婚約破棄された銀の猫は、チートスキルと激甘伴侶をゲットしました

カシナシ

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本編

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 僕と、僕の持つ棒を見て、グロリアスは戸惑っていた。


「……?…………??」
「あっ、デザートだけど、ほら、ワインのお供に良いかなと思って!ね?」

「確かに、そうだな……おいで。君も一緒に食べよう」

 僕命名、ボッキー。元祖より固いからね。ボッキーを数本籠に持つと寝室に連れ込まれた。すかさずブロディがお酒を注いでくれる。

『グロリアス様、くれぐれも何も言わずに食べてくださいね』と、ボソッとグロリアスに忠告をしていたことなんか、気が付かなかった。初めて作ったお菓子を、気に入ってくれるかどうかドキドキしていたから。

 グロリアスは僕を膝に乗せ、ボッキーを一本握り、齧った。……その硬さに驚いたのだろう。目を見開いていた。

「……美味しい。チョコのまろやかな甘さがいいね」
「ごめんね、固いよね!でも、チョコは美味しいでしょう?」

「うん、とっても。これ、シオンは食べられたの?こんな小さいお口で……」
「え?もちろん。ほら、こうやってしたら、齧れるよ」

 ボッキーにかぶりつく。ちゅうちゅうと吸い付くようにしてチョコの層を溶かし、固いプレッツェル部分をふやかして、少しずつ齧った。

 本当にチョコは美味しくできたんだけどなぁ……と恨みがましい思いでボッキーを齧り、時折それでクリームを掬って、『こうすると美味しくなるよ』とアピールし続けていると、ふと、グロリアスが僕を凝視しているのに気付く。えと?

『小さいお口……、棒……、あんな一生懸命に……』

 ボソボソと呟く声は小さくて、聞こえない。何だって?

「シオン……、そろそろ、シオンも頂きたいのだけど」
「えっ……あ、うん……」

 あれ?ギラギラ……してる?

 何故か非常に興奮していたらしいグロリアスは、その後、僕をつま先まで余すところなく貪った。
 デザート作りはちょっと失敗しちゃったけど、グロリアスには気に入ってもらえたようで良かった。

















 お父様は次の日には、全国に響き渡る声で声明を出した。

 あ、そんなに声量がある訳では無いよ。ただ、僕のスキルで、お父様――国王陛下の声を、国民全員に聞かせたのだ。公共放送だ。






『前王家を倒す時。そこには多大な犠牲があった。奪われた者は多くいる。旧王城に無理やり買い取られた娼婦や、弱みを握られた者たち。法の機能しない街で暴れる暴徒に、資産や食料、尊厳まで奪われた者も多い。ここに、皆で祈ろう。命を失った者へ、そして命はあれど、深く傷を負った犠牲者へ。



 …………皆は知っているだろうか。この王国を新しく作り変え、吐きながらもスキルを駆使し、最短で平穏へと導いた救世主も、その犠牲者の一人だと言うことを。



 魔力の覚醒が遅かった彼は、救世主でも何でもなかった。彼もまた、前王権に蹂躙され、苦しみ、死を垣間見た一人。

 運よくスキルを顕現したからこそ、生き延び、そして我々国民を救い、豊かな国を与えてくれたが、そうでなかったのなら、――――分かるだろうか?


 前王権による圧政は止まらなかっただろう。重税に重税、暴徒は蔓延り、魔物と同じ、弱肉強食の世界になっていただろう。

 今、その世界から救ってくれた彼を、貶める噂がある。犠牲者だった彼が、まるで喜んで蹂躙されているかのような、そんな噂が。

 その噂を口にした者は、直ちに申し出よ。通報でも構わぬ。蹂躙というものが何かを、その身を持って知る機会を与えよう。



 また、口にしていない者も、認識を改めよ。心優しき救世主が、この国を去る事を想像せよ。ここまで復興させてくれた救世主を、追い出した後、誰がこの国を守ってくれる?

 私は、平凡な王だ。未だ救世主の力に頼っており、なかなか完全な自治は難しい。そんな国から、救世主を奪う――――その意味は、少し前に、皆が体感したはずだ。

 今後、救世主、及び前王権での被害者に対する誹謗中傷は、一律王族に対する不敬罪として、厳しく取り締まる。例外は認めぬ』




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