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しおりを挟む「え、えと........」
「!!! なんだい?」
とりあえず説明がほしくて、空気が読めていないかもしれないが声を発した。俺の声に反応して、くるっとこちらを振り返ったワンちゃんの声はやはり甘く、ふわふわの尻尾をブンブン振っている。
「か、可愛い............。」
「なッ!?!?貴様!神獣様に向かっ「(バシンッ)馬鹿!!!!お前!!!」(ハッ) も、申し訳ございません!!!!」
俺の思わず溢れた言葉に反応した見回りの人が、仲間に頭を思いっきり叩かれて止められていた。
容赦ないな.......。なんて思っていたら、なんだか周りの気温が下がってきた気がする。いや、気のせいじゃない。現に下がっている。
さ、寒............。
「...............余程、潰されたいらしいな..........?」
「お、お許しくださいませッッ!!!!!わ、私の命だけで!!!!お収め下さいませ!!!!!お願い致します!!!!!お願い致します!!!!!」
号泣しながら額を土に擦り付ける見回りの人。い、命.......?ってか本当に........
「寒.......(ボソッ)」
「ッ!あぁ!ごめんね!我としたことが!寒い思いをさせてしまったね。」
スルッと俺の身体に擦り寄ってきたワンちゃ.....神獣様(?)。
「い、いえ........。あ、あの.........。」
「ん?なんだい?」
「よ、よくわかってないんですけど、俺のために怒ってくれてるって解釈して、大丈夫、ですか、ね?」
「ん?ふふ。うーーん。君の為でもあるかもしれないけれど、ほぼ自分が気に食わないから、かな?」
「あ、じゃあ、ゆ、許し?て、あげるってことは......できないんですか、ね?」
「..........君は赦すの?あんなに無礼な態度をとった奴らを?」
チラッと見回りの人達に睨みをきかせる神獣様。「ヒィッ!」と怯えた声が聞こえる。
「え、えと.......でも、仕事、なんでしょう?実際図らずも、侵入者な訳だし........」
「................君は優しいね。いいよ。赦してあげようか。.............まぁ、我の番だと知った後でさえ『貴様』呼ばわりしたお前。お前の故郷に、雨は半年降らんと思え。」
「そ、そん、なッ!!!! ッッ...!!..........大変な、ご、配慮、ありがとう、ございます..........」
あ、雨......半年降らないって..........
「し、神獣様......?雨、降らないと、作物、育たないですよ........?」
「ん?そうだね。」
そ、そうだねって..........
「飢えちゃいますよ.......?」
現代に生きてきた俺。『雨が降らない=飢え』だなんて、普段ならば絶対に思い浮かばないことだと思う。けれども、この世界においての雨は、人々にとっての生命線なのだと何故だか俺は理解していた。
「...............はぁ.........。我の番が真っ直ぐで優しくて...........。..........お前、我の可愛い番に感謝しろよ。お前とお前の故郷はこの子に救われたんだからな。」
「あ.......あぁ.........!ありがとう、ございます.......!!ありがとうございます番様........!!!ありがとうございますありがとうございます......!!!!!」
号泣しながら土下座されているこの状況。そろそろ俺のキャパシティが限界なんですが宜しいでしょうか?
宜しいですよね。夢なら早く覚めて.....!!!!!!!
そう強く思いながら、俺は気を失った。
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