王妃は番の王の愛執から逃げられません

清里優月

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18話 夜会にて4

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「あ、あん……」
 甘やかな喘ぎ声と共に青の大きな瞳が潤んで涙が落ちる。リチャードは、舌で胸の先端を優しく吸う。いつもはもっと強引なのにどうしたのだろうか。ヒカルの桜色の膨らみがぷっくりと勃ち上がる。じゅっと音がして、舌で勃った胸の先を押すようにリチャードは吸い上げた。指は胸の先を揺すり摘まんで、くりくりと指の先で転がす。こんな風に胸を愛撫されたことはない。胸が尖ってくるのが自分でもわかり、ヒカルは首を左右に振る。

「あ……。いや……。もうだめえ……」
 リチャードの首筋に縋りついて、ヒカルはただ甘い声を上げる。ぷっくりと勃ち上がった胸の飾りを押し込むように吸い、舌で転がす。ヒカルは堪えていた感情が身体に与えられる愉悦と共に瓦解する。

「いや、胸触っちゃいや!」
 ヒカルが幼い子どものように悲鳴を上げる。くすりとリチャードが笑って、果実を甘噛みするかのようにヒカルの胸の膨らみに歯を立てて、もう片方の胸の先を指で強弱をつけて転がす。ヒカルの中の何かが弾けて、胸の先から甘い疼きが広がる。

「やああ……!」
 ヒカルの甘い悲鳴が部屋に響き渡ると、リチャードはヒカルを抱えて寝台へと降ろした。ひっくひっくとヒカルはリチャードから与えられた過ぎた快楽に耐え切れず泣いている。昔、こんな風に泣かれた記憶を思い出す。あれは確かヒカルがライアンを妊娠した夜だった。リチャードは、ヒカルの涙を唇でそっと拭う。

「ウィ、リチャードさん?」
 びっくりした表情でヒカルはリチャードを昔のように呼ぶ。
「ヒカル……」
 リチャードがヒカルの頬を優しく触ると、そのままヒカルの唇に啄むような口づけを落とす。手慣れた手つきでヒカルのドレスを脱がせていく。角度を変えて、啄むような優しい口づけを繰り返す。ヒカルは、頭がふわふわしてきた。唇を離すとヒカルの髪についていた生花を外して、アップにしていた髪がばさりと落ちる。リチャードは、ヒカルの長い太陽のような金の髪を一房掴むと口づける。

 ヒカルの澄んだ青の双眸とリチャードの濃い純粋な紫の王眼の視線が合う。信じられない物を見るようなヒカルにリチャードは、口づける。唇を重ねて、舌を搦める。ヒカルのドロワースを一気に引き抜く。舌をくちゅくちゅと搦めながらリチャードの長い指がヒカルの蜜に溢れた花弁を行き来させている。その中の花芽を探し当てるとくりくりと転がして、一気に押した。凄まじい快楽が襲い、ヒカルは、リチャードの身体の下で身体を跳ねさせた。尚も舌を吸われて、上と下で攻め立てられて、身体が熱い。

 リチャードの唇が離れて、ヒカルはその青の双眸を潤ませて甘く喘ぎながらシーツを握りしめた。リチャードは、ヒカルの花弁に触れる指を増やして、ヒカルの脚を固定して顔を埋めた。

「……?」
 頭がリチャードから与えられる快楽に蕩けてしまって、ヒカルは思考が追い付かない。リチャードの息が下腹部にかかると、ヒカルはびくりと反応する。何をされるかがわかり、身を捩る。ぴちゃりと音がして、リチャードが花弁に舌をやり、濡れた感触が花弁を舐め上げる。先程の音が耳にかかり、ぴちゃぴちゃとリチャードがヒカルの花弁を舐めて、吸い上げた。

「やああ……!!」
 ヒカルは身体を跳ねさせると、甘い悲鳴を上げる。リチャードの手が何かを探しているので、ヒカルは意識を戻すが、その手がヒカルの大きな胸を掴むと指で桜色の柔らかい膨らみを押した。同時に花弁の中に咲く花芽をリチャードは探し上げると舌で転がし始めた。

 花芽よりも胸の突起を親指と人差し指でくにくにと摘ままれて、転がされる感触が甘くて耐え切れない。尚もリチャードは、花芽を舌で揺らして、吸い付く。

「リチャードさん、それ同時にしちゃいやあ!!」
 ヒカルがいやいやと首を振り、リチャードの名前を甘く呼ぶ。それだけでリチャードの雄が反応する。蜜がとろりとヒカルの身体の奥から湧いては、天蓋付きのリチャードの寝台を汚していく。柔らかでたわわな胸の突起をぴんと弾いて、じゅっと花芽を甘噛みする。世界が白く染まり、凄まじく甘い快感がヒカルの足の先まで走る。

「いやあーー!!」
 ヒカルは愛らしく啼く。身体感じ過ぎて、辛くて涙が止まらない。リチャードは、ヒカルの脚の間から顔を上げると、獣を思わせる紫の王眼でヒカルを射抜く。ヒカルは潤んだ瞳でどきんと胸が鳴る。リチャードが服を脱ぎ始める。今まで閨で肌を合わせた時はリチャードは服を脱いでいなかった。それだけ気を許していなかったのだろう。ばさりと衣擦れの音がする。リチャードは、王の正装を脱いで、逞しい裸身をさらけだしている。リチャードは、手を寝台の脇に置くとヒカルの身体に圧し掛かかる。ぎしりと寝台の音がして、ヒカルがはっとリチャードに視線をやる。ふっとリチャードが笑みを浮かべる。

 ヒカルは、何故かリチャードの微笑みに顔を赤くさせて、視線を逸らす。今更だ、かつては恋人同士で何度も抱き合ったのに自分は何でこんなにリチャードの笑みひとつに動揺しているのだ。リチャードは、ヒカルの顎を掴んで正面から濃い純粋な紫の王眼でヒカルの青の双眸を見据える。

「ヒカル……。お前は俺のつがいで正妃だ。目を逸らすな、俺だけを見ていろ」
 ヒカルは戸惑い、再び視線を逸らそうとするとぐいっと強引に口づけて、舌を搦めた。自分の身体の下でヒカルの柔らかな身体がある。4年間探し続けて、一度は諦めた最愛のつがい。ヒカルの小さな赤い唇をじゅっと吸い上げて円やかな身体を抱き締める。口腔を蹂躙して、ヒカルの舌を追いかける。

 ヒカルの秘所にリチャード自身を一気に突き入れる。先程までの優しい前戯とは違う容赦のない行為にヒカルは怯える。ヒカルは、自分の最愛のつがいで自分の物だ。リチャードは、それをヒカルにも認識させなければいけない。リチャードは、ウィル王として振舞わなければ容赦なく高位貴族たちに吞まれてしまう。その恐怖がリチャードを変えた。高潔で優しいリチャードは、ウィル王として振舞う内にその虚像に飲まれた。

「やっ! リチャードさん!」
 ヒカルの悲鳴にリチャードは我に返る。ヒカルはリチャードの高圧的な態度に恐怖している。ぼろぼろと青の瞳から涙が零れる。リチャードは、ヒカルの瞳に映る自分に呆然とする。高圧的な王、それが自分なのかと。リチャードはヒカルの涙を吸うと優しく抱き締める。
「……ヒカル、すまない」
 ヒカルは、リチャードの優しい声に驚愕する。昔のリチャードだとヒカルは微笑む。
「リチャードさん……」
 ヒカルは、リチャードの首に両手を回して抱き着く。リチャードは、ヒカルの胸の先を口に含めると飴を舐めるかのように転がして吸う。ヒカルが身体を跳ねさせた。リチャードは、既に知り尽くしているかつての恋人の感じる一点を掠めて、何度もその一点を狙い、身体を揺する。

「あっあっ……」
 ヒカルの甘い嬌声が零れて、ヒカルが腰を浮かせる。リチャードは、ヒカルの弱いところを狙い、腰を小刻みに動かす。優しい緩やかな動きはヒカルを安堵させるが、もう片方でもっともっととヒカルは求める。身体が波に飲まれるみたいに甘い快楽の海に溶かされていく。

「リチャードさん……」
 ヒカルの甘えるようなリチャードを呼ぶ声にリチャードは優しく微笑み、抱き締める。昔の互いに愛し合った頃に戻った錯覚を二人は覚える。リチャードは激しく腰を打ち始めて、何回も律動する。

 ヒカルは、甘い嬌声と同時にヒカルはリチャードを締めた。優しくリチャードを包み込む。はあとリチャードは汗をヒカルの胸に零した。最奥を目掛けて穿ち、腰を押し進める。ヒカルは必死にリチャードにしがみつく。リチャードの腰の動きが早くなり、ヒカルは腰を揺らす。中へ中へと誘われるようだ。寝台の軋む音とヒカルの蜜とリチャードの先走りが溢れる。

「リチャードさん、リチャードさん!」
 ヒカルのリチャードを求める声がリチャードの耳に響く。
「ヒカル……」
 リチャードは、ヒカルの身体を安心させるかのようにぎゅっと抱き留めると、一気にヒカルの腰を貫いた。ヒカルは、リチャードの動きに悲鳴を上げるが、その動きに愉悦を感じて甘やな声を上げる。リチャードを締めると、ヒカルの中へどくどくと熱を吐き出した。

 ヒカルは、リチャードに口づけを落とされながら目を擦る。
「眠いのか?」
 優しいリチャードの声にヒカルは首を振る。
「寝たくないの……。これは夢だから……」
「夢?」
 こくんとヒカルが頷く。
「昔のリチャードさんがいるから……もう離れたくない……」
「大丈夫だ……。もう離れない」
 リチャードがそう言うと、ヒカルはふわりと笑って、夢の中へと落ちていく。

「ヒカル……」
 自分の腕の中で安心して眠り込んでいるかつての恋人の唇に己の唇を重ねるとリチャードは、久方ぶりに深い眠りへと誘われた。
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