大統領は風俗嬢（全37話）

第1章

第3話 ある日の出来事

　こうして、天職について、お店では無双状態、バンバン稼いで借金も順調に返してた時、あのバカ親父が事件を起こしたんだ。

　酔っぱらって隣にいた見ず知らずの客を殴ったんだって。ああ、やりそうなこった。

　呼び出されて警察に行くと、弟が鳴きながら被害者とお巡りさんに謝ってる。
　（くそ、バカ親父。なんでお前のせいで弟が泣いて謝んなきゃならないんだ。）

　当の本人は何も覚えていないと言うだけで、出されたお茶を平然と飲んでいる。

  ああ、世の中全部ひっくり返してやりたい。

　殴っただけじゃなくて、お店のものも壊したらしく、数日後請求書が届いた。それと、殴った相手の弁護士とやらが来て、治療費と慰謝料を請求された。
　はあ、また借金増えたよ。まあ、お金のことは稼ぎまくって返すからいいけどね。それよりあの親父〇んでくれないかなあ。

　私と弟が身元引受人になって、家に帰れることになった。刑事に一生刑務所に放り込んどいてくれと頼んだのに、何故か諭されて返された。いいのに。家にバカ親父を放り込んで、可哀そうな弟に豪華な食事をごちそうしようと外食に誘ったら、
「お父さんが心配だから、家にいる」
だって。天使過ぎる！

　私は弟のために高級松坂牛を買ってすき焼きを振舞った。弟のために最高級のを買ったよ。久しぶりの我が家での食事。ああ、でも一人余計なのがいる。
　弟のために買った松坂牛なのに、弟が親父の皿に大量に松坂牛を取り分けてる。おまけに卵割って溶いてやってるんだよ。もう、そんなやつネギとしらたきだけで上等だよ。

　なんか、腹立つから大きい皿出して弟の皿に松坂牛を山盛りによそったよ。なのに、こんなに食べられないよって、親父の皿に半分移した。えー、なんでえ？。

　バカ親父は平然として食べてる。きっとこいつには脳みそが小豆くらいしかないんだろう。だから反省とか後悔をする能力もないんだな。そうでも思わないと〇してしまいそうだ。
　腹立つから、親父が食べる分を少しでも減らそうと、しらたきをつまらせるところを想像しながら肉だけを馬鹿食いした。

　ちゃんと被害者には治療費払って、お店には弁償して、双方に請求額より大幅に上乗せして慰謝料を払って和解したよ。

　表立っては言わないけど、こっちの呈示した額を見て被害者も店もかなり態度が変わった。地獄の沙汰も金次第ってね。

　お金で解決できるなら儲けもんさ。