【本編完結】朝起きたら悪役令息になっていた俺についての話。

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悠陽の父  才賀 side



「旦那様！奥様！ぼ、坊っちゃまが！悠陽坊っちゃまが！！」


朝早くから焦ったメイドが私達を呼びに来た。ある日からだんだんワガママになって手がつけられなくなった息子。その息子が、一体なんだというのだ.....？


ワガママで手が付けられないとはいえ、息子は息子だ。メイドに連れられ一応見に来た息子の部屋で、私達が目にしたものは.........。



「う゛ッ、つらい。さ、さ゛み゛し゛い゛ッご、ごえんなしゃい、でも、でも........ッッ  ｸﾞｽｯ....  なんれわかってくれないろ.....？ﾋｯｸ....  ぼく、さみしいのに......。なんでぼくもつれてってくれないの？.........ぼくのこと、きらいなの？お父様もお母様もお兄様も、ぼくのこと、きらいなの？き、らい...........ふっ、う゛～～～～～ッッ」



大泣きしながら心情を吐露する、悠陽の姿だった。



.........さみし、かったのか？


信じられない光景だ。
あぁ.....でも思い返せば、悠陽がワガママになり始めたのは兄の遙真はるまの初めての社交の時期だ.......。社交なんて、わからないもんな。自分1人置いてかれて.......さみしかったのか。そんな、そんな息子を、私達は遠ざけて、あまつさえ疎んで、いたのか.......？




「あ、あぁ......悠陽、ごめ、ごめんなさい......私、なんてこと......ごめんなさい。ごめんなさい。悠陽。大好きよ。ごめんなさい。貴方を分かっていなかったのは私達の方だった。ごめんなさい。ごめんなさい...........！」




妻の恵梨香えりかが駆け寄り抱きしめる。あぁ、その通りだ。悠陽がわからなくなったんじゃない。私達がわかろうとしなかったんだ。まだ5歳の子供、それも愛する息子に、なんてことを、してしまったんだ........。



見限られてもおかしくないことを私達はしていた。それなのに、『さみしい』と、君は泣くのか。



「すまなかった.....！悠陽、大丈夫。私達は悠陽が大好きだよ。ごめん。ごめん.......ッッ！」


俺は恵梨香ごと悠陽を抱きしめる。
もう二度と、間違えないように。