婚約破棄された銀の猫は、チートスキルと激甘伴侶をゲットしました

カシナシ

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本編

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 グロリアスに「枯れた」は禁句だ。一生言わないことに決めた。

 精魂尽き果てたとは言え、セックスとは、こうも満たされるものなのかと、ぐったり四肢を投げ出した状態でしみじみ感じていた。

 だって、ね。

 これが情交というものなら、かつて僕をなぶっていた奴らは皆、この本当に満たされる情交を知らないに違いなかった。
 心も身体も愛で満たされて、溢れかえって、『愛してる』なんて言葉程度じゃ伝えきれなくて、幸せの涙という形で溢れていくけど、尚も注がれて。
 何回も名前や愛の言葉を囁き合っても、やっぱり伝え足りない想いを、混ぜて、溶けて、一つにした。

 ……こんなの知ったら、あんな、家畜の交尾みたいな事はしない。出来ない。僕の体を使った自慰行為であり、僕だけじゃなく、相手が誰にせよその可能性が高いからーーーー自分さえ良ければ相手の事など考えない、自分本位なメンタルだからーーーー彼らは精神的童貞。そう、精神的童貞(二回言っておく)。そしてそのまま死んでいくのだ。

 そう決めつけてやるとスッキリしたような、何かがストンと落ちていくような気がした。

「……どうしたの、シオン。可愛い顔して」

 僕を胸に抱き、髪を耳にかけたり猫耳をそうっと撫でたりしていたグロリアス。僕は彼の、分厚くてばきばきに割れた腰を引き寄せて、裸の肌を合わせた。

「グロリアス。あのね……本当の、セックスを、教えてくれてありがとう。……って、思っていたんだ」
「なっ……え?」
「心を通わせた行為って、こんなに気持ち良くて、深く満たされるって、初めて知った。僕、すごく幸せ……」
「……っ、俺も、だよ……ああ、シオン……俺、また、したくなってきちゃった」
「んんっ……」

 とまた始まる、こんな甘い時間を、取り留めもなく過ごしていた。









 そして気がついたら結婚式から五日ほど経っていて、ほぼずっとヤリっぱなしだったことに愕然とした。日付間違えてないよね?と何度もブロディに確認してしまった。

「私、『鍵』スキルがあってよかったと思いました。音だけ漏らさないようにする、という事も出来るので」
「………………聞いたの?」
「……少しだけです。エエ」

「ブロディ、ちょっと?」

 グロリアスがブロディの首根っこを掴んで連れて行ってしまった。説教だろうか?……でも、声を我慢できなかった僕も悪い。恥ずかしいなぁ……。

 これ以降は、僕は一年に一度か二度、発情期と言う、性欲と妊娠率の高まる周期が訪れる。まだ子供は考えていないからグロリアスには避妊してもらわないといけないけど、こんな風に肌を合わせられるなら、むしろ楽しみ。


 未来に想いを馳せていた僕は、二人で出て行ったその後の会話なんて、もちろん、知らない。





 ーーーーーーーーーーーー

『君、防音したとか言って自分だけ聞いてないかな?』
『イエ、ソンナコトハ』

『すっごい分かりやすいな君は。瞬きが多すぎる。吐いたらどう?今なら怒らない』
『すみません。私だけ聞いておりました。防犯、そう、防犯のためです』

『つまり、最初から最後まで、全て聞いていたということだね?』
『ハイ……あ、でも、忘れましたから、ご安心ください』

『シオンの声、どうだった?』
『すっごく可愛かったです。死ぬかと思いました。というか声だけでイキました!あ……』

『ちょっと表出なさい』



 ーーーーーーーーーーーー



 新婚休暇を過ごした新居は、二人で相談して作った小ぶりで機能的な屋敷だ。

 ブロディの他には、この屋敷の使用人は最低限だ。料理人や清掃、洗濯の人たちも、安心して任せられるプロ意識の高い人たち。腕はもちろん、態度や気立ての面でもホッと出来るような人たちを選んだ。

 そんなデキル彼らが揃いも揃って、寝室からようやく出てきた僕を見て頬を朱に染め、あらあらまぁまぁウフフフフと、生温ーい笑顔で物陰へ消えていく。

「え、えと……その……?」
「シオンの色気が強すぎるんだ。また、君に慣れるまで時間が必要だろうね」

「そんなことは。グロリアス、君じゃない?」
「俺はキリッとしているでしょう。俺が甘くなるのは、シオンの前だけだから」

 そうやって頬を撫でられると、またまた僕は頬を火照らせてしまうのだから、キリがない。

「う……き、切り替えないと、だね。そろそろお城にも行きたいし」

 







 グロリアスは元国王、僕も救世主ということで、もう既に働かなくても十分、余生を生きていけるだけの蓄えがあった。けれども元々せかせかと働いていた僕はむしろ落ち着かないから、父や弟の相談事に乗ったり、ちょっとした手伝いをすることにした。まぁ、前々からそんな感じではあったから、あまり生活に変わり映えはしない。

 グロリアスはそんな僕にくっついてくるか、もしくは鍛錬を続けている。体を動かして、心地良く疲れさせるのが好きみたい。

 ウィンストン領城は、少し手を入れて荘厳な作りとし、ウィンストン王城へと生まれ変わった。だから僕は、グロリアスとたまに遊びに出掛ける感覚で出向いている。僕とグロリアスで使える共同の部屋も用意されているから、行きやすいんだよね。

「兄さん!」
「ディオン。また細くなってない?」

 弟にハグをすると、痩せたような気がして不安になった。
 弟は侯爵家嫡男から、王子という身分になったものね。元々高位貴族の教育はされてきたけど、ここへきてより高度なものを詰め込まれているのだとかで、とても忙しそう。

 ……うん。本来、王子って忙しいものだよね。何かを思い出しそうになって、慌てて頭を振った。

「ううん、違うよ兄さん。触ってみて?」
「え、お腹?……わぁ、かっちこちだ」
「そうなんだ。引き締まったってこと。義兄さんを見習って、鍛えることにしたんだ」

 ちらり、とグロリアスを見ると、何だか妙な笑顔をしている。凄みのある、油断ならない笑顔だ。なんだ?
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