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しおりを挟むこんなに脳内会議をしているぼくだが、周りからはまだ寝ているように見えている。控えているメイドに『頭おかしい』って思われたくないからな。大人しくしておこう。うん。
あ、ちなみに今までの記憶もあるぞ?悠陽はふつーーーの子供だ。
..........ものすごいワガママなこと以外は。
自分の記憶をプレイバックしてみて何度か2度見(気分だけだけど)した。あかん。ぼくあかん。あかん過ぎて家族(父、母、8歳上の兄)からはだいぶ遠巻きにされている。あれ、僕溺愛されなきゃいけないんですけど.....?ってか、5歳の我が子を放るなよ!!?絶対寂しさからだろ!グレたのは!悠陽の記憶『寂しい』って気持ちしかないぞ!!?可哀想に!!
どうにかしてぼくが心を入れ替えた感じを演出しなければ.......!!!!!そもそも俊太、悠陽みたいにワガママできない!!!いつかボロがでる!!!早めに軌道修正!
言い訳.....言い訳.......。
確かこの世界は神への信仰が深い。あ、ちなみに魔法つかえるぞ。日本人みたいな名前しときながらガッツリファンタジーなのウケるよな。魔法で建築したりとか、洗濯したりとか、まぁそんな感じ。攻撃魔法はあまり浸透してない。生活に根ざした魔法な感じがする。
......話がそれたな。『夢の中で神様が出てきてすごく怒られたの!!!!今までごめんなさい!!!』とか、どうだろう?実際にそんなことはなくても、子供の深層心理で『悪いことをしている罪悪感』がそういう夢を見せた。という解釈も出来る。(つまり神が御降臨!?とか言われても言い逃れができる。)しかも夢だ。夢はどんどん忘れていくものだからな。起きた瞬間には覚えていても、その後はよく分からなくなる。ということはよくあるだろう。なかなかいい案だ。
悠陽の記憶が、『神様を自分の欲のために使ってはいけない』と叫んでいるが、『現世は魂の勉強のための場』だと俊太の記憶が言っている。
(志半ばで死ぬのはちょっと頂けないし勉強足りないので、すみません神様ーーーッッ!!!明日教会行きます!!改めてごめんなさいしにいきます!!!輪姦ブラックアウトは嫌です!!!ぼくを助けてください!!というわけでお名前お借りします!!!)
さすがに罪悪感が強すぎたので、シーツの中で手を組み、目は瞑ったまま叫ぶように祈った。
ピチャン.......ッ
..........何か心地のいい水音みたいな音がした気がしたが、気のせいだろうか。
ま、まぁ。うん。とりあえずお祈りしたし、明日(落ち着いてるはずだから)再度謝りにいくとして.......。
よし。泣くか。
「ふ、ぅ、わあ゛あああああん!!!!!!!!!!ふ、えぇえぇぇぇぇ........ッ!!」
「!? ぼ、坊っちゃま!?どうなされたのですか!!?だ、旦那様!!旦那様と奥様を呼んできてください!!!坊っちゃま!?」
「ふっ、うえ゛ぇええぇえええッッ」
..........泣き出してみたら自然と涙が零れてきた。多分、これ、悠陽の涙だ。『寂しい』『構って』『僕、いい子じゃないから1人でいられないもん』
........あぁ、そうか。父さんや母さんが兄貴だけ連れて外に出てたら寂しいよな。僕も『俊太』がどうなったのかわからなくて不安だ。家族だってどうなったのかわからない。つらい。さみしい。ひとりぼっち。
悠陽と俊太。年齢も、そもそもの人格だって違うのに。
泣いているうちに、お互いの悲しくて、さみしい感情が段々、段々、混ざって、混ざって..............。
『つらい。さみしい。ごめんなさい。でもぼくのせいじゃない。なんでわかってくれないの?さみしい。ぼくもつれてって。』
『..........ねぇ、ぼくのこと、きらい?』
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