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7.つながる想い
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「ねぇ、やっぱり電車で――」
「――送迎だけだ」
「けど――」
「――くどい」
苛立ちを隠さない皇丞だが、安全運転。
昨夜、私は皇丞に思いを告げて、そのまま身体も繋げるはずだった。
それを阻んだ電話の相手は、私の母親。
集中できないのは嫌だと電話に出たが最後、すっかり気持ちが萎えてしまった。
『梓? 直くんから荷物が届いたんだけど』
思わず皇丞を振り返る。
ベッドに座って私を見ていた皇丞が、一瞬でただ事ではないとわかるほど、動揺してしまった。
直から私の両親に届いた荷物は、ネットで購入したお菓子の詰め合わせ。
メッセージはついていなかった。
私はお母さんに「美味しそうなお菓子が安くなってた……って言ってたかな?」なんてよくわからないことしか言えなかった。
要領を得ない会話を二言三言交わした結果、『ちょっと帰ってきなさい』と、子供なら誰しもあるであろう逆らえない母親の断固とした声色で言われ、定時早々に退社し、こうして実家に向かっている次第だ。
私は一人で、電車で行くと言った。
が、皇丞はそれを許さなかった。
「梓」
「なに?」
「近くで時間潰せる場所、あるか?」
「ファミレスなら車も停められるけど」
「まず、そこに案内して」
皇丞は、一緒に実家に行って親に挨拶すると言った。が、私は断った。
婚約解消と新しい恋人の挨拶なんて、親が卒倒してしまう。
婚約解消した経緯を知れば、親が私を心配し、気遣い、会社を辞めろとか、実家に帰って来いと言うんじゃないか。
皇丞はそれを心配し、社内でも立場のある自分がそばにいると知れば、安心してくれるんじゃないかと思うらしい。
一理ある。
が、私は断った。
皇丞は渋々引き下がり、送迎だけは引き下がらなかった。
自宅から車で十分ほどの場所にある、幹線道路沿いのファミレスに皇丞を案内し、それから実家に行く。
五軒ほど手前で降ろしてもらった。
皇丞は、何も言わなかった。
私も、何も言わなかった。
実家に帰るのは夏休み以来。
私と直はそれぞれ実家に帰った。
が、もしかしたら、あの時も実家に帰らずにきらりと一緒だったのかもしれない。
直のことを考えると、もう何もかもが疑わしい。
「婚約を解消したの」
「えっ!?」
ダイニングの正面に座る両親が、揃って声を上げた。
「別れたってこと!?」
「うん」
「理由は?」
両親のことを思えば、『性格の不一致』とでも言うべきなのだろう。
だが、両親はきっと言葉通り受け取らない。
両家の顔合わせの時も、料理もできない私でいいのかと、頻《しき》りに直に聞いていた。
だから、私が直に愛想を尽かされたと思うはず。
それは、すごく嫌だった。
私はお母さんが淹れてくれたコーヒーを一口飲んでから、口を開いた。
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「そうね」
「連れてこい」
「嫌よ。もう関わりたくない」
「妊娠何か月?」と聞いたのは、お母さん。
「さあ? でも、多分三、四か月くらいじゃないかな」
私が直のスマホにきらりからメッセージが届いていると気づいたのが三か月半くらい前だからと、なんとなくで答える。
「顔合わせしたの、六月よ?」
「そうね」
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