国はすでに属国となっている。これ以上は状況が変わらない限り、どこの国も武力で争い続けても疲弊するだけだ。ゆえに帝国も大国も今は過渡期だ。政策自体の変更を迫られている」
「政策が変更することはわかるけど、それが何なんだよ」
「武力でなく、別のもので他国を侵略するんだよ。それを実践しているのが帝国の第一皇子のイー商会だ」
ゴクリと唾を飲む音が聞こえた。
「確かに商会には国家間を跨ぐものが多く存在しているが、大商会と呼ばれるものでもこの大陸全土に販売網を持っている商会は少ない。俺はそもそもイー商会は第一皇子が皇帝の跡継ぎとして盤石な基盤を作るためのものだと思っていた。彼らはこの大陸全土の国家に恩を売りまくっていたからだ。商会の目的がそもそも金儲けではなかったから可能なことだったかもしれないが」
「アイツはどんな恩を売ったんだ」
そう、これがウィト王国国民の一般的な態度である。
イー商会が何をしているのか、まったく知らない。ある国では一般国民ですら知らない者はいないとされるほどの商会であったとしても。
「イー商会は宝石貴金属を宝飾品にしたり、化粧品等をその国の上流階級に売っていた。コレで各国の有力で正確な情報を得ることができる。そして、本来なら美容薬と呼ばれる美肌薬や毛生え薬等を広めていった」
「、、、まあ、貴族には大人気な薬だよな」
「そう、薬なんだ、これらは。だから、各国も薬販売の許可をイー商会に与えざる得なかった。自分が欲しいと思う薬を取り扱う商会に対して多少の譲歩はつきものだ」
「んっ?」
ようやくスレイも気づいたようだ。
「少ないところからじわじわと攻めていく。自国の効かない薬より、誰だって他国の効く薬を求めるようになる。その割合が大きくなったとき、イー商会がその国から撤退すればどうなるか、火を見るより明らかだろう?」
自国で作られた効く薬の他国への販路もイー商会が握っている。
それらを交渉材料に使われてしまえば、その国は少なからず痛手を被る。
知ったところで対処できるものでもない。同じ大陸内でも遠い遠い異国の地まで販路を自分たちの手で探すのは不可能に近いからだ。
魔法で治癒できる魔導士は限られているし、医師に診てもらうのも高額だ。
庶民に手が届くのは、薬である。その大衆薬が手に入らなくなれば。
少し考えれば、国家の上層部はそのくらい考えつく。
だからこそ、そうなる前にイーティに名誉爵位や屋敷、優遇措置等を与えて、その国に商会をとどまらせようと画策する。
コレは薬ではなくても可能な方法である。
だが、各国にはそこまで有効な手段も品物もない、と思っている。自国だけにしかない物というのは意外と少ない。ご近所の国々で存在するし、それを売り捌くための販路自体持っていない。
「けれど、大陸全土に販路拡大してもなお、イーティがやったのは人々の想像とは真逆のことだ」
「真逆って」
「感染症等が拡大してひどい状況になった国家に、教会ですらそっぽを向くのに手助けをしたのはイー商会だけだ。薬や食料、必要物資の無償提供の他に、医師団も派遣した。その国の医師らの反感を買わないように、期限を区切って他国の医師を派遣したんだ」
この時代、国家間において助け合う国々というのは少ない。
国内なら助け合ったとしても、他国を助けることはまずない。
配偶者として人質を取っていたり、何らかの恩でもない限り。
隣国がいくら困っているからといって、自分たちの国に益がなければ何もしないことも多い。
だからといって、放置し続ければ、自国に矛先が向きかねない。
侵略戦争というのはそういう理由でも起こる。
だから、余力があるうちに困っている国に高い恩を売る。
この世の中では他国からの支援というのはなければない方が良いくらいなのである。
ましてや、利益を考える商会が行えることではない。
けれど、大陸全土に支店を構えるイー商会だからこそできることだ。
医師や魔導士でも何でも、個人レベルでは人助けをしたいと思っている者たちは少なくない。そういう人たちをそういう状況下のときだけ低い報酬で他国に派遣する。
そして、薬を大きく扱う商会だからこそ、融通が利く。
「イー商会に救われた国は一つや二つではない。最初は胡散臭く思っていた国々も、自国が救われる番になって、ようやくそのありがたみを実感していく」
イー商会の商会長の正体がわかっても、邪険には扱えないほどに。
そして、救われた国々ではイー商会で働きたいと思う若者も多い。
本人だけでなく、配偶者、親、兄弟、子供、親戚、友人、知人等、命を救われれば感謝しない者はいない。
国ですら見捨てる者たちは特に。
そういう情報は一切ウィト王国では出回っていないが。
困った状況にはなったことがない幸せな国だからだ。
だから、イー商会は貴族女性に人気の商会でとまっていたのである。
「、、、そんなことをしていたのか」
スレイは彼を大きな器だと認識しただろう。
それがすべて帝国の皇子として生き残るためにしてきたと言われても、何か他に高尚な理由があるのではと勘違いするほどには。
だって、生き残るためだけにしては、かなりやり過ぎているから。
念には念を。
石橋ですら叩いて渡る男だとはいえ。
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