誰も映画を観てくれないので、殺人鬼を幼女化してノベライズする

因幡雄介

文字の大きさ
35 / 47
死霊館

異世界転生して魔法少女になりたいかい?

しおりを挟む
*内容をさらにわかりやすくした『映画チャットノベライズ(笑)』のブログもよろしくお願いします。


映画ノベライズブログ(https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/12/19/143202)


 証拠を集めるために、地下室を調べてみる。

 リアナが日記を見つけた。

 俺と美雪は机に置き、



「何が書いてあるんだろうな」

「この家のあるじが書いたものだと思うわ」



 おそるおそる、ノートを開いて、その内容を読んでみた。

 ノートを書いていたのは、萌美という家のあるじらしい。

 小説が書かれていた。

 萌美というかわいい名前だが、すでに60歳を超えていたようだ。

 ノートの内容は、トラックにひかれて異世界に転生した女主人公が、魔法少女となってイケメンに囲われ、ほのぼのとした堕落生活を送る内容だった。

 食っちゃ寝する毎日なので、何がおもしろいのかわからず、ノートの最後まですぐ到達してしまった。

 ノートの最後には、旦那に日記を読まれ、激しい離婚裁判を繰り広げたこと。

 裁判所で日記の内容を公にされ、彼女はこう叫んだ。



『この家に入った者は皆殺しにしてやる!』、と。



 美雪はパタンとノートを閉じ、



「これが呪いの原因なのね」

「マジかよ!!」



 なんか恥ずかしさで言っちゃっただけのような気がするが。

 逆ギレしたい気持ちはわかる。

 俺もネット小説で、少年が化け物に異世界転生して、動物たちと人間たちを食い殺す、メルヘンな小説を書いている。

 見られたら死にたくなる。

 リアナが口元に手をやり、



「そういえば……」

「呪いの原因に思い当たるふしが?」

「この家のあるじは、次々とトラックにひかれているのっ!」

「すげえな。どんだけ異世界に送り込まれてるんだよ。軍勢だな」



 冗談抜きで、呪いというやつが存在するのかもしれない。

 ともかく、それでは証拠にならないので、家に監視カメラと温度感知器付きデジカメを設置することにした。

 霊が出てくれば、撮影するというやつだ。

 機材は美雪が用意していた。

 こういうこともあろうかと、ちゃんと用意していたそうだ。

 あとでAV制作会社に売るつもりらしい。

 鈍いリアナでも意味に気づいたのか、美雪と鬼ごっこして遊んでいた。

 真夜中。

 ソファでうとうとしていると、喉が渇いてきた。

 リアナと美雪は遊び疲れて眠っている。

 コーヒーを飲もうと、台所に行くと、黒い影が廊下を歩いていた。

 老婆だ。

 すうっと、動きがなめらかなので、人間でないことは明らかだった。



『あの男がやったの』



 老婆はそういって、俺を誘うように手招きする。

 萌美、か?

 なぜか会ったこともないのに、そんな気がする。

 俺は誘われるように、老婆についていく。

 階段を上り、部屋に入る。

 大きなタンスがある。

 老婆が手招きしていた。

 タンスを開けると、壁に穴があいていた。

 体をもぐり込ませて、壁の中に入る。

 暗いのでスマホのライトをつけると、きらめく物が置いてあった。

 それを手に取ってみる。

 長いそれは、先端に宝石をちらばせていた。



 ――これは、魔法のステッキ? はっ!



 気配がした。

 人の息づかい。

 それを感じた瞬間、床が抜けて落ちていた。



「ぐはっ!?」



 二階で、床が柔らかかったから、背中から落ちても助かった。

 気配が近づいてくる。

 あわてて起き上がると、ふわりとしたスカートが見えた。



「門平。お主もここにきたのでござるな」



 明かりにあらわれたのは、10代ぐらいの少女だった。

 手には魔法のステッキを持っている。

 フリルのついた変わった服装から予想するに、魔法少女か?



「本当に転生して、魔法少女になったのか!? あの日記どおりに!」



 俺は少女を館のあるじだと勘違いした。



「何を言っているでござる? 拙者でござる。言左衛門でござる」

「……はっ!?」

「驚くのも無理はなかろう。拙者、悪霊に殺されて、転生して、魔法少女になったでござる」



 言左衛門だと名乗る少女は、悔しそうに眉間にシワを寄せる。

 そういえば、言左衛門を大学で見かけなかった。

 江戸時代にタイムスリップしてるものだと思っていた。



「――なんでリアナの屋敷に?」

「聞いてくれるな。これは男の戦いなのだ」



 言左衛門は背中を向ける。

 ようは、犯罪者的な何かをしようとしてたんだね。

 友が罪を犯す前に、死んでくれて良かったと、思ってしまった俺がいた。


*内容をさらにわかりやすくした『映画チャットノベライズ(笑)』のブログもよろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

処理中です...