男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

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1章 双子の姉の失踪

1-5 砂糖菓子のようなやべえ女子生徒4 ◆アニエス視点◆

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◆アニエス視点◆

「ああ、今日もオルレア様が眩しい」

 熱いため息を吐きながら、称賛の声が漏れてしまった。
 ついつい私は剣舞を舞うかのようなオルレア様に見入ってしまう。
 長く綺麗な銀髪が揺れ動き、汗さえも美しく舞う。まるで芸術作品のよう。
 できるだけ目で記憶に焼きつけなければならない。
 訓練場での剣の鍛錬は、日毎に精度を増していくように見える。

「本当に日に日に美しくなっていくようですわ」

「理想の王子様のようでいて、それでいながら最近は女神さまのよう」

 横にいたイザベルとソニアも同意した。
 この頃、私たちはオルレア様に神々しさも感じている。
 許されるのなら膝を床につけて拝みたい。
 それをやったら、さすがに怪訝な目で見られるだろうから、本人の目の前ではやりはしないけど。

 オルレア様の近くに行くには、身なりも行動も態度も大切だ。
 清廉で可憐であること。
 私たちがオルレア様の評判を下げてはならない。
 オルレア様を慕う会として、それなりに気をつけている。
 同級生の二人の女子生徒、副会長イザベル・ダースと会計ソニア・ガロンにも口を酸っぱくして言っている。

 そして、オルレア様にみだりに触れないこと。

 オルレア様は神聖だ。女性であっても汚してはならない。
 下級生の指導には、いつも気を配っている。女子生徒であってもオルレア様に抱きつこうなどとしたらこの学校での未来はない。たとえ上位貴族の令嬢であっても。
 私が男爵家の娘といえどもここだけは譲れない。
 オルレア様に不用意に近づく者は許しがたい。
 忠告はやりすぎということはない。


 オルレア様に親し気に近づく、シン・オーツなんてあの剣で串刺しにしてしまえば良いのに。
 いや、オルレア様の剣の錆にするなんてもったいなさすぎる。
 あの男には過ぎたる名誉だ。
 オルレア様をオルと親し気に愛称で呼ぶようになっていた。
 いつのまにっ、というぐらいいつのまにか呼んでいた。私がそれをオルレア様を慕う会で確認すると、イザベルとソニアも愕然としていた。

 オーツ伯爵家の嫡男。
 オルレア様とは幼い頃からの親しい間柄なのだが。
 私がコップを手渡したぐらいでデレデレしやがって。気持ち悪い。
 オルレア様と同じ空間にいるだけでももったいないっ。

 ああっ、私に剣の腕前があれば良かったのに。
 どうして私は幼い頃に剣の訓練を始めなかったのか。本当に悔やまれる。
 私が剣の相手をすることができていれば、あんな男、オルレア様に近づけさせないのに。


 オルレア様は私の一学年上で、剣、乗馬等カラダを動かすことは得意であったし、バーレイ侯爵家の令嬢であって魔法も優秀だ。
 ただ、学業の方は中の上あたりで、さほどできるとは言えなかった。
 けれど、完璧ではないからこそ、我々としては親しみやすさが多少なりともあったとも言える。

 そんな中で、オルレア様は陰ながら努力していたに違いない。
 本気になれば、オルレア様にできないことはないのだ。
 最近の定期試験で、オルレア様がクオ王子を抜いて学年トップになった。
 女性が一番を取るのはこの学校では珍しいことらしい。
 拍手喝采で、私も涙を流して喜んだ。オルレア様を慕う会一同でささやかなお祝い会までした。

 勉学に励むオルレア様は図書館にも出入りするようになった。
 私たちも情報網を広げて、オルレア様に必要な書籍を素早く手に入れるように立ち回るようになった。
 より良い環境で、知識欲を満たしてほしかった。


 だが。

 興味を持ってしまったクオ王子が、この頃オルレア様につきまとうようになってしまった。
 そんな浅い興味でオルレア様の周辺をうろつかないでほしい。
 オルレア様が行きそうな場所で偶然を装わないでほしい。

 オルレア様は侯爵家令嬢だし、クオ王子と同じ年齢。
 実は婚約者候補なのではないかと言われているが、オルレア様が男装をしていることからそれはないのでは、とも裏で囁かれていた。
 もし、婚約者という話が本当なのだとしたら。本当になってしまったのなら。

 全力で阻止したい。
 全力で阻止しなければならない。
 オルレア様は第三王子にはもったいない。

 他にもオルレア様の周辺には男たちの影がある。
 バーレイ侯爵家という後ろ盾が欲しいだけなら、よそに行け。
 オルレア様自身の魅力を理解しない者たちは、お呼びでない。

 そんな男たちから我らオルレア様を慕う会はオルレア様を全力でお守りしなければならない。
 オルレア様がアホな男どもに、微かにさえ汚されないように。

 あの方のキラキラな笑顔こそが我らの生きる道なのだから。
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