魔王メーカー

壱元

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第三章

第二十七話

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 「夜明けの旅団」が空から舞い降りた。

「よく生き残ったね」

リーダー、「奇跡のマギク」がフードを被った傷だらけの少女に対し、優しく声を掛ける。

「もう大丈夫。僕たちが来た」

マギクは「便利屋のウロ」の名前を呼んだ。

「はいはい」

彼は一人、戦闘態勢を抜け出して、少女に近付いた。

背中に背負った大きな革袋の中から、薬品の入った小瓶を取り出す。

「怪我してんなら、これ使いな。飲んじまえば大抵の傷はイチコロだからよ」

「…ありがとうございます」

少女は震える手でそれを受け取った。

「さて」

ウロが向き直った頃には、敵は腹の傷を「ロックスケイルパイソン」によって埋め合わせ終えていた。

「キュロロロロロロ!!!」

甲高い声を上げ、立ち上がる。

「みんな、行くぞ」

マギクの一声を合図に、「夜明けの旅団」は一斉に動き出した。

 まず、走り出した敵の右前足が爆発する。

「…ハードヒットだ」

ライフル使い、老兵「星狩のジールバード」が「対 大型モンスター用」として使う「炸裂弾」が命中したのだ。

バランスを崩し、地面に倒れる敵の身体から、「バレットマウス」が分離して走り出す。

「ここは僕が」

マギクはそう言うと、自身の周りに無数の色とりどりの小さな火球を出現させた。

それらは一瞬でばらけると、高速移動する鼠たちを的確に撃ち抜いて小さな爆発を起こした。

蟻の花火ヴェレムアンテ」だ。

敵の反撃が相殺された直後、ウロが革袋から事前に取り出しておいた人の顔ほどもあるガラス瓶を投げつける。

瓶は敵の肩にぶつかって割れ、中の液体、「龍溶酸」が敵の半身を溶かしていく。

「よくやったみんな。これで最後だね」

マギクがとどめを刺そうと魔力を溜め始めた瞬間、

「リーダー、危ない!!」

「炎刃のリレラ」が横から飛び出す。

敵の背中から、顔面が槍のように変形している「ロックスケイルパイソン」が勢いよく伸びてきていた。

リレラはそれを剣で真正面から受け止めて押し返した。

二つ名にもなっているように、彼女の剣の刃からは業火が出ていた。

灼熱の刃。先程一瞬ぶつかっただけで、グレアの「火球パシア」を無効化するロックスケイルパイソンは顔面を焦げ、深く切り裂かれていた。

間髪入れず、さらに一本のロックスケイルパイソンが飛び出し、今度はリレラを狙って突っ込んでくる。

彼女はそれを真正面から剣で叩き落とすと、素早く真横に回り込み、地面が軽く沈み込むほど強かに踏み込みながら、豪快に斬り下ろした。

「白巌流」の基本技、「岩砕」である。

渾身の一撃は蛇の身体を真っ二つに切断した。

ふと移した視線が、マギクリーダーとぶつかる。

その瞬間、リレラは地面を蹴って横に移動した。

直後、マギクの両手から膨大な魔力が放たれる。

敵の全身を一つの巨大な「闇」の球体が呑み込み、瞬く間に消滅させる。

レンゼ」。

「…よし」

マギクが先程保護した少女の方を振り向きかけた時、木々がざわめき、地面が揺れた。

暁の光に照らされながら、三体目の「おおきな狼」が姿を現す。

その全身はロックスケイルパイソンによって覆われていた。

無数の目がメンバー全員を見下ろす。

「大丈夫だよ」

微かな動揺を隠しながら、そこで怯えているはずの少女に向けて、マギクが優しく声を語りかける。

「このくらい、大したことないからーー」

「なあ」

オロが革袋をまさぐりながら言った。

「あのガキんちょなら、消えちまったぞ」


 同時刻、「生き残りの少女」グレアはジャサー城に向かってまだ薄暗い森の中を一心不乱に走っていた。

その時、

「楽しかったでしょ?」

と背後で声が聞こえた。

足を止めて振り返ると、高いところにある木枝の上に誰かが座っていた。

「”うちの子”たちと遊ぶのは」

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