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 「あのですねっ!!就業時間以外でも襲うのはどうかと思いますよっ?」

 生田さんに向けて発言する。

 「プッ、天音、お前面白いな。とりあえず、浴衣は着せてやればいいのか?」

 えっ!?

 「京極さん、着付け出来るんですか?」

 「勿論な、女モノの着付けは出来るぞ?脱いだら着れないって言う断り文句は俺には通用しないな」

 言いながら、天音の浴衣を整えて、帯まで綺麗に結んでくれる。最後にポンと背中を叩かれる。

 「終わりだ」

 「あ、ありがとうございます」

 「来週持って来てもらえればいいですよ。クリーニングもこちらで他のモノと一緒にだしますので、シワシワにならない程度に畳んでおいてください」

 生田さんの言葉に、いいのかなぁと思いつつ、甘える事にした。

 「わかりました、気をつけます」

 そうこうしているうちに夕方になっていて、盛り付けの手伝いをして帰る時間になった。

 「天音、送ってやる」

 「えっ、いえ、大丈夫です」

 「浴衣に合わせる下駄が無いし、丁度出かける予定もある。乗ってけ」

 外の門まで来ると、特徴的な外車が止まっていた。その車に乗せられるが、何を話せばいいんだろう?

 「で、天音はどうしてウチで働く事になったんだ?平日は別の仕事、してるんだろ?」

 「あ、え~と、今月末で派遣切りになるんです。それでですね~・・・」

 安倍さんからの紹介の流れを話す。

 「じゃあ来月からは平日もウチで働けるんだな?」

 「はあ、面談とか新しい仕事が決まらなければですけど」

 「そうか、じゃあ送る前に、ちょっと付き合え。相談がある」

 「はい・・・」

 車に乗ってる以上、イヤとは言えないよね?」

 しばらく走り、比較的駅に近いマンションの地下に入って行く。そして、エレベーターで最上階へ。

 「あの、ココは?」

 見晴らしのいい部屋だ。今の時間だと、夜景が綺麗になり始めるタイミングだ。

 「ああ、俺の部屋だ。疲れた時にココに来る。週に1日位だ。で、お前に相談がある。この部屋に住まないか?」

 「は!?いやいや、家賃払えませんって」

 「家賃は不要だ。俺は疲れた時にココに来るって言っただろ?茶を淹れたり、部屋の掃除をしてくれればいい。そうだな、あの部屋は俺が使ってるが、他は空だ。好きに使え」

 指を指した先はリビングの横の部屋だ。それ以外は使ってもいいと言う。

 「えっ、でもっ!」

 「昼間の仕事が無くなったら引っ越して来いよ。どうせ部屋は余ってるんだ、駅近だしな?どうだ?家賃浮くぞ?」

 「うっ、確かに・・・」

 毎月の家賃は痛いが。

 「ま、考えてみろよ。無理強いはしない」

 少し部屋の中を見せてもらって、家まで送ってもらった。
 


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