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第2章

第32話 大統領制法律案成立まで

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 「さあ、いよいよ大統領制よ」

 わあ、利子ちゃん、めっちゃ張り切ってる。今日は2人で例のお店で会議兼雑談中。

 「大統領制なんて本当に成立するの?」

「何言ってるの? 大統領になるあなたがそんなこと言ってたら駄目でしょ!」

「いや、だから、私、無理だよ」

「あなたしかいないのよ。これはもう決まってることなんだから」

(いや、あなたが勝手に決めたんでしょ!)

「そんなことできるの?」

「やるのよ! 龍がいるでしょ」

 龍ってそんなに万能なんだろうか? 家での様子を見てるととてもそうは思えないんだけど。

「でも、大統領制にしてどうするの?」

「この国の風俗嬢たちの地位を上げるのよ」

「どうやって」

「まあ、それはお楽しみ。急がば周れ、急いては事を仕損じるよ」

というと利子ちゃんが体を斜めにしてウインクした。

「でも、なんで大統領制じゃなきゃ駄目なの?」

「もう、内閣制だと野党の我々が総理大臣になれないからよ」

「大統領には決定兼を持たせるからね。ふふ」

もう大統領制になる前提なんだけど、そんな短絡的でいいのかなあ。


 そんなこんなで法律案のほうは、利子ちゃんたちが作ってくれたんだけど、提出は私がすることになってしまった。

 「な、なんで? 利子ちゃんが提出すればいいじゃん」

「いや、珠ちゃんならあの大臣たちを味方に付けられるでしょ」

利子ちゃんの不敵な笑み炸裂。

「利用できるものはなんでも利用するわよお」



        -------- 悪魔利子ちゃん降臨 ------



 利子ちゃんの言うとおり、大臣たちが私に加勢してくれて、法律案は可決されてしまった。

 実は、大統領制になった後の役職をちらつかせたり、裏でスタッフたちのお色気作戦も炸裂してたんだけどね。それに、大臣たちだけじゃなくて、女性議員たちも結構強く応援してくれたんだ。

 政治に無知・無能な私の突然の大統領制を! の声をあざ笑う人達も多かったけど、意外と世論はやれやれ!ムードに傾いていった。

 みんななんかおかしいって思ってたけど、なんとなく流されてきたから、変えてくれるなら元風俗嬢でもなんでもいいっって雰囲気だったね。

 世論は一気に大統領制成立の流れになり、その流れに乗って法案は賛成多数で可決されてしまった。
 




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