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攻め時

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「すでに騎士団の多くは、僕たちの味方に付いてくれている」

 男爵家にて、作戦会議が行われていた。
 カムラとセインの話し合いが進む中で、やはりネックになる存在が一つあることに気が付く。

「問題は……。公爵家だね」

 セインがそう言うと、カムラは頷いた。

 公爵家は王族であり、基本的には向こうの味方だ。
 
「これから説得を進めていけば、なんとかなると思うわ。公爵家は王族だけど、自分たちが王の座に就くことを狙っているはず」
「だが、わからないよ。王族と結束して僕たちを倒してから、落ち着いた後に王の座を狙うかもしれない」
「確かにその線はあるわね……」
「逆に言えば、公爵家さえ味方につけてしまえば、僕たちの勝ちということさ」

 ドアがノックされた。

 執事が入って来て……。
 今まさに、二人が欲している言葉を告げる。

「公爵家の執事が、お話があるとのことで……」

 ◇

「では、公爵家は我々の味方をしてくださるということでよろしいですね?」
「はい。ただし、空白になった王の座には、我が当主様を推されるようにと。そういう条件でございます」
「もちろんそれ以外考えられません」
「それともう一つ。……お二人が結婚すること」
「「は?」」

 いきなりの条件に、二人は間の抜けた声を出してしまった。

「け、結婚?」

 カムラの顔が赤くなる。
 セインは咳ばらいをした後、尋ねた。

「どうしてそのような条件を……?」
「平和の象徴である二人だから。とのことでした」

 二人は顔を見合わせ、すぐに俯いた。

「ただ、当主様はこのようなことも申されておりました。どうせ二人はそのままにしておいてもいずれ結婚するだろうと」
「……」
「……は、ははっ」
「我が令息のエイザー様が、最高の式場を用意するおつもりのそうです」
「……ありがとうございます」

 セインは表情を引き締め、尋ね直した。

「もう一度伺います。……それらの条件を飲めば、我々の味方をしてくださると。そういうことでよろしいのですね?」
「間違いありません。公爵家は嘘はつきませんので」
「では……。了解しました」
「して、攻め時は何時と心得ておいででしょうか」
「あと二時間後がよろしいかと」
「実は、我々の雇ったスパイの情報によれば、王宮に騎士団たちが集まり、これより酒を飲むそうです」
「……本当ですか? それは」

 呆れたように、セインはため息をついた。

「全く。戦争が無い時でよかった」
「セイン。そうなると……。もう少し早く攻めた方が良いのでは?」
「そうだね。ちょうど酒が回り始める頃合いが良いだろう」

 こうして、カムラたちが王宮に攻め入る時間が決まった
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