転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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13章

大盛り特盛り山盛り……盛モリ

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 お兄さんが頼んでくれた料理が来るまでの間に、改めて簡単に自己紹介。
 リーダーだと思っていたお兄さんはやっぱりリーダーで、先ほどの兄弟と、笑顔を絶やさないほんわかした青年の四人パーティらしい。

 リーダーはフリクエさん。軽装ではあるものの、唯一鎧を身に付けている。
 兄弟はお兄さんがプファーさんで、弟がエルコさん。
 ほんわか青年がフーエさん。

 全員人族だと思ってたんだけど、ほんわか青年が魔族なんだそう。彼は喋れないのか、喋る気がないのか一言も声を発さない。代わりにフリクエさんが紹介してくれた。

「俺達は【赤土の盾】。Cランクパーティだ」
「Cランクなら私達と一緒だね」
「は!?」

 普通に返しただけなのに驚かれて、私は首を傾げる。

「嘘だろ?」
「何が?」
「その年齢でCはねぇだろ」
「こっちの兄ちゃんが強いとかじゃない?」
「グレンは強いけど、パーティ登録はしてないよ?」
「はぁ!? ま、まぁ、確かにすげぇ弓が上手かったが……」

 にわかには信じがたいと言わんばかりに凝視され、見せた方が早いかなとギルドカードを見せる。
 ギルドカードを確認したフリクエさんは「疑って悪かった」と謝ってくれた。

「ん? そういや……前に街に入るとき、従魔って言ってたか?」
「うん。グレンは私と契約してるよ。普段は人化じんかしてもらってるけど」
「そ、そうか……人化じんかできる従魔が一人に肩の二匹……うん。嬢ちゃんがすげぇのはわかった」

 なんかお兄さんの顔が若干引き攣ってる気がするんだけど気のせいかな?
 私が再び首を捻ったタイミングで、厨房から「野盛やもり炒めできたぞー!」と声がかかった。
 このお店はカウンターに取りに行くシステムらしい。
 フードコートみたいだと思いながら、取りに行ってくれたお兄さんから料理を受け取る。

「お、多いね……」

 直径三十センチはありそうな丼に、野菜と肉の炒め物が特盛り。
 これはどう頑張っても食べきれない。
 助けてくれとグレンを見ると〈われも食べてやる〉と頭を撫でられた。
 みんなの料理も基本盛モリで、グレンはを頼んだからか、一人だけこれでもかとステーキが山のように積み重なっている。
 フリクエさんいわく、このお店ではこれが普通。値段も量の割にお手頃価格らしい。
 そりゃ冒険者御用達になるわ……

「なぁなぁ。セナちゃん達もCランクってことはアレに参加するの?」
「アレって?」

 食べながら弟君に聞かれ、私が聞き返すとフリクエさん達は顔を見合わせた。

「子供だから免除なんじゃねぇか?」
「あー、そっか」
〈アレとは何だ。吐け〉
「ヒッ!」
「グーレーンー」

 弟君に威圧を飛ばすのを止めさせる。
 弟君は「そうだ……怖い人だったの忘れてた……」と青い顔で呟いた。

「そのアレってなーに?」
「ギルドからの強制依頼だよ。今街に高ランク冒険者がいないらしく、ついさっきCランク以上は参加しろってギルドで言われた」
「強制依頼ということは魔物の討伐ですか? それとも魔物大量発生スタンピードですか?」
「討伐だ。魔物大量発生スタンピードだったら、街は大混乱だ。まぁ、今回の件もすぐに話題になると思うがな」

 フリクエさんが説明してくれたけど、私達はそんな話は聞いてない。

「魔物の種類ってわかってるの?」
「イグアナドンらしい」
〈!〉

 興味なさそうにステーキを頬張っていたグレンが、魔物の名前を聞いた途端にバッ! と顔を上げた。

〈イグアナドンだと!?〉
「あぁ。そう聞いたが……」
〈セナ! われらも参加するぞ!〉
「まさか……食べるの?」
〈うむ! 美味しいぞ! 久しぶりだ!〉
「マジか……」

 魔物とはいえイグアナでしょ? 私食べたくない……
 テンションの上がったグレンに嫌とは言えず……作った料理は全部グレンに食べさせることに決めた。

「イグアナドンは魔物とも、魔獣とも呼ばれています。普段は山に生息しており、街の方では滅多に出没しないため、僕も本でしか見たことありません」
「ギルドに聞かなきゃ参加できるかもわからないから、食べ終わったら行ってみよ」

 グレンはわかるけど、ジルまで嬉しそうなのは何故? 戦闘狂に目覚めた……なんてことはないよね? 大丈夫だよね?
 私の心配をよそにグレンはステーキを食べるスピードを上げ、食べ終わったら私のお皿に手を伸ばした。
 結局、ジルも手伝ってはくれたけど、大量のステーキを食べたハズのグレンがほとんど食べてくれた。
 相変わらずすごい食欲でおられる。
 味は可もなく不可もなく、普通に食べられる感じだった。


 食後のお茶も飲まず、食堂を後にした私達はフリクエさん達と一緒に冒険者ギルドを訪れた。
 私達がギルドへ入った瞬間、聞き覚えのある声で「セナ様!?」と呼ばれた。

「セナ様! よかったです! こちらへお願いします!」
「えぇ!?」

 以前も受付けにいたウサ耳お姉さんにグイグイと腕を引かれ、連れて行かれた先は受付け横にある小部屋だった。

「ギルドに来ていただきありがとうございます! 探していたんです!」
「もしかして強制依頼の件?」
「ご存知だったんですね。まさにその件です。以前ダンジョンで、セナ様にお世話になった村を覚えておられますか?」
「ゲーノさんがいる、お姉さんの故郷の村だよね?」
「そうです! それで……」

 お姉さんの説明によると、村からさほど遠くないところでイグアナドンが目撃された。報告では五匹だけど、もっといるかもしれない。その知らせがきたのが私達が街に入った後だったため、門番さんから説明がされなかったそう。

「手当り次第宿を調べたのですが、ちょうどセナ様がお出かけになったと言われまして……」
「ご飯食べに行ってたの。ごめんね」
「いえいえ! それでですね……強制依頼となりますので、参加していただきたいのです。急ですが、明日の早朝に出発となります。本日中に準備を終わらせていただきますようお願い致します」
「参加は別にいいんだけど、討伐したイグアナって私達もらえるの?」
「え……えっとですね……通常ですと、全てギルドが回収となります……」
〈なんだと……〉

 ウサ耳お姉さんの発言を聞いて、グレンのテンションが一気に落ちた。
 そんなに食べたかったのね……

「そっか……じゃあ、回収した後ならお肉買えたりする?」
「それでしたら可能だと思います」

 グレンはイマイチ腑に落ちないみたいだけど、お肉が手に入るならと納得してくれた。
 詳しい説明は明日されるとのことで、集合時間だけ聞いて小部屋から出る。
 放置されていたフリクエさん達に強制依頼を受けることを話し、今日は解散。
 私達は特に買うものもないので宿に戻ることになった。


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