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第7話 買い付け
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翌日、本来は休みだったが、クレアの希望した生地を買い付けにいくことにした。最高級ラインの生地であることと、特殊な色味だったため在庫がなかった。合わせて在庫が少なかった生地を持って帰るため、アリアナと一緒に町外れの生地屋までやってきた。
生地屋に入るといつもワクワクと気持ちが高揚する。色んなインスピレーションが湧いて、色んな物を作りたくなる。仕事柄、下着ばかり作っているが、久しぶりに服を縫おうか。いくつも新作の生地を見せてもらっては触らせてもらう。無事に希望していた生地を購入できると、重い荷物を抱えていることから寄り道をせずに帰ることにした。
町外れから王都の大通りまで街馬車で揺られる。馬車から降りて歩き出すと声を掛けられた。
「お嬢さん、お荷物手伝いましょうか」
「いえ、結構......あ!」
「ん?昨日逃げられた女!」
王宮の裏門で手を捕まれた騎士だ。なぜこんな所で遭遇するのかと、サラが反射的に逃げようとした所を、アリアナが間に入ってくれた。
「いかがされました?」
「おっと、先日この子に一目惚れをしてね」
「まあ!......でも仕事中ですし、可能性は無いようなので、諦めていただけると助かります」
にっこりと微笑むアリアナに得体の知れない圧力を感じる。
「それは、俺のことを知ってもらえれば覆すことができるよ」
騎士も中々、手強い。
「俺は、第二騎士団に所属しているダニエル。これでも子爵家の嫡男だよ」
だからなんだというのだ。貴族だと言えば惚れるとでも思っていそうだ。
「昨日の今日でこれは運命だろう?……重そうな荷物を持っているじゃないか、家まで運んでやるよ」
「ちょ、やめてください!」
大切な生地が入った紙袋を勝手に触ろうとしたダニエルから身を引こうとすると、荷物の重さでバランスを崩す。体が傾きかけると背後から大きな腕と手に支えられた。
「っと。大丈夫ですか?サラさん」
「え?……フィリップ様!なぜここに......」
「見回り中です。……何してるんですか、ダニエルさん。勤務中にナンパは良くないですよ」
フィリップを見上げると肩に置かれた手はそのままに、落ち着いた口ぶりとは裏腹に、ダニエルを睨み付けている。フィリップの手が肩に。そこに神経が集まったかのように緊張が走る。
「な、お前こそ邪魔すんじゃねーよ。こんな街中で想い人に会ったんだ。運命だろ?」
「想い人......?聞き捨てなりませんね。嫌がらせをしていただけじゃないですか」
「嫌がらせじゃねーよ!荷物を持ってやろうとしただけだっつの」
二人のやりとりにサラとアリアナは顔を見合わせる。
「サラさん、俺が持ちますよ」
いまにも落ちそうな袋を持ち直そうとすると、フィリップが危なげなく抱えてくれた。サラは肩に置かれていた手が離れたことにほっとする。
「いい格好すんじゃねーよ」
「姉の大切な友人なんです。みすみすナンパ野郎の毒牙にかからせる訳にはいきませんね」
「お前、先輩になんて言い草だよ」
「そういえば、師団長が呼んでいましたよ」
「お前、それを早く言えっ!」
ダニエルが駆け出すと、フィリップの自然な誘導で歩きだす。
「大丈夫ですか?サラさん。お連れの方も」
「あ、アリアナさん。ナターシャ様の弟様です。フィリップ様、こちら一緒に働いているアリアナさんです」
「いつもお世話になっております」
「こちらこそ、姉がいつもお世話になっています」
フィリップとアリアナが挨拶をすると、サラはフィリップにお礼を伝える。
「助けてくださりありがとうございます。とっても助かりました」
「運命とかほざいていましたけど、会ったことがあるのですか?」
口の悪いフィリップは新鮮だ。
「昨日、王宮で少し話しかけられて......」
「王宮でもこんなことが?」
フィリップの美しい顔が歪む。
「手を捕まれて逃げたんですけど、まさか街中で会うとは思いませんでした」
「手を捕まれた?国を守る騎士として、あるまじき行為ですね」
「でも今日、フィリップ様が助けてくださったので、大丈夫です」
「俺からも言っておきますが......またなにかあれば教えてください。サラさんになにかあっては姉も悲しみます」
大通りから逸れるタイミングで、荷物を受けとると、フィリップと別れた。仕事に支障がでていないか心配すると、女性を助けることも立派な仕事のひとつなのでとフォローしてくれた。女性嫌いのフィリップから出てくる言葉とは思えないが、純粋に助けてくれたことが嬉しかった。
肩に触れたことで、嫌悪感を感じていないか心配だったが、大丈夫そうだ。姉の友人として助けてくれたのだろうけど、不意にサラに触れてしまい、嫌な気持ちになっていないか心配だった。
サラは来た道を戻るフィリップを無意識に見つめたが、はっと我に返ると先を歩くアリアナを追いかけた。
生地屋に入るといつもワクワクと気持ちが高揚する。色んなインスピレーションが湧いて、色んな物を作りたくなる。仕事柄、下着ばかり作っているが、久しぶりに服を縫おうか。いくつも新作の生地を見せてもらっては触らせてもらう。無事に希望していた生地を購入できると、重い荷物を抱えていることから寄り道をせずに帰ることにした。
町外れから王都の大通りまで街馬車で揺られる。馬車から降りて歩き出すと声を掛けられた。
「お嬢さん、お荷物手伝いましょうか」
「いえ、結構......あ!」
「ん?昨日逃げられた女!」
王宮の裏門で手を捕まれた騎士だ。なぜこんな所で遭遇するのかと、サラが反射的に逃げようとした所を、アリアナが間に入ってくれた。
「いかがされました?」
「おっと、先日この子に一目惚れをしてね」
「まあ!......でも仕事中ですし、可能性は無いようなので、諦めていただけると助かります」
にっこりと微笑むアリアナに得体の知れない圧力を感じる。
「それは、俺のことを知ってもらえれば覆すことができるよ」
騎士も中々、手強い。
「俺は、第二騎士団に所属しているダニエル。これでも子爵家の嫡男だよ」
だからなんだというのだ。貴族だと言えば惚れるとでも思っていそうだ。
「昨日の今日でこれは運命だろう?……重そうな荷物を持っているじゃないか、家まで運んでやるよ」
「ちょ、やめてください!」
大切な生地が入った紙袋を勝手に触ろうとしたダニエルから身を引こうとすると、荷物の重さでバランスを崩す。体が傾きかけると背後から大きな腕と手に支えられた。
「っと。大丈夫ですか?サラさん」
「え?……フィリップ様!なぜここに......」
「見回り中です。……何してるんですか、ダニエルさん。勤務中にナンパは良くないですよ」
フィリップを見上げると肩に置かれた手はそのままに、落ち着いた口ぶりとは裏腹に、ダニエルを睨み付けている。フィリップの手が肩に。そこに神経が集まったかのように緊張が走る。
「な、お前こそ邪魔すんじゃねーよ。こんな街中で想い人に会ったんだ。運命だろ?」
「想い人......?聞き捨てなりませんね。嫌がらせをしていただけじゃないですか」
「嫌がらせじゃねーよ!荷物を持ってやろうとしただけだっつの」
二人のやりとりにサラとアリアナは顔を見合わせる。
「サラさん、俺が持ちますよ」
いまにも落ちそうな袋を持ち直そうとすると、フィリップが危なげなく抱えてくれた。サラは肩に置かれていた手が離れたことにほっとする。
「いい格好すんじゃねーよ」
「姉の大切な友人なんです。みすみすナンパ野郎の毒牙にかからせる訳にはいきませんね」
「お前、先輩になんて言い草だよ」
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ダニエルが駆け出すと、フィリップの自然な誘導で歩きだす。
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「あ、アリアナさん。ナターシャ様の弟様です。フィリップ様、こちら一緒に働いているアリアナさんです」
「いつもお世話になっております」
「こちらこそ、姉がいつもお世話になっています」
フィリップとアリアナが挨拶をすると、サラはフィリップにお礼を伝える。
「助けてくださりありがとうございます。とっても助かりました」
「運命とかほざいていましたけど、会ったことがあるのですか?」
口の悪いフィリップは新鮮だ。
「昨日、王宮で少し話しかけられて......」
「王宮でもこんなことが?」
フィリップの美しい顔が歪む。
「手を捕まれて逃げたんですけど、まさか街中で会うとは思いませんでした」
「手を捕まれた?国を守る騎士として、あるまじき行為ですね」
「でも今日、フィリップ様が助けてくださったので、大丈夫です」
「俺からも言っておきますが......またなにかあれば教えてください。サラさんになにかあっては姉も悲しみます」
大通りから逸れるタイミングで、荷物を受けとると、フィリップと別れた。仕事に支障がでていないか心配すると、女性を助けることも立派な仕事のひとつなのでとフォローしてくれた。女性嫌いのフィリップから出てくる言葉とは思えないが、純粋に助けてくれたことが嬉しかった。
肩に触れたことで、嫌悪感を感じていないか心配だったが、大丈夫そうだ。姉の友人として助けてくれたのだろうけど、不意にサラに触れてしまい、嫌な気持ちになっていないか心配だった。
サラは来た道を戻るフィリップを無意識に見つめたが、はっと我に返ると先を歩くアリアナを追いかけた。
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