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第13話『お二人は『魔王』という存在を聞いた事はありますか?』 2/3

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「……」

シュンさんの話に、オーロさんが頷き、私は思わず呆然としてしまった。

ヤマトにはそんな物があるのかと。

シュンさんが言っている名を捨てるというのは、どこまでを含むのか分からないが、恐らくは全てなのだろう。

真実どこの誰とも分からない存在となって、戦い、国の為に、命を捨てる。

いっそ恐怖すら覚えてしまう行動だが、どこか共感できる所があったのも確かだ。

世界の為に個人である事を捨てるというのは。

「ちなみにシュン。お前はその祭りで一番強かったのか?」

「いや、俺は二番だ。故に『如月』を持っている」

「ほー! お前が二番かよ。一番はどんな化け物だ」

「神藤時道。俺の幼馴染で、生涯の好敵手だ」

「なるほどな。良い関係じゃ無いか」

「……お前には、そういう相手はいないのか?」

「あー。俺か。残念だが俺には居ねぇな。まぁ、しいて言うなら生意気な弟分が二人くらい居るけどよ。俺にはまだまだ遠いな。ヤマトなら聞いた事あるんじゃねぇか? アレクシスって奴と、ヴィルヘルムって奴だ」

「確か運び屋だったな。何度かヤマトに来た事がある」

「ほー。運び屋か。面白い仕事をやってるんだな。元気だったか?」

「あぁ。ちょうど祭りの時でな。ヴィルヘルムが参加していたぞ。十二刀衆になるまで勝ち残っていたが、ヤマトには住めないと断っていた」

「ワッハッハ。そうかそうか。元気そうで何よりだ」

「……」

私は紅茶を飲みながら楽しそうに話す二人を見て、思わず私まで楽しくなってしまった。

本当は魔王の話をしようと思ったけれど、二人の話を聞いているのも凄く楽しい。

「おっと、すまねぇな。盛り上がっちまった。話の続きを聞かせてくれよ。ミラ」

「いえ。今日はお二人の話を聞かせてくれませんか? 私はそれが聞きたいです」

「……そうか。なら、どうする? シュンから行くか?」

「あぁ、分かった。では、そうだな。俺は歴史などは詳しくないから、友人の話をしようか」

「お友達ですか?」

「そうだ。さっきの時道とは違う友人だな。名を宗介、和葉という。二人は俺と時道の様に、幼い頃からずっと一緒でな。成長と共に、自然と男女の仲になり、恋人となった。しかしだ。ヤマトという国は少々面倒な国でな。恋人としては誰と付き合おうが構わないが、結婚となれば家が決めた相手と結ばれなくてはいけないという決まりがある。そして、宗介と和葉は家こそ釣り合っていたが、互いに長男、長女であった事が災いし、結ばれる候補にはなれなかった」
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