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第2話 これ夢じゃないの!?
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昔遊んだ乙女ゲームの夢を見ている…と思っていた私だったけれど、それが間違いかも知れないと気が付き始めたのは、あれから数日が過ぎても一向に現実に戻ることが出来なかったからである。
夢の世界にしてはやけに思考や感覚がはっきりしていて、リアル過ぎると言うのもあったのだけれど…。
幸い、ゲーム内の"私"としての最低限の知識はあるのか、自分の家が何処だとか、どう帰れば良いのかだとか、バイトは何をしていて、就職がどこに決まっているだとか、そういうことは段々と思い出せて?きたのだけど…。
(これってもしかして夢じゃない…?????)
折角だから夢の中を楽しもうなんて思っていた私は段々と恐くなってきてしまった。
(まさか…ゲームの世界に入ってしまったってことなの?それとも、異世界転生みたいなやつ…????)
どれだけ焦って、必死に考えても答えがわかる訳もない。
ただ一つ確かなのは、1日経って2日経って、3日が経っても私が現実で目を覚ますことはなく、昔遊んだ乙女ゲームの主人公である"朝倉 萌黄"として目覚めてしまうということだった…。
(……私、もしかしてこのまま、"朝倉萌黄"として生きて行くしかないってこと????)
でもでも、あのゲームは高校3年間を舞台にした恋愛ゲームで、卒業式が最終日だ。
そこからはエンディングパートとなり、卒業後の二人の進路ごとに変わるその姿が少し語られて、仲睦まじい姿のスチル(一枚絵)が表示されて終わり…となる。
だからこれがゲームなら卒業式を迎えたら終わり…なるはずだけど、これが夢じゃなくて現実なら、ここから先はゲームのエンディング後の世界…と言うことになるんだろうか????
(…でもそれって………何が起こるか何もわからないってこと…だよね)
主人公については大学受験を成功させていれば大学生、バイト先にそのまま就職するのであれば就職して社会人になる…と言うこと、後はルートに選んだ攻略キャラとそこからも仲良く過ごしたよ…くらいのことしかわからない。
だってゲームはそこで終わっていて、その先なんて二次創作でしか見ることは出来ないものなんだから!
(————————………それに………)
不安なことはそれだけじゃなかった。
ゲームの世界だかゲームと似たような異世界だかはわからないけれど、今までと違った世界に来てしまった…と言うのも十分に非常事態だが、私が気がかりなことはもう一つあった。
(これ、水嶋くんルートに入っちゃった世界ってことなんだよね……)
幸か不幸かまだ実際には会ってはいないのだけれど、ゲーム通りであるのなら、教室で私と水嶋君が付き合っているとクラスメイトが話している…と言ういわゆる"二人がクラス公認の関係"になっている会話イベントが発生した時点で、もう水嶋くんルートが確定していると言うことになる。
そしてこれはもう卒業式で彼と結ばれて、水嶋くんエンディングを迎えるのを待つばかり…と言う状態なのである。
(…どうしよう…。このまま、水嶋くんと付き合っちゃって良いのかな…)
水嶋くんのことを好きか嫌いかで言えば、顔は好みだし、全然嫌いではない。
…けれど、推しキャラと言うほどではないし、ゲームだからこそ攻略と言う形で恋愛を楽しんだけれど、実際の恋愛と考えたら、自分と"合う"相手だとは到底思えなかった。
だから、夢ならともかくこれが"現実"であるなら、そんな相手とただ状況に流されてお付き合いなんてしてしまうのは、さすがに悪いこと…のような気がしてしまうのだ…。
(そもそも、私、中身は女子高生じゃないし…)
今現在は女子高生の姿をしているとはいえ、中身はもうとっくに成人を迎え就職をした社会人のおば…もといお姉さんであることを考えると、相手を騙しているような気持ちにすらなってくる…。
それに、この世界においての"私"は、水嶋雪人攻略ルートで選ぶ"選択肢"で考えられるような性格なんだろうし、それはこの"私"の性格ではない。
(水嶋ルートの主人公の性格は…、素直で純真でちょっと危なっかしいみたいな感じだったかな…。天然ちゃんみたいな…)
残念ながら、私はそんな可愛らしいタイプではないし、このまま付き合ったとしてもいずれは嫌われてしまう気もする。
後になってフラれるよりも早いうちにお別れしておいたほうがお互いに傷も浅くて良いんじゃないだろうか…。やり直すなら何だって早い方が良いはずだ…。
そんな風に私の中では段々と、彼とは付き合わない方向で行くべきだ…と言う考えに決意が固まって行ったのだった。
夢の世界にしてはやけに思考や感覚がはっきりしていて、リアル過ぎると言うのもあったのだけれど…。
幸い、ゲーム内の"私"としての最低限の知識はあるのか、自分の家が何処だとか、どう帰れば良いのかだとか、バイトは何をしていて、就職がどこに決まっているだとか、そういうことは段々と思い出せて?きたのだけど…。
(これってもしかして夢じゃない…?????)
折角だから夢の中を楽しもうなんて思っていた私は段々と恐くなってきてしまった。
(まさか…ゲームの世界に入ってしまったってことなの?それとも、異世界転生みたいなやつ…????)
どれだけ焦って、必死に考えても答えがわかる訳もない。
ただ一つ確かなのは、1日経って2日経って、3日が経っても私が現実で目を覚ますことはなく、昔遊んだ乙女ゲームの主人公である"朝倉 萌黄"として目覚めてしまうということだった…。
(……私、もしかしてこのまま、"朝倉萌黄"として生きて行くしかないってこと????)
でもでも、あのゲームは高校3年間を舞台にした恋愛ゲームで、卒業式が最終日だ。
そこからはエンディングパートとなり、卒業後の二人の進路ごとに変わるその姿が少し語られて、仲睦まじい姿のスチル(一枚絵)が表示されて終わり…となる。
だからこれがゲームなら卒業式を迎えたら終わり…なるはずだけど、これが夢じゃなくて現実なら、ここから先はゲームのエンディング後の世界…と言うことになるんだろうか????
(…でもそれって………何が起こるか何もわからないってこと…だよね)
主人公については大学受験を成功させていれば大学生、バイト先にそのまま就職するのであれば就職して社会人になる…と言うこと、後はルートに選んだ攻略キャラとそこからも仲良く過ごしたよ…くらいのことしかわからない。
だってゲームはそこで終わっていて、その先なんて二次創作でしか見ることは出来ないものなんだから!
(————————………それに………)
不安なことはそれだけじゃなかった。
ゲームの世界だかゲームと似たような異世界だかはわからないけれど、今までと違った世界に来てしまった…と言うのも十分に非常事態だが、私が気がかりなことはもう一つあった。
(これ、水嶋くんルートに入っちゃった世界ってことなんだよね……)
幸か不幸かまだ実際には会ってはいないのだけれど、ゲーム通りであるのなら、教室で私と水嶋君が付き合っているとクラスメイトが話している…と言ういわゆる"二人がクラス公認の関係"になっている会話イベントが発生した時点で、もう水嶋くんルートが確定していると言うことになる。
そしてこれはもう卒業式で彼と結ばれて、水嶋くんエンディングを迎えるのを待つばかり…と言う状態なのである。
(…どうしよう…。このまま、水嶋くんと付き合っちゃって良いのかな…)
水嶋くんのことを好きか嫌いかで言えば、顔は好みだし、全然嫌いではない。
…けれど、推しキャラと言うほどではないし、ゲームだからこそ攻略と言う形で恋愛を楽しんだけれど、実際の恋愛と考えたら、自分と"合う"相手だとは到底思えなかった。
だから、夢ならともかくこれが"現実"であるなら、そんな相手とただ状況に流されてお付き合いなんてしてしまうのは、さすがに悪いこと…のような気がしてしまうのだ…。
(そもそも、私、中身は女子高生じゃないし…)
今現在は女子高生の姿をしているとはいえ、中身はもうとっくに成人を迎え就職をした社会人のおば…もといお姉さんであることを考えると、相手を騙しているような気持ちにすらなってくる…。
それに、この世界においての"私"は、水嶋雪人攻略ルートで選ぶ"選択肢"で考えられるような性格なんだろうし、それはこの"私"の性格ではない。
(水嶋ルートの主人公の性格は…、素直で純真でちょっと危なっかしいみたいな感じだったかな…。天然ちゃんみたいな…)
残念ながら、私はそんな可愛らしいタイプではないし、このまま付き合ったとしてもいずれは嫌われてしまう気もする。
後になってフラれるよりも早いうちにお別れしておいたほうがお互いに傷も浅くて良いんじゃないだろうか…。やり直すなら何だって早い方が良いはずだ…。
そんな風に私の中では段々と、彼とは付き合わない方向で行くべきだ…と言う考えに決意が固まって行ったのだった。
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