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第10話『これはリヴィアナ様の最後が記された書。言うなればリヴィアナ様自身です』(オーロ視点) 3/3
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リヴィアナの封印書庫での用事も終わり、ミラも泣き止んだ事で俺たちは、次なる目的地を目指すべく旅立とうとした。
のだが、ミラはもう少しだけと言いながら、俺がさっき読んでいた本を集中して読んでいる。
「そんなに気になるのなら、持っていけば良いんじゃないか? 二千とか五千とかあるんだろう? 一冊くらい問題ないだろう?」
「駄目ですよ。これはリヴィアナ様の最後が記された書。言うなればリヴィアナ様自身です。ここから連れて行くなんて可哀想です」
「そういうモンかね」
まぁ俺には分からない感情だ。
一応とばかりにシュンを見るが、当然と言うべきか。シュンも同じ様に分からんという様なポーズをしていた。
「やはり、子供は苦手だな」
「そうだな」
「むむ! そこ! 別にこれは子供じみた感傷とかでは無いですからね!」
「ほー。そうなのか」
「はい! この本はここにあるべきなんです。むしろここに無くてはいけない本です」
俺は妙に強気なミラの態度に首を傾げるが、当然ながらシュンも理解していない。
「リヴィアナ様が何故ここを作ったのか。それを考えれば分かります。オーロさん。この本には何が書かれていましたか?」
「あー。っと、確か、昔やった茶会が楽しかったとか、友達が出来て嬉しかったとか、死にたくないとか、そういう話だった様な?」
「そう。この書はリヴィアナ様の想いが詰まった書なんです。リヴィアナ様は生まれた時から非常に頭がよく、孤独であったと記録には残されています。その為、友人も出来ず、ただ国の為に生きてきたと。しかし、聖女セシル様に出会ってから、リヴィアナ様の人生は大きく変わるのです。自分の夢を見つけられました。そしてエリカ様やアリス様と共に、いつまでも続く未来を夢に見ていたのです。しかし、人間にはいずれ限界がきます。アリス様、エリカ様と順番に命を落としてゆき、セシル様を一人残されてしまう事に対する苦悩が、この本には記されていました。お優しい方だったのだと思います。だから、この本には、セシル様と過ごした日々、楽しかった時間、例え終わりを迎えたとしても、この時間は失われないのだと、そうセシル様へ伝えている本なんです。どうか悲しまないでと。そう訴えているんです。だからきっと、この本は入り口に最も近い場所にあるのだと思います。この封印書庫全てがセシル様へ残した物だから……」
『オーロさんは無神経なのですから、発言には気を付けなくては駄目ですよ』
懐かしい顔を思い出しながら、グズグズと泣くミラに俺は謝った。
何年経っても成長せんな。
そしてミラは大事そうにその本を元あった場所に置くと、両手を握り、祈るのだった。
まるで千年も昔に命を落としたリヴィアナの安らぎを求める様に。
のだが、ミラはもう少しだけと言いながら、俺がさっき読んでいた本を集中して読んでいる。
「そんなに気になるのなら、持っていけば良いんじゃないか? 二千とか五千とかあるんだろう? 一冊くらい問題ないだろう?」
「駄目ですよ。これはリヴィアナ様の最後が記された書。言うなればリヴィアナ様自身です。ここから連れて行くなんて可哀想です」
「そういうモンかね」
まぁ俺には分からない感情だ。
一応とばかりにシュンを見るが、当然と言うべきか。シュンも同じ様に分からんという様なポーズをしていた。
「やはり、子供は苦手だな」
「そうだな」
「むむ! そこ! 別にこれは子供じみた感傷とかでは無いですからね!」
「ほー。そうなのか」
「はい! この本はここにあるべきなんです。むしろここに無くてはいけない本です」
俺は妙に強気なミラの態度に首を傾げるが、当然ながらシュンも理解していない。
「リヴィアナ様が何故ここを作ったのか。それを考えれば分かります。オーロさん。この本には何が書かれていましたか?」
「あー。っと、確か、昔やった茶会が楽しかったとか、友達が出来て嬉しかったとか、死にたくないとか、そういう話だった様な?」
「そう。この書はリヴィアナ様の想いが詰まった書なんです。リヴィアナ様は生まれた時から非常に頭がよく、孤独であったと記録には残されています。その為、友人も出来ず、ただ国の為に生きてきたと。しかし、聖女セシル様に出会ってから、リヴィアナ様の人生は大きく変わるのです。自分の夢を見つけられました。そしてエリカ様やアリス様と共に、いつまでも続く未来を夢に見ていたのです。しかし、人間にはいずれ限界がきます。アリス様、エリカ様と順番に命を落としてゆき、セシル様を一人残されてしまう事に対する苦悩が、この本には記されていました。お優しい方だったのだと思います。だから、この本には、セシル様と過ごした日々、楽しかった時間、例え終わりを迎えたとしても、この時間は失われないのだと、そうセシル様へ伝えている本なんです。どうか悲しまないでと。そう訴えているんです。だからきっと、この本は入り口に最も近い場所にあるのだと思います。この封印書庫全てがセシル様へ残した物だから……」
『オーロさんは無神経なのですから、発言には気を付けなくては駄目ですよ』
懐かしい顔を思い出しながら、グズグズと泣くミラに俺は謝った。
何年経っても成長せんな。
そしてミラは大事そうにその本を元あった場所に置くと、両手を握り、祈るのだった。
まるで千年も昔に命を落としたリヴィアナの安らぎを求める様に。
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